ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 無効 1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする C7 |
---|---|
管理番号 | 1108083 |
審判番号 | 無効2004-35006 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2005-01-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-12-26 |
確定日 | 2004-10-19 |
意匠に係る物品 | 墓石 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1181593号「墓石」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1181593号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.請求人の申立及び理由 請求人は、結論同旨の審決を求めると申立、その理由として審判請求書に記載のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番を含む)を提出した。その要旨は以下とおりである。 意匠登録第1181593号意匠(以下、本件登録意匠という)は、甲第1号証のものと同一のものであり、意匠法第3条第1項第1号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号もしくは第2号により、無効とすべきである。 本件登録意匠が出願された平成14年12月12日より以前、甲第2号証に記されている通り平成14年7月11日付けで新聞広告に掲載されている。また、12月までに、新聞すり込み広告で上記を含め5件の掲載があり、帯広地方の墓所にて数基がすでに建立されている。 したがって、出願時にはすでに公知公用であったため、無効とすべきである。 2.被請求人の答弁 被請求人に対して、期間を指定して答弁書の提出を求めたが、その期間を経過しても被請求人からは、何ら応答がなかったものである。 3.当審の判断 (1)本件登録意匠 本件登録意匠は、登録原簿によれば平成14年12月12日の意匠登録出願に係り、平成15年6月20日設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「墓石」とし、その形態は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりものである。(別紙1参照) (2)甲号意匠 甲号意匠は、甲第1号証墓石パンフレット裏面所載の「BD洋型Sコンビネーションタイプ」の表示がなされた図版において、左右中央やや後よりに配置された墓石の意匠であって、その形態は、その図版に表されたとおりのものである。(別紙2参照) なお、甲第1号証の表裏両面には、多数の構成部品からなる透視図法により作成されたと認められる複数の墓石の図版が掲載されており、これら複数の図版に対して何れの図版における何れの部分が甲号意匠であるのかを請求人は特定していないが、前記甲号意匠以外に該当すると認められるものが無いことから、甲号意匠を前記のものとして検討する。 また、甲第1号証については発行日を示すものがなく、公知となった日付が明確でないものの、何れも十勝毎日新聞の写しである甲第2号証の1ないし5の墓石堂の広告中には、甲第1号証と同一の図版を採用した「BD洋型Sコンビネーションタイプ」(甲第2号証の1ないし同3)または「BD洋型コンビネーションオリジナルタイプ」(甲第2号証の4及び同5)の表示がなされたものを見いだすことができること、また、これら第2号証の1ないし5の発行日が何れも本件登録意匠出願前のものであることが明確であることから、甲第1号証、並びに、甲第2号証の1ないし5の証拠の内容を総合すれば、甲号意匠が本件登録意匠出願前に公然に知られていたと推認するに十分と認められる。 (3)両意匠の比較・検討 本件登録意匠と甲号意匠は、意匠に係る物品が共に墓石であって共通し、形態については、1.前後方向をやや長くした方形板状基台の上面に、平面視方形状とした扁平状墓石本体を、左右に同幅の余地部を残し、後寄りに配置したものである点、2.基台部は前部右側に左右幅の1/3程の余地を残し、基台部全体の高さに対して1/2程の高さ幅の丸面状段差により低めた平坦部分を設けたものである点、3.段差部右端側の平面視形状につき、入り隅部及び出隅部を大きな丸みとしたS字状とした点、4.基台部の低めた平坦部分の平面視形状につき、左端の出隅部は大きな丸みを設け、右端前記S字状段差部の手前側付近を手前側円弧状に膨らませた点、5.同低めた平坦部分の縁部につき、左側部から前側円弧状膨らみ部まで僅かの幅で周縁に沿わせ、円弧状膨らみ部付近はそのまま直線状に延長した段差部を設けた点、6.墓石本体部につき、背面及び左右両側面は垂直面であって、上面は前後方向に僅かな凸湾曲させ前側を低めた緩傾斜弧状面とし、前端を丸面状とした点が共通する。そして、甲号意匠が表された図版で認められる範囲からは実質的差異の存在を認めることができない。ところが、甲号意匠の表された図版は透視図法により作成されたと認められるものであるから、背面側の形態が不明であるだけでなく、正確な構成比率を特定することができず、しかも、甲号意匠の向かって左側の一部が、その手前の設置物により隠れて表されていないことから、両意匠は、意匠全体として同一形態をしているとまでは断定することができない。しかしながら、少なくとも本件登録意匠を引用意匠が描かれた方向から視認した場合において、引用意匠との実質的差異が認められず、しかも、その方向が両意匠の全体形状及び特徴が把握しやすい斜視方向のものであるから、両意匠は少なくとも類似するといわざるを得ないものである。したがって、本件登録意匠は、甲号意匠と、意匠に係る物品が共通し、形態が類似することから、意匠全体として類似するといわざるを得ないものである。 なお、請求人は、本件登録意匠は、甲号意匠と同一であり、また、帯広地方の墓所にて数基がすでに建立されており、出願時にはすでに「公知公用」であったから、意匠法第3条第1項第1号の規定に該当すると主張するが、本件登録意匠は甲号意匠と同一の意匠であるとすることができないのは前述のとおりであり、本件登録意匠と同一のものが建立されたとする証拠は何も提出されていないから、請求人の提出した証拠では、本件登録意匠に関し、同規定に該当するということはできない。 (4)むすび 以上のとおり、本件登録意匠は、請求人の提出した証拠によっては意匠法第3条第1項1号の規定に該当するということはできないが、本件登録意匠の出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものとせざるを得ないものであるから、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、同条同項の規定に違反して登録されたものであって、その登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定によって、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
![]() |
審理終結日 | 2004-08-23 |
結審通知日 | 2004-08-25 |
審決日 | 2004-09-08 |
出願番号 | 意願2002-34440(D2002-34440) |
審決分類 |
D
1
11・
113-
Z
(C7)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 敦 |
特許庁審判長 |
日比野 香 |
特許庁審判官 |
山崎 裕造 杉山 太一 |
登録日 | 2003-06-20 |
登録番号 | 意匠登録第1181593号(D1181593) |