• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 無効  1項1号公知(類似も含む) 無効とする C7
管理番号 1108084 
審判番号 無効2003-35445
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-01-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-27 
確定日 2004-10-21 
意匠に係る物品 香炉 
事件の表示 上記当事者間の登録第1181590号「香炉」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1181590号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.請求人の申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立、その理由として要旨以下に示すとおり主張し、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
意匠登録第1181590号意匠(以下、本件登録意匠という)は、甲第1号証において日本石材センター株式会社が事実関係を証明するとおり、同社が被請求人に本件登録意匠の製品を納入するために、甲第2号証である平成13年12月27日付発注書及び甲第3号証及び第4号証の製作図面により、製造元である中国工場に当刻意匠製品を製作させ、平成14年1月22日に被請求人の代表者等を招待して開催した中国展示会において、上記製品を甲第5号証写真のとおり一旦展示した後、輸入手続を経て被請求人に販売したものであり、その後上記製品を被請求人が、甲第8号証写真のとおり平成14年7月北海道砂川市北吉野町315番地砂川市市営霊園に「門馬家の墓」として建立(販売)したものである。
したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第1号の規定に該当して登録を受けることができないものであって、その登録は同法第48条第1項第1号の規定に該当し、無効とすべきである。
2.被請求人の答弁
当審は、被請求人に対して、期間を指定して答弁書の提出を求めたが、その期間を経過しても被請求人からは、何ら応答がなかったものである。
3.無効の理由の通知
そこで当審は、「本件登録意匠は、(1)平成14年1月22日、中国福建省廈門市で日本石材センター(大阪府東大阪市新家3丁目11番30号所在)が開催した展示会で展示した香炉「NKWあかり(ばら)」の意匠、及び、(2)平成14年7月、北海道砂川市北吉野町315番地所在の砂川市市営霊園において(有)鏑城石材が建立した「門馬家」の墓に設置された香炉の意匠に類似し、その出願前に公然知られた意匠に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、意匠登録を受けることができないものであり、その登録は意匠法第48条第1項の規定に該当し、無効とすべきと認めます。
なお、(1)の意匠については、請求人が提出した甲第5号証に示された意匠、(2)の意匠については、請求人が提出した甲第8号証に示された意匠ですが、何れの意匠も本件登録意匠と比較して、前面左右におけるばら模様の有無、及び、前面の扉に表された装飾の単位等、僅かに差異が認められる程度で、意匠全体として類似するものと認めます。」との無効の理由を通知し、期間を指定して意見書の提出を求めたが、その期間を経過しても請求人及び被請求人の何れからも、何ら応答がなかったものである。
4.当審の判断
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は、登録原簿によれば平成14年12月12日の意匠登録出願に係り、平成15年6月20日設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「香炉」とし、その形態は、願書の記載及び願書に添付した図面により表されたものである。(別紙1参照)
(2)甲号意匠
甲号意匠は、甲第8号証の書面に示された平成14年7月、北海道砂川市北吉野町315番地所在の砂川市市営霊園において有限会社鏑城石材(被請求人)が建立した「門馬家」の墓に設置された香炉の意匠であって、その形態は同書面の写真に現されたとおりのものである。
そして、甲第1号証である大阪府東大阪市新家3丁目11番30号所在、日本石材センター株式会社の「意匠登録第1181590号の製品に係る事実関係証明書」に記載された証明内容は、更にこれを証明する甲第2号証ないし甲第8号証の内容とほぼ整合し、かつ、全体的にみて不自然な点が無く合理的であると認められるから、事実であったことを十分推認しうるものと認められる。なお、無効通知で指摘したとおり、甲号意匠は、甲第5号証に示された平成14年1月22日に中国福建省廈門市で前記日本石材センター株式会社が開催した展示会でも展示されたものと推認され、この点については被請求人も何ら反論していないが、本件においては形態が明確に現された甲第8号証に示された意匠を甲号意匠として以下検討する。なお、甲第7号証の売上伝票の記載が、甲号意匠に関し、「NEWあかり」となっており、「NKWあかり」と表示されたその他の証拠の記載と一致しないが、甲第2号証ないし甲第4号証の発注書類、甲第5号証の中国福建省廈門市における展示会における展示状態の写真、甲第6号証の輸入手続証明書、甲第7号証の売上伝票書類、甲第8号証の建立状態の写真、これら全てを総合すれば、甲号意匠が、常に「山西黒、上下蓮華墓石、NK-k(またはK)1.0尺」と表示された墓石本体と一体的に、発注、廈門市の展示会での展示、輸入、販売、建立がなされていたものと認められるから実質的に同じ製品と認められ、また、販売先とされる被請求人も、第7号証は第8号証の「門馬家の墓」に関する売上伝票であるとする点に反論をしておらず、しかも、同証拠の写真は、2図目の本体背面に「平成14年7月」との建立月が明確に示されており、甲第8号証それ自体において、本件登録意匠の出願前に建立されていたことが明らかで、甲号意匠は甲第1号証ないし甲第8号証を総合すれば、少なくとも本件登録意匠の出願前に公然知られていたことが明らかと認められる。
(3)両意匠の比較・検討
本件登録意匠と甲号意匠は、意匠に係る物品が共に香炉であって共通し、形態については、主として以下の共通点、及び、差異点が認められる。
まず、両意匠は、(a)横長方形板状台座部、その台座部上面に設けられた、前面側に左右にスライドする対の扉部を設け、この扉部と共に概略横長直方体状に形成された本体部、その本体部上面に設けられた横長方形板状屋根部からなる点、(b)本体部につき、本体部全体左右幅のほぼ1/4左右幅を有する対の縦長直方体を左右に配し、中央に残余の幅で空隙部を形成し、その空隙部の前面側及び背面側を、上端から下端まで達する同一平面上に配された対の扉部で塞いだ点、(c)前面の扉部につき、共に本体部左右全体幅の1/4強の左右幅を有する縦長方形板状体のものであって、両扉部前面につき、四周の枠取りを設けたもので、枠取りの内側に左右2列、上下3ないし4段の七宝繋ぎ様の透孔レリーフを施した点、(d)台座部につき、直方体状本体部に対して左右及び前側に余地がややはみ出る大きさであって、上面側の左右及び前側各稜部は1/4円弧状の丸みを設け、更に扉をスライドさせるための浅凹溝を本体部前側に接して設けた点、(e)横長方形板状屋根部につき、台座部と同様に本体部に対して左右及び前側が僅かにはみ出る大きさであって、左右両端部付近は台座とほぼ同じ厚み、その内側を段差状に2倍ほど厚みを増やした左右対称形状のものであって、その厚みの増えた部分の前面側につき、段差部付近に僅かの余地を残し、上下幅の1/2幅で下側を僅かの深さの段差で凹部を設け、屋根部前端面の厚み幅が段差状に折れ曲がった同じ幅の感を呈する態様とした点、更に(f)屋根部上面左右中央に、前端付近に僅かの余地を残し同一断面形状が後端にまで達する飾り部を設けたものであって、その飾り部の断面形状につき、僅かに扁平とした中央半円弧の左右に更に扁平とした1/4円弧を連ねた左右対称形状とした点、(g)前面両扉部相互に接する両側縁部につき、上端から下端付近にまで達する指掛け用抉り状縁落とし部を設けた点、(h)本体部背面側左右両扉部内側面の両扉が相互に接する側縁部近くに、上下両端を半円弧状とした指掛け用凹溝を設けた点、が共通する。
一方、両意匠は、(ア)前面側両扉の七宝繋ぎ様の透孔レリーフにつき、本件登録意匠は1単位の模様を僅かに縦長とした上下4段構成としているのに対して、甲号意匠は1単位の模様をやや縦長とした上下3段構成としている点、(イ)本体左右両直方体部前面につき、本件登録意匠は無模様であるのに対して、甲号意匠は1輪の葉付きばら様模様を左右両面に対称的に表している点、に差異がある。
そこで両意匠の共通点及び差異点の類否判断に及ぼす影響について検討すると、前記共通するとした(a)ないし(g)の共通点に係る構成態様は、両意匠の全体形状及び意匠の要部を構成する正面側及び上面側において、(ア)及び(イ)の差異点を除くほぼ全ての構成態様に係るのもので、これらは相まって極めて共通感の強い視覚的まとまりを生じさせており、類否判断に支配的影響を及ぼしているのに対して、(ア)の差異点については、七宝繋ぎ様透孔レリーフとしている点に関しては共通しており、その共通点から生じる共通感をさほど減ずるまでに至らない比率及び単位数の差異であり、(イ)の差異点における甲号意匠の模様は微弱な平面的模様にすぎず、また、本件登録意匠において、これを廃した点に格別特徴があるとは到底いえないものであり、何れの差異点も類否判断に及ぼす影響は極く僅かであり、また、これらの差異点の相俟った効果を考慮したとしても別異の視覚的まとまりを生じさせるとは到底いえないものであるから、本件登録意匠は甲号意匠に類似するといわざるを得ないものである。なお、請求人が本件登録意匠は意匠法第3条第1項第1号に該当すると主張しているのに対して、当審が意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するとして無効通知を行ったのは、これらの差異点が存在すること、また、甲号意匠の側面及び背面形状が明確にされていないことにより、甲号意匠と本件登録意匠は同一であると認定することができなかったからである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し、同条同項の規定に違反して登録されたものであって、その登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定によって、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2004-08-16 
結審通知日 2004-08-18 
審決日 2004-09-06 
出願番号 意願2002-34436(D2002-34436) 
審決分類 D 1 11・ 111- Z (C7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 敦 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 2003-06-20 
登録番号 意匠登録第1181590号(D1181590) 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ