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審決分類 審判    J7
管理番号 1121283 
審判番号 無効2004-88008
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-04-27 
確定日 2005-07-28 
意匠に係る物品 注射器 
事件の表示 上記当事者間の登録第1168007号「注射器」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1168007号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、結論と同旨の審決を求める、と申立て、その理由として、審判請求書に記載のとおりの以下の主張をし、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第16号証の書証を提出した。
(1)登録第1168007号意匠(以下「本件登録意匠」という。)は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当するものであり、同法第48条第1項第1号の規定により、その登録は無効とされるべきである。〔無効理由1〕
(2)本件登録意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであるから、意匠法第3条第2項の規定に該当するものであり、同法第48条第1項第1号の規定により、その登録は無効とされるべきである。〔無効理由2〕
第2.被請求人の答弁
被請求人は、審判請求書の副本を送付し、期間を指定して答弁書の提出を求めたのに対して、その期間を経過しても答弁書の提出をしなかった。
第3. 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年5月31日に意匠登録出願され、平成15年1月24日に設定の登録がなされたものであり、願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「注射器」とし、形態を、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである(別紙第1参照)。
2.甲号意匠
甲号意匠は、平成12年1月18日に公開された特許庁発行の刊行物である公開特許公報の特許出願公開番号特開2000-14779号に掲載された図4-1に示された「注射器」の意匠であって、その形態は該図面に表されたとおりとするものである(別紙第2参照)。
3.本件登録意匠と甲号意匠の類否について
本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態について以下に示す共通点及び差異点が主として認められる。
すなわち、共通点として、両意匠は、(1)ともに指用フランジを設けた円筒状のバレル(外筒)内一部に、指あて及びガスケットをそれぞれ端部に設けた軸本体を2枚同形板を十文字に交差させて構成したプランジャー(内筒)を挿入し、バレル先端にキャップを施した基本的な態様とし、具体的には、(2)バレルの長さとガスケットを除いたプランジャーの長さをともに同等の長さとした点、(3)プランジャー軸本体の上部寄り約1/4程の部分の幅を下部部分幅よりも僅かに細めに形成した点、(4)バレルの指用フランジ形状を長方形各辺を緩やかに凸湾曲させた形状、つまり所謂略米俵形状様の薄板形状とした点、(5)プランジャーの指あて部形状を上記指用フランジ横幅と同幅の薄い円板状とした点、(6)ガスケット形状を円筒状にし、その外周に3重環を等間隔に設けた点、が主に認められる。
一方差異点として、(ア)本件登録意匠は、バレル先端キャップ形状を、短円筒状の先端にその筒径よりも一回り大きな円板形状を設けた形状としたのに対して、甲号意匠は、全体を長い緩やかな尖頭状形状とし、そのキャップ口部と同口部寄りに円環形状を設けた形状とした点、(イ)バレルの指用フランジ面形状を、本件登録意匠は、針側面上下端部寄りにそれぞれ細い凸状線を設け、外側面上下の周縁に細い凸状線を形成したのに対して、甲号意匠は、両面ともに平面板形状である点、(ウ)バレル内筒先端形状とガスケットの先端形状を、本件登録意匠は僅かに緩やかな円弧面形状としたのに対して、甲号意匠は単なる平面形状とした点、(エ)本件登録意匠のガスケットに円盤状とみられるストッパーが設けられているのに対して、甲号意匠にはそのようなものは設けられていない点、が認められる。
そこで上記共通点と差異点につき、両意匠の類否判断に及ぼす影響を意匠全体として検討する。
まず、両意匠において共通する前記基本的構成態様の(1)の点については、両意匠の形態の全体にかかわり、その骨格を成すものである。そして、この基本的構成態様と同じく共通する前記具体的構成態様の(2)及び(3)、つまり、バレルとプランジャー(ガスケット除く)の長さ構成形状、プランジャー軸本体の態様においても共通し、さらに、(4)ないし(6)の指用フランジ形状、指あて部形状、ガスケット形状の各機能部形状についても共通していることが認められ、この態様は本件登録意匠の全体形態及び各部の形態とほぼ一致して、本件登録意匠及び甲号意匠に共通する全体の基調を形成しており、本件登録意匠の類否判断に決定的な影響を及ぼしているものと認められる。
これに対して、前記各差異点については、それらはいずれも微弱な差異に止まるものであって、それぞれが類否判断に及ぼす影響は僅かであると言うべきである。
すなわち、差異点(ア)のキャップ形状の相違については、本件登録意匠は先端に注射針を装着していない状態のキャップ形状であるのに対して、甲号意匠は注射針を装着した状態のキャップ形状であって、キャップの長さの相違は注射針分の長さ形状の差異がそのまま形状に表されているまでであり、つまり、注射針を装着した場合としていない場合のキャップの形状の差異であって、この種物品分野においてはこのような2種類のタイプのキャップ形状が用意されていることは既に知られている(甲第3号証、甲第4号証、甲第6号と甲第8号証、甲第10号証等)ことからも、本件登録意匠のキャップ形状が格別顕著な特徴を有して差異を主張しているものと言うこともできず、類否判断に及ぼす影響は極めて僅かでしかないと言うべきである。(イ)のフランジ面の細い凸状線の有無については、指の滑り止めやフランジ補強のために設けることは従来から知られているところであり(甲第7号証、甲第8号証等)、その細い凸状線も一本の極細い凸状線やフランジ周縁凸状線であって、ともに僅かな低い突部形状に過ぎないことから、この点も格別顕著な特徴とも言えず、類否判断に与える影響は僅かなものと言わざるを得ない。(ウ)のバレル内筒先端形状とガスケットの先端形状については、バレル内筒先端形状とガスケット先端形状が対応する形状に形成することがこの種物品の分野においては通常であって、例えば、両対応する形状を緩やかな円弧面、緩やかな円錐面等や平面状とすることも知られているところであり(甲第3号証、甲第4号証、甲第7号証、甲第8号証等)、本件登録意匠のその突出面形状も極僅かな面であり、その差異はほんの僅かな差異にしか過ぎない微弱な差異に止まり、その共通性の中に包摂されているものと認められる。(エ)のストッパーの有無については、そのストッパー形状自体も薄く、あて部円板形状とほぼ同形状とみられ、フランジに接して設けられていることからよく注意してみないと識別しにくい程度であって、この点もほんの僅かな差異にしか過ぎない微弱な差異に止まり、その共通性の中に包摂されていると認められる。
そうすると、以上のいずれの微弱な差異点を総合しても、両意匠の類否判断を左右するには至らず、本件登録意匠は、前述のとおり甲号意匠と全体形態及び各部の形態がほぼ一致しており、全体として類似するというほかない。
以上のとおりであって、本件登録意匠はその出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、請求人が主張したその余の理由について検討するまでもなく、同法第3条の規定に反して登録されたものであるから、その登録は、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2005-05-31 
結審通知日 2005-06-02 
審決日 2005-06-14 
出願番号 意願2002-14778(D2002-14778) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
杉山 太一
登録日 2003-01-24 
登録番号 意匠登録第1168007号(D1168007) 
代理人 畠 豊彦 

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