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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 A1
管理番号 1214476 
審判番号 不服2009-18596
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-01 
確定日 2010-03-09 
意匠に係る物品 スパゲッティ 
事件の表示 意願2007- 30462「スパゲッティ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2007年(平成19年)11月 2日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「スパゲッティ」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとし,拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開特許公報 昭和60年特許出願公開第006172号(発明の名称「溝付き押出成形麺」)の第1D図に表された「押出成形麺」の意匠であって,その形態は,同公報の図版に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 本願意匠と引用意匠の対比
1.意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,本願意匠は,「スパゲッティ」であり,引用意匠は,「押出成形麺」であって,意匠に係る物品が一致する。

2.本願意匠と引用意匠の形態
本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

(1)共通点
両意匠は,全体が側面(断面)形状が一定の細長略丸棒形状であって,その外周面長手方向に側面視略V字状の溝を3条形成したものであり(本願意匠の願書に添付した図面の向きを前提に引用意匠の図面の上下を逆として対比する。),1条の溝と他の2条の溝が側面視向かい合うように配置することにより,側面全体が略M字形状となるようにしている点,

(2)相違点
(A)全体の細長略丸棒形状の側面視において,本願意匠は,縦横の長さの比がほぼ均しい略円形状であるのに対して,引用意匠は,横の長さが縦の約2倍弱と本願意匠に比べて横が縦より長い略楕円形状である点,

(B)外周面において,本願意匠は,底面側の中央にできる略V字形状の下端に,左右の突端との水平位置を揃えた平坦面が形成されており,それが側面視においても底面側の線分として表れているのに対して,引用意匠は,緩やかな湾曲面とするだけで,平坦面が形成されず,その幅も幅広で底面側に2条の溝が表れる点,

(C)側面視略V字状の3条の溝の深さが,本願意匠は,側面の縦幅の半分を超えて深いのに対して,引用意匠は,側面の縦幅の半分より短い点,また,略M字形状の底面側左右突端の角度が,本願意匠は,鋭角であるのに対して,引用意匠は,鈍角である点。


第4 類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断すると,両意匠の前記共通点に係る構成態様は,意匠全体の骨格を成すものではあるが,概括的な構成態様を表出しただけであり,また,その共通するとした構成態様は本願出願前のこの種物品分野の意匠に照らすところ,両意匠のみの特徴を形成する程のものとはいえないので,これが類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。

これに対して,前記各相違点については,相違点(A)の側面の態様差は,側面を縦横の長さの比がほぼ均しい略円形状とした本願意匠の態様自体に格別新規な特徴があるとはいえないながら,それが相違点(C)の側面視略V字状溝の態様差及び略M字形状の底面側左右突端の態様差と相まった結果,本願意匠における略M字形状が引用意匠における極太の変形した略M字形状よりも細幅に形成されることになり,両意匠における略M字形状の印象の差に大きな影響力を有するものであるから,この相違点が類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである。

相違点(B)の外周面底面部の平坦面の有無は,両意匠の基本的な造形意図において大きく異なるところであり,視覚的にも本願意匠の平坦面が底面側に線分として明確に視認されるのに対して,引用意匠は2条の溝が表現されるだけであり,看者に与える印象は大きく異なるものであるから,この相違点が類否判断に及ぼす影響は大きいものというべきである。

相違点(C)の側面視略V字状溝の深さの相違及び略M字形状の底面側左右突端の角度差については,狭い部分ではあるものの,前述したとおり,相違点(A)と相まって生じる略M字形状の印象の差を踏まえると,この相違はそれ相応の影響力があるというべきである。

そうすると,共通点としてあげた構成態様が,両意匠の類否判断に対して及ぼす影響が大きいということができないのに対して,相違点(A)及び(C)とが相まって,略M字形状の印象が異なるうえに,相違点(B)の底面部の印象も大きく異なることから,それら相違点の相乗する意匠的効果を考慮すれば,もはや相違点が共通点を圧しているというべきであって,本願意匠は引用意匠に類似するということはできないものである。


第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原審の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-02-24 
出願番号 意願2007-30462(D2007-30462) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (A1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
太田 茂雄
登録日 2010-04-02 
登録番号 意匠登録第1386755号(D1386755) 
代理人 渡辺 望稔 
代理人 三和 晴子 
代理人 渡辺 望稔 
代理人 三和 晴子 

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