• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200588017 審決 意匠

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判    D2
審判    D2
管理番号 1137848 
審判番号 無効2005-88023
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-11-01 
確定日 2006-05-25 
意匠に係る物品 回転飲食台 
事件の表示 上記当事者間の登録第1240256号「回転飲食台」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申し立て及び理由の要点
請求人は、「登録第1240256号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)の意匠登録を無効とすべきものとするとの審決を求める。」と申し立て、その理由として、審判請求書及び弁駁書のとおりとし、その要点は、(1)本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然に知られた意匠に類似する意匠であって、意匠法第3条第1項第3号に該当し、意匠登録を受けることができないものであるから、その意匠登録は意匠法第48条第1項第1号に該当し、無効とされるべきであること(無効理由1)、及び、(2)本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然に知られた意匠に基づき、当業者が容易に創作できた意匠であって、意匠法第3条第2項に該当し、意匠登録を受けることができないものであるから、その意匠登録は意匠法第48条第1項第1号に該当し、無効とされるべきである(無効理由2)と主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証、甲第15号証、甲第16号証、甲第20号証、甲第26号証の書証を提出している。
その理由の要旨は以下のとおりである。
1.無効理由1
本件登録意匠は、株式会社マルシゲが経営する店舗名「魚錠可児店」において平成15年7月2日から使用され公然と知られた意匠(以下、「引用意匠」という。)に類似する意匠である。
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は、願書及び願書添付図面の記載によれば、意匠に係る物品が「回転飲食台」であり、「回転寿司店で使用される回転飲食台の巡回路内側に設けられた付け台」部分について意匠登録を受けたもので、その意匠登録を受けた部分の形状の要旨は以下のとおりである(別紙第1参照)。
すなわち、(I)基本的構成態様は、(a)巡回路側から見て、傾斜面と垂下面からなる前面板と、(b)平坦面の天板と、(c)垂下面の背面板と、(d)垂下面の側面板を両側に設け、または端部切りっぱなしとし(本件意匠公報からは特定できない。) (e)底面には、前面板と背面板から連続する前部取付折曲面と後部取付折曲面を設け、(f)全体を横長の略箱状体としている。(II)具体的構成態様は、(g)横長略箱状体の構成比率をほぼ、高さ:奥行き:横幅=1:3.2:21とし、(h)前面板の傾斜面と垂下面の構成比率をほぼ2:1とし、(i)底面の前面取付折曲面は前面板の垂下面に当接する「L」字状部品を配し、(j)同後部取付折曲面は背面板を折曲して形成している。
(2)引用意匠
引用意匠は、甲第9号証に示すとおりのものである。その意匠に係る物品は、「回転飲食台」であり、その本件登録意匠に該当する部分の形状の要旨は以下のとおりである(別紙第2参照)。
すなわち、(I)基本的構成態様は、(a)巡回路側から見て、傾斜面と垂下面からなる前面板と、(b)平坦面の天板と、(c)垂下面の背面板と、(d)垂下面の側面板を両側に設け、(e)底面には、前面板と背面板から連続する前部取付折曲面と後部取付折曲面を設け、(f)全体を横長の略箱状体としている。(II)具体的構成態様は、(g)横長略箱状体の構成比率をほぼ、高さ:奥行き:横幅=1:2.7:74とし、(h)前面板の傾斜面と垂下面の構成比率をほぼ1:1.4とし、(i)底面の前面取付折曲面は前面板を折曲して配し、(j)同後部取付折曲面は背面板を折曲して形成し、(k)横方向へは、3つの略箱状体を板状の接続具で連接している。
(3)両意匠の対比
<両意匠の共通点>
両意匠は、意匠に係る物品が一致する。
意匠登録を受けた部分である付け台の構成態様は、(I)基本的構成態様において、(ア)巡回路側から見て、傾斜面と垂下面からなる前面板と、(イ)平坦面の天板と、(ウ)垂下面の背面板と、(エ)垂下面の側面板を両側に設け、(オ)底面には、前面板と背面板から連続する前部取付折曲面と後部取付折曲面を設け、(カ)全体を横長の略箱状体としている、点で共通している。(II)具体的構成態様は、(キ)横長略箱状体の高さ:奥行きの構成比率をほぼ、1:3とし、(ク)後部取付折曲面は背面板を折曲して形成している、点で共通している。
<両意匠の差異点>
具体的構成態様において、(ケ)本件登録意匠は、高さ:横幅=1:21としているのに対し、引用意匠は同比率を1:74とし、(コ)本件登録意匠は前面板の傾斜面:垂下面=2:1とした構成比率としているのに対し、引用意匠は同構成比率をほぼ1:1.4とし、(サ)本件登録意匠の底面の前部取付折曲面は、前面板の垂下面に当接する「L」字状部品で構成しているのに対し、引用意匠は前面板を折曲して設け、(シ)本件登録意匠は略箱状体を一体で形成しているのに対し、引用意匠は3つの略箱状体を板状の接続具で連接して構成している、点で相違している。
(4)類否判断
両意匠は、この種物品において最も看者が注意を喚起される巡回路側から観た横長略箱状体において、前面板が傾斜面と垂下面から形成され、基本的構成態様が共通し、また、横長略箱状体の基本的構成態様が共通している。当該基本的構成態様は、本件登録意匠の要部を成すものである。本件登録意匠は、回転飲食台の巡回路内側にほぼ巡回路と同幅の奥行きで付け台に幅を持たせ、また当該付け台の天板を平坦面にすることで、巡回路内側にカウンターのような存在感を持たせた意匠的効果と、当該付け台の圧迫感を解消するため客側に面した前面板に傾斜面を設けた点が、当該横長略箱状体の意匠上の特徴を形成しており、よってこれらが意匠の要部を成すもので、これらを引用意匠は全て具備している。
一方、横幅の構成比率(ケ)、及び横幅方向の略箱状体の連接の有無の相違(シ)は、回転飲食台の長さと冷蔵ショウケース、調理台など他の機器、什器との配置関係で付け台の横幅を適宜選択し、また当該略箱状体を連接するものであるから、この種物品において、一般的な変更に過ぎず本件登録意匠の特徴あるところとは言えない。前面板の傾斜面と垂下面の構成比率の相違(コ)は、当該付け台の客側の圧迫感を解消する形状の目的に即して観れば、その態様は共通しており、極めて微弱な相違に過ぎないから、本件登録意匠の特徴を構成し得ない。底面に「L」字状部品を配した点(サ)は、引用意匠との比較において外観上前部取付折曲面より下方に垂直面が突出しているか否かの相違に等しいので、特徴のあるところとは成り得ない微差の範囲である。
したがって、両意匠の共通点は意匠の要部に係る顕著なものであるから、両意匠に前記の差異点があっても、その支配的態様が共通するというべきで、両意匠は全体として類似する。
(5)結論
したがって、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然に知られた意匠に類似する意匠であって、意匠法第3条第1項第3号に該当し、意匠登録を受けることができないものであるから、その意匠登録は意匠法第48条第1項第1号に該当し、無効とされるべきである
2.無効理由2
本件登録意匠において、両側に垂下面の側面板を設けたものでなく、端部切りっぱなしとした態様と認定されるならば、横長略箱状体の端面に該箱状体の断面形状に即して垂下面の側面板を設けることは端面形状として一般的な手法であるから、この場合はその出願前に日本国内において公然に知られた意匠に基づき、当業者が容易に創作できた意匠であって、意匠法第3条第2項に該当し意匠登録を受けることができないものである。
第2. 被請求人の答弁及び理由の要点
被請求人は結論同旨の審決を求めると答弁し、甲第1〜8号証は、引用意匠が、平成15年7月に魚錠可児店内に設置され、公知となった事実の証拠とはなり得ない旨主張するとともに、無効理由については、要旨以下のとおり反論している。
(1)本件登録意匠の要部
本件登録意匠の要部は、(1)垂下面が回転飲食台上面から僅かに突出している程度であり、正面視においては大部分が傾斜面として表れており、客から視認される正面(前面板)側全面が傾斜面として認識されるため、圧迫感を与えることが全くない点、(2)付け台正面側垂下面が、付け台底面から下方に向けて突出して表れており、回転飲食台に固定された付け台用ブラケットに取り付ける際等、位置調節が極めて容易であり、この隙間を隠すことができ、回転飲食台のデザイン性を損なうことが全くない点、及び、(3)全体に肉薄であり、左右(長さ)に対して上下(高さ)が低く、奥行き(幅)も狭く、全体的にスリム、かつスマートな印象を与えている点である。
(2)本件登録意匠と引用意匠の対比及び類否判断
本件登録意匠の独特の特徴である要部(1)〜(3)は、引用意匠には一切表れていない。(1)引用意匠は、明らかに垂下面が回転飲食台上面から大きく突出し、客から前面板の傾斜面と垂下面(垂直面)とがはっきりと両方それぞれ視認されるため、客に圧迫感を与える。傾斜面と垂下面との構成比率から、傾斜面とはいい難く、単なる面取り加工を施した面取り加工面と言わざるを得ない。(2)引用意匠は、垂下部がない。(3)引用意匠は、置台全体が肉厚である。
(4)その他の相違。本件登録意匠に係る物品中の「付け台」は一体物であるのに対して、引用意匠の「置台」は3個連接させている。また、本件登録意匠は、平面視L型の複線巡回路を備えた回転飲食台であるのに対して、引用意匠は平面視ロ型の単線巡回路を備えた回転飲食台である。
業務用厨房機器において、縦、横、高さの構成比率、その前面形状および単体にて使用するか否か、下方への垂直面の突出部の有無、は取扱い性、安全性、デザイン性から最重要視されるべき点であり、底面板より下方に突出させた垂直面には位置ズレが生じた場合に露出部を隠す効果、および取付位置の位置決め機能を有するという本件意匠独特の効果を奏するものであり、加えて、適宜選択して決定された縦、横、高さの構成比率の形態こそが、「工業デザイン」そのものである。
したがって、当業者のみならず使用者でも両意匠を容易に区別することができ、明らかに両意匠は美感を異にし、非類似である。
(3)以上のように、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然に知られた意匠に類似する意匠ではなく、意匠法第3条第1項第3号に該当する意匠ではない。
第3.当審の判断
1.無効理由1(意匠法第3条第1項第3号該当性)について
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は、平成16年8月10日の意匠登録出願に係り、平成17年4月1日に設定の登録がされた意匠登録第1240256号の意匠である。その願書及び願書添付図面の記載によれば、意匠に係る物品が「回転飲食台」であり、平面視L型の複線巡回路を備えた回転飲食台の巡回路内側に設けられた付け台(飾り台)部分について意匠登録を受けたもので、その意匠登録を受けた部分の形状の要旨は以下のとおりである(別紙第1参照)。
すなわち、(I)基本的構成態様は、(a)全体を横長略直方体の厚板状とし、奥行きをほぼ巡回路と同幅として、巡回路側の前面板の略全体を傾斜面とし、下端部を垂下面で形成したもので、(II) 具体的構成態様は、(b)横長略直方体の高さ:奥行き:横幅の構成比率を略1:3.2:21とし、(c)横長略直方体を形成する前面板の傾斜面と垂下面(底面前端に突出した接続面板部を除く)の構成比率を略6:1とし、(d) 横長略直方体の前面板を垂下延長し、底面前端に接続面板部を形成したものである。
(2)引用意匠
引用意匠は、甲第6号証ないし甲第9号証に表れている意匠で、その意匠に係る物品が「回転飲食台」であり、本件登録意匠の意匠登録を受けた部分に相当する部分は、平面視ロ型の単線巡回路を備えた回転飲食台の巡回路内側に設けられた付け台(置台)であり、その部分の形状の要旨は以下のとおりである(別紙第2参照)。
すなわち、(I)基本的構成態様は、(a)全体を横長略直方体の厚板状とし、奥行きをほぼ巡回路と同幅として、巡回路側の前面板の上半部を傾斜面とし、下半部を垂下面で形成したもので、(II) 具体的構成態様は、(b)横長略直方体の高さ:奥行き:横幅の構成比率を略1:2.7:74とし、(c)横長略直方体を形成する前面板の傾斜面と垂下面の構成比率を略1:1.3とし、(d)横方向に3分割されているものである。
(3)両意匠の対比
両意匠は、意匠に係る物品が一致する。
本件登録意匠の意匠登録を受けた部分は、平面視L型の複線巡回路を備えた回転飲食台の巡回路内側に設けられた付け台であるのに対して、引用意匠の当該部分は、平面視ロ型の単線巡回路を備えた回転飲食台の巡回路内側に設けられた付け台である。したがって、当該部分の位置、大きさ、範囲は、回転飲食台全体の形状が平面視L型かロ型かで相違する。しかし、回転飲食台の直線部位に付ける点、及び、その直線部位にある一定の長さにわたり巡路内側に設けられた付け台という点で一致している。そして、この種付け台は、種々の形状の回転飲食台に設置されるものであることを考慮すると、両意匠の当該部分の位置、大きさ、範囲はほぼ共通し、当該部分の用途及び機能が一致するものと認められる。
そして、当該部分の形状については、以下のような一致点と相違点がある。
すなわち、両意匠は、基本的構成態様のうち、全体を横長略直方体の厚板状とし、奥行きをほぼ巡回路と同幅として、巡回路側の前面板を傾斜面と垂下面で形成した点で一致する。
一方、(ア)本件登録意匠は、前面板の略全体を傾斜面とし、下端部を垂下面で形成したのに対し、引用意匠は、上半部を傾斜面とし、下半部を垂下面で形成した点、(イ)本件登録意匠は、横長略直方体の高さ:奥行きの構成比率を略1:3.2:21としたのに対し、引用意匠は、略1:2.7:74とした点、(ウ)本件登録意匠は、横長略直方体を形成する前面板の傾斜面と垂下面の構成比率を略7:1としたのに対し、引用意匠は、略1:1.3とした点、(エ)本件登録意匠は、横長略直方体の前面板を垂下延長し、底面前端に接続面板部を形成したのに対し、引用意匠は、接続面板部はない点、(オ)本件登録意匠は、全体が一体のものであるのに対し、引用意匠は、横方向に3分割されている点に相違がある。
(4)類否判断
この種回転飲食台の意匠は、需要者は飲食業者であるが、その意匠の選択に当たっては、来店して当該回転飲食台を使用する客への意匠的効果等を考慮するとともに、作業をする店員等の観点をも考慮するものである。したがって、本件登録意匠については、客の観点と店員等の作業者の観点を総合して、その美感が決定されるものと認められる。
公知意匠を参酌し、両意匠の構成態様について検討すると、この種回転飲食台の巡回路内側に付け台を設けた構成、及び、その付け台の全体を横長略直方体の厚板状とし、奥行きをほぼ巡回路と同幅とした構成態様は、引用意匠の公開前にすでに広く知られたありふれた構成態様であり(例えば、意匠登録第1162766号、特開2002-112875号、特開2002-17548号参照。)、また、カウンター等の客側となる前面部を斜面と垂下面で構成することも広く知られたありふれた構成態様と認められる(例えば、特開平11-18897号、特開平11-346898号、特開2001-252171号参照。)。
したがって、両意匠における一致点のうち、全体を横長略直方体の厚板状とし、奥行きをほぼ巡回路と同幅とした基本的構成態様における一致点は、両意匠のほとんど全体を占める構成態様であるが、上記のように既に広く知られたありふれた構成態様であり、また、客側の前面板を傾斜面と垂下面で形成した構成も広く知られたありふれた構成態様であって、いずれの一致点も格別特徴的なものとはいえない。
これに対し、前面板の傾斜面が略全体にわたるか上半部のみかの相違点(ア)は、前面板部という看者が注意する見えやすい部位におけるもので、基本的構成態様を形成する態様における明白な相違点である。また、この種カウンター等においては、前面部を斜面と垂下面で構成することは広く知られたありふれた構成態様であるので、より具体的な斜面と垂下面の構成態様の相違が看者に注目されるものと認められ、具体的構成態様における傾斜面と垂下面の構成比率を略7:1と、略1:1.3とする相違点(ウ)は、看者の注意を惹き、顕著な意匠的効果の相違をもたらすものである。底面前端の接続面板部の有無の相違点(エ)は、底部を下方から見ないと気が付かない取付態様の相違であり、この種回転飲食台の看者にとってはほとんど注意を惹かない部位での相違であって、接続面部の有無自体は、特に異なる意匠的効果を生じさせるものではない。しかし、本件登録意匠は、底面前端に接続面板部を設けることで、全体の厚みを薄くしており、横長略直方体の高さ:奥行きの構成比率の相違点(イ)が視認され、両意匠の意匠的効果に相当の相違を生じさせる。そして、そのような厚みの相違をもたらす構成として、接続面板部の有無の相違点(ウ)は看者の注意を惹くものと認められる。
したがって、両意匠は、基本的構成態様においてある程度一致点があるものの、それは広く知られたありふれた構成態様であり格別看者の注意を惹かず、一方、前面板部の傾斜面構成において顕著な相違があり、その相違は基本的構成態様に係るものでもあり、具体的構成態様における全体の厚みの相違とあいまって、両意匠に異なる美感を起こさせるものと認められる。
なお、請求人は、本件登録意匠は、側面板を両側に設けているのか、または端部切りっぱなしとしたのかが特定できない、旨主張している。たしかに、本件登録意匠は側面においては外形状のみを特定した意匠と認識される。しかし、この種回転飲食台の巡回路内側に設けられた「付け台」は、その使用状態を考慮すると、側面に他の機器が配置されるか側板が設けられるものと認められ、そうすると、側面においては外形状のみを特定しただけでも、回転飲食台の巡回路内側に設けられた「付け台」部分の意匠は具体的であると認められる。また、本件登録意匠が側面においては外形状のみを特定した意匠であることが、両意匠の類否判断に影響するところはない。
以上のように、両意匠は異なる美感を起こさせるもので、類似するものではない。
(5)むすび
したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず、本件登録意匠を無効とすべきものとすることはできない。
2.無効理由2(意匠法第3条第2項該当性)について
上記のように、本件登録意匠は、側面においては外形状のみを特定した意匠と認識され、側面板のない意匠とは認識できないから、この無効理由については論ずるまでもないが、念のため検討する。
上記のように、本願登録意匠と引用意匠は、側面板以外の構成態様、特に前面板部の傾斜面構成において顕著に相違し類似するものではなく、実質的に同一の意匠ではない。そうすると、引用意匠から、両側の側面板を取り除いたとしても、本件登録意匠と同一の意匠が創作されるものではない。したがって、本件登録意匠は、引用意匠に基づき、当業者が容易に創作できた意匠であるとはいえず、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当せず、本件登録意匠を無効とすべきものとすることはできない。
3.むすび
以上のように、本件登録意匠は、引用意匠に類似しないものであり、また、引用意匠に基づき当業者が容易に創作できた意匠でもない。したがって、引用意匠が公然に知られたかどうかを検討するまでもなく、審判請求人の申し立ては理由がない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2006-03-28 
結審通知日 2006-03-31 
審決日 2006-04-13 
出願番号 意願2004-24100(D2004-24100) 
審決分類 D 1 113・ 111- Y (D2)
D 1 113・ 121- Y (D2)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 梅澤 修
特許庁審判官 杉山 太一
樋田 敏恵
登録日 2005-04-01 
登録番号 意匠登録第1240256号(D1240256) 
代理人 渡邉 知子 
代理人 日高 一樹 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ