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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1209854 
審判番号 不服2009-8768
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-23 
確定日 2010-01-12 
意匠に係る物品 テレビジョン受像機 
事件の表示 意願2008- 13657「テレビジョン受像機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
1 本願意匠
本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下、「本願意匠」という。)は、2008年(平成20年)5月30日に出願したものであって、出願書類の記載によれば、意匠に係る物品を「テレビジョン受像機」とし、その形態を願書の記載および添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決に添付の「図面第1」参照)

2 引用意匠
原審において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁特許情報課が2008年4月3日に受け入れた米国特許商標公報、2008年 3月11日08W11号に掲載されたテレビ受像機(登録番号US D563916S)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH20307506号)であって、その形態は、同公報に現されたとおりのものである。(審決に添付の「図面第2」参照)

3 本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠および引用意匠は、いずれもテレビジョン受像機に係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点および差異点が認められる。
先ず、共通点として、形態の全体は、正面視横長略矩形の奥行きの短い扁平なテレビジョン受像機本体の筐体(以下、「テレビ本体」という。)の下端略中央を、扁平な略矩形のスタンド部の中央後端寄りの短い支柱部で支持して構成したものである点、各部の具体的な態様において、テレビ本体前方の態様は、画面部の外周に、前端面垂直状の内枠部を形成し、内枠部の周囲を外向き傾斜面の外枠部とし、内枠部の下枠部位と外枠部の下枠部位との間の細長い略長方形状のスペースをスピーカー部とし、内枠部の下枠部位とスピーカー部との間にごく細幅の間隔を設けている点、そして、テレビ本体背面の態様は、上縁及び左右両縁を角面状に面取りし、支柱部の上側に略矩形の板状の突出部を形成している点が認められる。
一方、差異点として、(1)テレビ本体の内枠部の内側の態様について、本願意匠は、画面部を内枠部前端面よりもわずかに後方としているのに対し、引用意匠は、内枠部に対する画面部の部位が不明であって、内枠部の内側を内枠部前端面と同一面状に透明な板状体で覆っている点、(2)本願意匠は、内枠部及び外枠部のいずれも上枠部位相互及び左右両枠部位相互のそれぞれ間にごく細い溝を巡らせているのに対し、引用意匠は、そのような溝を形成していない点、(3)スピーカー部の態様について、本願意匠は、中央上端の小さな横長矩形状部分に各種LED部等を設けているのに対し、引用意匠は、全面に網点状の模様を現して横略三等分に区割りし、LED部等を設けた態様を現していない点、(4)テレビ本体背面の板状の突出部の態様について、本願意匠は、テレビ本体の縦の長さの約5分の4を一辺とする略正方形状としているのに対し、引用意匠は、テレビ本体の縦の長さの約7分の1を縦幅とする細長い横長略矩形状としている点、そして、(5)スタンド部の態様について、本願意匠は、上面視横長長方形状であって、上面に横略3等分の区割り線を施しているのに対し、引用意匠は、前端を前方へ緩やかな弧状とし、左右両端を後方へ次第に拡張して、上面の前後両方を後端寄りに向かって次第に高く形成している点が認められる。

4.本願意匠と引用意匠の類似性についての判断
以上の共通点および差異点を総合し、本願意匠と引用意匠が意匠全体として類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について以下考察する。
先ず、形態の全体について共通しているとした点は、この種薄型のテレビ本体の骨格を成す構成としてありふれたものであり、各部の具体的な態様について共通しているとしたそれぞれの態様は、本願意匠の出願前から、引用意匠のほかにも多数見受けられ、本願意匠と引用意匠のみに共通する点とは言えず、両意匠の類似性についての判断に与える影響も軽微なものにとどまると言えるから、これら共通点を総合したとしても、直ちに両意匠の類似性についての判断を左右するものとはなり得ない。
一方、前記各差異点が、本願意匠と引用意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、差異点(1)については、本願意匠は、引用意匠のように内枠部の内側を内枠部前端面と同一面状に透明な板状体で覆っていないため、内枠部が引用意匠のものよりもより多く露出し、内枠部を前方のいずれの方向からも明確に視認できる態様であり、展示状態、使用態様において目に触れやすいテレビ本体正面の態様についての差異である点を考慮すると、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(2)については、本願意匠に施した溝はごく細い態様のものであるが、内枠部及び外枠部のいずれも上枠部位相互及び左右両枠部位相互のそれぞれ間に巡らせたものであり、画面部の周囲を視覚的に引き締めている効果が認められるから、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。差異点(3)については、本願意匠の各種LED部等を設けた横長矩形状部分は、スピーカー部の中央上端の小さな態様のものであるが、操作時など使用態様においては、比較的注意を払う部位についての差異である点を考慮すると、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。差異点(4)については、テレビジョン受像機を他の機器との接続や壁面に取り付ける場合、その背面の態様にも注意を払うから、両意匠の類似性についての判断に影響を与える要素となり得るものである。差異点(5)については、スタンド部を扁平な略矩形とした態様はこの種物品の多数に共通する点であるところ、その具体的な態様については各種各様のものが見受けられ、本願意匠のスタンド部は、上面視横長長方形状であって上面に横略3等分の区割り線を施したシンプルな態様に新規性が認められ、テレビジョン受像機を床に据え置いた場合、いずれの方向からも目に触れやすい部位の態様についての差異である点も考慮すると、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。そうすると、差異点(1)?(3)及び差異点(5)は、比較的目に触れやすい部位の態様についての差異であり、これら差異点にかかる態様が相乗した場合に生じる意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。
以上のとおり、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態については、共通点よりも差異点の方が両意匠の類似性についての判断に与える影響が支配的であるから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。

5.結び
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。



別掲
審決日 2009-12-16 
出願番号 意願2008-13657(D2008-13657) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 鍋田 和宣
並木 文子
登録日 2010-01-29 
登録番号 意匠登録第1381354号(D1381354) 
代理人 田畑 昌男 

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