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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H5 |
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管理番号 | 1109715 |
審判番号 | 不服2003-12477 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2005-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-07-03 |
確定日 | 2005-01-11 |
意匠に係る物品 | 磁気カード読取り器 |
事件の表示 | 意願2002- 10223「磁気カード読取り器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願意匠は、2002年4月16日に意匠登録出願したものであって、願書およびその添付書類の記載によれば、意匠に係る物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、意匠に係る物品を「磁気カード読取り器」とし、意匠登録を受けようとする部分の形態を添付図面に示すとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.引用意匠 原審の拒絶理由に示した引用意匠は、2000年(平成12年)7月10日に日本国特許庁が発行した意匠公報に記載された、意匠登録第1078564号の意匠であって、同公報の記載全体によれば、意匠に係る物品を「カード記録再生器」とし、その形態を同公報に記載した図面代用写真に示すとおりとしたものである。(別紙第2参照) 3.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品の機能および使用目的が共通していると認められる。 しかしながら、両意匠の形態については 、主として以下のとおりの共通点および差異点が認められる。 先ず、共通点として、全体の位置および範囲について、本願意匠は、機器のハウジングの中央に設けた読み取り部の表面のやや横長矩形状であって、その略中央に模様を施している部分の形態に係り、引用意匠もこれに相当する部分の形態を構成している点が認められる。 一方、具体的な態様についての差異として、(1)読み取り部の表面の態様について、本願意匠は、平坦面状であり、取り付け態様において垂直状としているのに対し、引用意匠は、緩やかな凹面状であり、取り付け態様において水平状としている点、(2)模様について、本願意匠は、斜めに傾いた横長略矩形の下側2辺に暗調子の陰影を施し、その前後を斜めに傾いて一周するように環状線を現しているのに対し、引用意匠は、縦長略矩形の右辺および下辺の外側に同一方向の斜線で陰影を施している点が認められる。 4.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点および差異点を総合して、両意匠の類否について考察すると、前記共通点については、この種物品分野において、読み取り部の表面を機器のハウジングの中央に設けた態様のものは普通に見受けられ、読み取り等を確実にするため、読み取り位置を示す種々の模様を施すことも普通に行われる手法であり、いずれも両意匠のみに格別のものとは言えないから、両意匠の類否判断を左右するほどの要素とはなり得ないものである。 一方、前記差異点について検討すると、差異点(1)については、読み取り部の表面が垂直状であるか水平状であるかは、機器本体の取り付け態様による必然的な差異ではあるが、本願意匠の表面が平坦面であるのに対し、引用意匠のものは緩やかな凹面状であるから、形態全体の基本的な態様についての差異であり、読み取り部が注意を払う部位でもある点を勘案すると、その差異は両意匠の類否に影響を与えると言える。差異点(2)については、前記のとおり、中央の注意を惹く部位に施した具体的な模様の差異であるから、形態全体の基調に異なる影響を与えるものであり、また、模様は観る者の注意を惹く要素である点を勘案すると、その差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。なお、原審は、拒絶理由において、本願意匠の模様は、各種情報を記録したカードを表すマークとして、カードを中心に、その周囲を略楕円形状の輪で取り囲んだような線を表すことは、本願意匠の出願前より既に観られるから、当該輪を表すことは本願意匠のみの特徴とは言えないとして、カードリーダーの意匠を例示しているが、同例示意匠は、左右両辺を垂直状とした平行四辺形の内側に複数の平行斜線を施し、その前後を一周する垂直方向の環状線を現している態様のものであり、環状線については多少共通する点があるとしても、そのほかの具体的な態様が本願意匠のものとは異なり、カード状の模様部分と環状線状の模様部分とを組み合わせた態様も様々見受けられる点も考慮すると、引用意匠および同例示意匠のみによって直ちに本願意匠の新規性を否定することはできない。 そうすると、これら差異点に係る態様を総合した場合に生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するほどのものと言える。 以上のとおりであり、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品の機能および使用目的が共通しているが、形態については、共通点が両意匠の両意匠の類否判断を左右するほどの要素とはなり得ないのに対し、差異点に係る態様を総合した場合の意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するほどのものと言えるから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。 5.結び したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当しないものであり、原審の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2004-12-27 |
出願番号 | 意願2002-10223(D2002-10223) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 下村 圭子 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 小林 裕和 |
登録日 | 2005-01-21 |
登録番号 | 意匠登録第1232108号(D1232108) |