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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1203713 |
審判番号 | 不服2009-4422 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-03-02 |
確定日 | 2009-09-11 |
意匠に係る物品 | コンデンサ |
事件の表示 | 意願2008- 9416「コンデンサ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願意匠は、平成20年4月14日に意匠登録出願されたものであって、願書及び願書添付の図面によれば、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって、意匠に係る物品が「コンデンサ」であり、その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.原審の拒絶理由の要旨 原審において、本願意匠を拒絶すべき理由として要旨以下の通り通知をしたものである。 この種電子部品の分野においては、全体を直方体形状とし、その底面部の縁部に矩形薄板状の端子部を複数個やや突出して取り付けたものが、本願の出願前より公然知られているものであるところ(特許庁発行の公開実用新案公報記載、平成2年実用新案出願公開第063525号第1図(a)のチップ型固体電解コンデンサの意匠、例示意匠1、別紙第2参照)(特許庁意匠課が2004年5月31日に受け入れたCERATECH PRODUCTS第51頁所載のフィルターの意匠、例示意匠2、別紙第2参照)、本願意匠は、当該意匠登録を受けようとする部分につき、単に、全体を縦長長方形薄板形状とし、底面部の左右端部に沿って略矩形状の端子部を上端部寄りと下端部寄りにそれぞれ2個ずつ合計8個、若干左右に突出して取り付けたまでに過ぎないものであり、容易に意匠の創作をすることができたものと認められ、意匠法第3条第2項の規定に該当する。 3.審判の請求理由の要旨 (A)本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の特徴は、「参考底面図」に示すように、上端および下端寄りに設けられた4個の陽極端子に対し、内方の4個の陰極端子がそれぞれ近接して設けられ、かつそれら左右端部に設けられた2つの陰極端子がそれぞれ大きく離間されて設けられ、全体的に8個の端子が2個ずつ左右端部の上端および下端寄りに配列されて設けられた端子のレイアウト構成にある。 (B)すなわち、左右端部の上端および下端寄りにそれぞれ陽極端子と陰極端子を近接して設けることにより、コンデンサのESL特性を改善することができ、これによりノイズ除去や過渡応答性に優れたコンデンサを実現しており、この端子のレイアウト構成は、直方体形状をしたコンデンサにおいて本体底部に、陽極および陰極の端子をそれぞれ4個(計8個)設ける場合の、最も商品性能の優れた構成態様の1つである。 (C)よって、単に3つの略L字状形状の端子部を底部に非対称に設けた引用意匠1の意匠や、8個の略コ字状の端子を両側に4個ずつ均等な間隔で設けた引用意匠2の意匠のように、全体を直方体形状とし、その底面部の縁部に矩形薄板状の端子部を複数個やや突出して取り付けたものが、本願の出願前より公然知られているという理由のみで、この種物品の機能および特性を引き出すことを目的に創作がなされた本願の意匠の意匠登録を受けようとする部分が、容易に意匠の創作をすることができたもの、ということはできず、意匠法第3条第2項の規定に該当するものではない。 この種商品においてその意匠の創作は、その開発における大きな目的・動機である商品の機能や特性を向上させるための研究開発の成果が形状として現れたものあり、その視覚的効果は、当業者からすれば、他商品とのその商品機能・特性の違いを推し量る上で重要な役割を果たすものである。よってその機能上の特徴点が現れた本願意匠の特徴は視覚的効果を考慮する意匠の見地から観て評価されるべきものである。 4.当審の判断 本願意匠が拒絶の理由に基づき、容易に意匠の創作ができたか否かについて、請求人の主張も参酌し、以下検討する。 (1)本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって、意匠に係る物品を「コンデンサ」とし、その意匠登録を受けようとする部分を略扁平直方体の下方約1/2の部分としたもので、その形態は、底面の前後両端寄りに、底面及び左右両側面より僅かに突出して同形同大の端子を左右に2個ずつ合計8個前後左右対称状に設け、端子は、矩形状の薄い板状体を正面視略「L」字形状に屈曲した態様としたものである。 (2)創作容易性の判断 まず、(a)矩形状の薄い板状体を正面視略「L」字形状に屈曲した端子については、本願意匠の出願前より、同様の端子を設けたものは例示意匠1以外にも多数見受けられ、矩形状の薄い板状体を正面視略「L」字形状に屈曲した端子をもって、直ちに本願意匠が意匠全体として創作容易であるとは認めることができない。次に、(b)端子を左右に2個ずつ合計8個前後左右対称状に設けた態様は,この種のコンデンサの物品分野において、本願意匠の出願前より様々な配置のものが認められ、その中にあって底面の前後の中央部に広い隙間を設けて、前方寄りに左右2個ずつ、後方寄りにも左右2個ずつ取付けたレイアウトは、本願意匠の出願前には他に例のない態様であって、本願意匠の特徴であるということができる。さらに、(c)例示意匠1と例示意匠2とを結び付け、容易に創作ができたか否かについて、例示意匠2は端子を略「コ」の字状に屈曲したものであって、本願意匠と異なり、その配置も異なるものであり、端子が突出している部位も底面から平面にかけてであって、底面及び左右両側面に突出して端子を設けた本願意匠とは大きく異なるものである。そうすると、略「L」字状に折り曲げた端子を設けることが、例示意匠1によって公然知られたものであったとしても、それと例示意匠2とを結び付け,本願意匠のような態様まで容易に想到できるとは認めることができず、例示意匠1及び例示意匠2に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとは認めることができない。 以上のとおり、本願意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内または外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。 5.むすび したがって、本願意匠は、意匠法第3条第2項に掲げる意匠に該当しないものであり、同条同項により拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-08-31 |
出願番号 | 意願2008-9416(D2008-9416) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
並木 文子 鍋田 和宣 |
登録日 | 2009-10-02 |
登録番号 | 意匠登録第1372345号(D1372345) |
代理人 | 日高 一樹 |
代理人 | 渡邉 知子 |