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審決分類 |
審判 補正却下不服 図面(意匠の説明を含む) 取り消さない C3 |
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管理番号 | 1216231 |
審判番号 | 補正2009-500001 |
総通号数 | 126 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-06-25 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2009-04-03 |
確定日 | 2010-02-10 |
意匠に係る物品 | 汚物入れ |
事件の表示 | 意願2008- 12194「汚物入れ」において、平成20年7月23日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願の手続の経緯 本願は、2007年11月16日のアメリカ合衆国への出願を基にパリ条約による優先権を主張して、平成20年5月16日に意匠登録出願をしたものであり、その意匠は、意匠に係る物品を「汚物入れ」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 請求人(出願人)は、平成20年7月23日付けで手続補正書を提出し、本願意匠について、全図及び意匠の説明を変更する補正を行った(別紙第2参照)。 上記手続補正に対して、原審は、平成20年12月24日付けで、当該補正は、出願当初、全体に明暗の調子を表したものであったところ、形状のみの意匠としたものであり、補正後の意匠は、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず、また、当該点は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼすものであることから、上記手続補正書による補正は、出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものと認められる、との理由で、意匠法第17条の2第1項の規定により、補正の却下の決定をした。 2.請求人の主張 請求人は、上記補正の却下の決定に対して、平成21年4月3日付けで補正却下決定不服審判を請求し、請求の理由として、要旨以下のように主張した。 平成20年7月23日付けの補正は、出願当初、不足していた底面図を補充すると共に、全図を線図による図面に補正したものであり、中央上方の略バケツ形状の本体蓋部について、出願当初、暗調子に表れていたものを、暗調子を表さず(削除して)、その形状部分に補正したものである。 本願意匠の明暗の調子については、「意匠の説明」に、「全図において、表面全部に表された濃淡は、いずれも立体表面形状を特定するためのものである。」と記載したとおり、本願意匠の形状を特定するための表現手法に係るものである。 また、本願意匠は、出願当初、略バケツ形状の本体蓋部の周側面について、暗調子に表していたものを、その暗調子を削除して形状のみの意匠に補正したものであるが、その暗調子は本体蓋部の周側面全体を暗調子に表したもので何ら特異性のないありふれたものであり、その暗調子を削除することに新たな創作は一切加わっておらず、この意匠の属する分野における通常の知識に基づけば、直接的かつ容易に導き出すことができるものである。 底面図を補充した点については、その底面図には、本体部の略楕円形状の底面及びその外周に形成された基台部の外形状、また、フットペダルのトラス構造状のリブが表れているが、その外形状は、平面図から推認でき、また、フットペダルの底面の形状は、正面図下方に表されたフットペダルの正面の態様から推認できるものであり、願書に添付した図面等から総合的に判断して、当該不足する図に表される図形を当然に導き出すことができるものであり、出願当初の本願意匠の要旨を変更するものではない。 したがって、本願意匠の平成20年7月23日付けの補正は、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲のものに補正するものであり、出願当初の願書の記載又は願書に添付した図面等の要旨を変更するものではない。 3.当審の判断 出願当初の願書及び添付図面の記載と、平成20年7月23日付け手続補正後の願書及び添付図面の記載とを比較し、本件補正が出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものであるか否か検討する。 まず、手続補正書において追加された底面図については、出願当初の添付図面から総合的に判断すると、外形状やトラス構造などをおおむね認定することができ、出願当初の要旨を変更するものということはできない。 しかし、出願当初の添付図面には、本体蓋部の周側面及び下端の基台部について、本体下方部の周側面よりも暗調子とした態様が表されているが、補正後の添付図面においては、全体に暗調子部のない態様が表されており、出願当初の添付図面に表された形態と、補正後の添付図面に表された形態とでは、本件意匠の主要な部位における明暗調子が著しく相違している。したがって、補正後の願書の記載及び添付図面に表された意匠は、出願当初の願書の記載及び添付図面に表された意匠の要旨と同一とは認められない。 なお、請求人は、暗調子を削除することに新たな創作は一切加わっていないため、この意匠の属する分野における通常の知識に基づけば、直接的かつ容易に導き出すことができる旨主張するが、形態の外表面の明暗調子についての差異は、意匠の要旨の認定に影響するものであるから、上記主張は採用することができない。 したがって、平成20年7月23日付け手続補正は、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面から、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる意匠の同一の範囲を超えて変更するものであるから、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものであると言わざるをえない。 4.むすび 以上のとおりであるから、平成20年7月23日付け手続補正は意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2009-09-14 |
結審通知日 | 2009-09-15 |
審決日 | 2009-09-29 |
出願番号 | 意願2008-12194(D2008-12194) |
審決分類 |
D
1
7・
1-
Z
(C3)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 下村 圭子、兼安 あい |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
並木 文子 鍋田 和宣 |
登録日 | 2010-04-30 |
登録番号 | 意匠登録第1389174号(D1389174) |
代理人 | 石川 義雄 |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 吉田 親司 |