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審決分類 |
再審 無効 2項容易に創作 審決却下 L2 |
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管理番号 | 1177628 |
審判番号 | 再審2006-95001 |
総通号数 | 102 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠再審公報 |
発行日 | 2008-06-27 |
種別 | 再審 |
審判請求日 | 2006-02-04 |
確定日 | 2007-01-09 |
意匠に係る物品 | 側溝用ブロック |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1037733号「側溝用ブロック」の意匠登録無効審判事件(無効2000-35055)について、平成14年3月26日にした審決に対する再審の請求があったので、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件に係るこれまでの手続の主な経緯は次のとおりである。 ・平成 6年 9月 9日:意匠登録出願(意願平6-26962号) ・平成11年 2月26日:意匠権の設定登録(意匠権者:平田純一(本件 再審被請求人)) ・平成12年 1月19日:無効審判請求(請求人:株式会社ウチコン(本 件再審被請求人)) ・平成12年 8月 8日:審決(請求不成立) ・平成12年 9月25日:審決の取消を求めて東京高等裁判所へ提訴 ・平成13年 3月26日:判決(平成12年(行ケ)第357号事件) (審決取消) ・平成13年 9月25日:上告受理申立却下 ・平成14年 3月26日:審決(無効とする)(本件再審の請求に係る審 決) ・平成14年 5月 2日:審決の取消を求めて東京高等裁判所へ提訴(請 求人:平田純一(本件再審被請求人)) ・平成14年 9月11日:判決(平成14年(行ケ)第220号事件) (請求棄却) ・平成15年 2月 4日:上告受理申立却下 ・平成15年 2月 4日:審決確定 ・平成16年 8月25日:審決の取消を求めて東京高等裁判所へ再審請求 提訴(請求人:原 文男(本件再審請求人)) ・平成17年 3月 2日:判決(平成16年(行ケ)第321号 審決取 消等請求事件)(訴え却下) ・平成18年 2月 4日:本件再審請求 第2.本件再審に係る平成14年3月26日審決(以下、「第2審決」という。) 第2審決は、無効審判請求(無効2000-35055)について、当事者として、請求人を株式会社ウチコン(代理人:小島清路・外1名)、及び被請求人を平田純一(代理人:前田勘次)と記載した上で、次のとおり結論した。 「登録第1037733号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。」 第3.再審請求人の主張 1.請求人と被請求人の利害関係について まず、被請求人平田純一との関係について、第2審決当時、請求人は、平田純一が代表者である有限会社リタッグの営業部長として勤務し、意匠登録第1037733号の意匠に係る「側溝ブロック」の営業を担当していた。 また、被請求人株式会社ウチコンとの関係について、その被請求人は、登録第1037733号の意匠登録を無効とした第2審決の請求人であって、再審請求人及び有限会社リタッグ並びに全国リボーン側溝工業会に著しい不利益を被らせた。 2.再審請求の理由の要旨は、以下のとおりである。 (1)民事訴訟法第338条5?7項及び9項 (2)意匠法違反 (3)被請求人らの弁理士同士の通謀・結託 (4)特許庁審判官らの被請求人内海に対する便宜等の不正行為 (5)特許庁審判課書記官で意匠担当者の妨害行為 3.当審の判断 (1)本件再審の請求は、第2審決に対してなされたものであるが、その審決の当事者は、本件再審の被請求人である株式会社ウチコン(代理人:小島清路・外1名)、及び平田純一(代理人:前田勘次)であり、本件再審の請求人は、当事者ではなく、また、参加人にも該当しないから、第三者であると認められる。 そうすると、当事者でなく第三者である本件再審の請求人が再審を請求できる事由は、意匠法第54条第1項に規定する「審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって審決をさせたとき」に限られるものである。 (2)そこで、再審請求書の「請求の理由」を検討すると、請求人は、第三者であるから、前記2.の請求の理由(1)?(5)のうち意匠法第54条第1項の規定に該当し、第三者が再審を請求することができる事由となり得るのは、請求の理由(3)のみである。 すなわち、請求の理由(3)は、「第1回目の審決の控訴審(東京高等裁判所)において、被請求人らの弁理士同士の通謀・結託により、被請求人平田純一の訴訟代理人弁理士である前田勘次が、請求人やリタッグから『答弁に対する主張をして重要証拠を提出してほしい』との強い依頼を受けていたにも拘わらず、重要な主張を意図的にせず、重要証拠を故意に提出しなかったことで、審決が取消しに至った。」というものである。 ところで、本件再審にかかる第2審決は、第1回目の審決の控訴審(東京高等裁判所:平成12年(行ケ)第357号)の確定判決の拘束力に従って判断したものであって、その後控訴(平成14年(行ケ)第220号)されたが、審決の判断を支持する判決がなされ、さらに上告されたが、平成15年2月4日に上告申立却下がなされ、審決が確定したものである。 そうすると、第2審決は、第1回目の審決の控訴審の確定判決に拘束されて判断しているので、その控訴審において、本件再審の被請求人である株式会社ウチコン及び平田純一が、共謀して「審決を取り消す」との判決をさせたかどうかを検討すると、意匠権者である平田純一(当該控訴審においては被告)は、その控訴審において、 「(1)甲第1号証記載の意匠に基づく容易創作性 側溝用ブロックと排水桝との用途及び機能の相違から、両者が同一 の物品分野に属さないことは明らかである。すなわち、排水桝は周囲 が閉ざされた輪状の蓋受部を有するものであり、側溝用ブロックのよ うに道路に沿って長く連接して使用するものとは基本形状が異なる。 排水桝等の蓋受部の一部に弧状のものがあったとしても、意匠全体と して必ずしも似ているとは限らず、側溝用ブロックの蓋受部を弧状と することが容易となるものではない。 (2)甲第2、第3号証記載の各意匠に基づく容易創作性 原告は、甲第3号証記載の意匠の「蓋受部」は、傾斜部を意味する 旨主張するが、「蓋受部」とは、内壁面の上端の切り欠いた部分全体 を指すというべきであり、原告の主張は失当である。 (3)甲第4号証記載の意匠に基づく容易創作性 集水孔と蓋受部とでは、機能、目的及び用途が異なり、集水孔の形 態を蓋受部全体に表した場合、もはや集水孔としての機能を果たさな いこととなるから、集水孔の形状を蓋受部全体に表すことが当業者の 容易にし得ることとはいえない。 (4)原告の提出した証拠の中には、部分的に本件意匠の蓋受部のような湾 曲形状が含まれているものもあるが、それらは、特定の部位の特定の 断面におけるものであって、同一部位であっても異なる断面において は本件意匠とは全く異なる形状となっている。原告は、こうした証拠 の組合せに基づいて意匠法3条2項の適用を主張するが、意匠は全体 の形態を細かく細分化すれば、すべて公知の意匠となってしまう性質 を有するのであり、意匠法は、このことを前提として、公知の形状の 配置ないし組合せから生ずる新たな美的価値を保護するものである。 したがって、意匠の構成態様が単に公知の形状の組合せであるという 理由のみで容易に創作をし得たということはできない。 なお、本件意匠の実施に係る側溝用ブロックは、全国の当業者によ って広く支持されており、このことは、本件意匠の創作的な価値を裏 付けるものというべきである。」などと、原告(株式会社ウチコン)の主張に対して反論を行っていることから、共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって判決をさせたものとはいえないものである。 したがって、その確定判決の拘束力に従って判断された本件再審に係る第2審決は、共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもって審決をさせたものとはいえず、本件再審の請求は理由がないものである。 また、意匠法第58条で準用する特許法第173条には再審の請求期間が規定され、同条第1項には「再審は、請求人が取消決定又は審決が確定した後再審の理由を知った日から30日以内に請求しなければならない。」と規定されている。 ところで、再審請求の理由及び証拠方法によれば、請求人は、第三者とはいえ、本件登録意匠について無効の審判請求が株式会社ウチコンよりなされる以前から、被請求人である平田純一が代表者である有限会社リタッグの営業部長として、本件登録意匠に係る側溝ブロックの営業をしていたことから、有限会社リタッグと株式会社ウチコンとの間での訴訟事件にかかわっており、無効審判請求事件についても、当初より平田純一を通じてすべて認識していたものと認められる。そして、請求人が、上記請求の理由(3)を知ったのは、請求人が第1回目の控訴審の判決確定(平成13年9月25日、上告受理申立却下)後、第2審決がなされる前に、請求人名で特許庁に「直訴陳述書」(平成14年1月21日付)を提出している(甲第33号証の審決3頁6?7行)ことから、遅くとも該「直訴陳述書」を提出した日前であることは明らかである。 第2審決は、控訴審・上告受理申立却下を経て、平成15年2月4日に確定したものであるが、その後、請求人は、無効2000-35055号等の審決の破棄を求めて、特許庁長官を被告として平成16年8月25日付けで東京高等裁判所に訴えを提起したところ、「訴え却下」の判決が平成17年3月2日になされ、その後確定したものである(平成16年(行ケ)第321号審決取消等請求事件)。 そうすると、本件再審の請求は、少なくとも平成16年(行ケ)第321号審決取消等請求事件の判決が確定した日には、第2回審決に対する再審理由をすでに知っていることから、その判決が確定した日から30日以内に請求しなければならないところ、その判決の約11ヶ月後に、本件再審の請求がなされたものである。 したがって、本件再審の請求は、適法な再審請求期間内になされたものと認めることができないものであり(なお、再審請求人は、上記約11ヶ月の間に、「その責めに帰することができない理由により該期間内にその請求をすることができなかった」旨の理由を証拠とともに述べていないことから、意匠法第58条で準用する特許法第173条第2項の規定の適用もない。)、この点からも本件再審の請求は許されないこととなる。 (3)まとめ 以上のとおり、再審請求人の主張する再審の理由をもってしては、意匠法第54条第1項の規定により再審を請求することができないものであり、また、本件再審の請求は、意匠法第58条で準用する特許法第173条に規定する再審の請求期間内になされたものではないものであって、しかもその補正をすることができないものであるから、本件再審請求は、意匠法第58条第4項の規定によって準用する特許法第174条第2項の規定によってさらに準用する特許法第135条の規定により、これを却下する。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-07-21 |
結審通知日 | 2006-07-26 |
審決日 | 2006-08-08 |
出願番号 | 意願平6-26962 |
審決分類 |
D
5
11・
121-
X
(L2)
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最終処分 | 審決却下 |
特許庁審判長 |
西本 幸男 |
特許庁審判官 |
伊勢 孝俊 岩井 芳紀 |
登録日 | 1999-02-26 |
登録番号 | 意匠登録第1037733号(D1037733) |