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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1219794 |
審判番号 | 不服2009-23870 |
総通号数 | 128 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-12-04 |
確定日 | 2010-07-14 |
意匠に係る物品 | 表示装置付きスイッチ |
事件の表示 | 意願2008- 8951「表示装置付きスイッチ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、平成20年4月8日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品が「表示装置付きスイッチ」であり、その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.原審の拒絶理由の要旨 本願意匠に対し、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められ、意匠法第3条第2項の規定に該当するとして原審が通知した拒絶の理由は、要旨以下のとおりである。 スイッチにおいて、キートップ部の外形状を略立方体形状とし、基台部に被せる態様としたものが、本願出願前に公然知られている【意匠1】。 また、キートップ部全体を透明体としたものが、本願出願前に公然知られている【意匠2】。 本願意匠は、出願前公然知られた【意匠1】および【意匠2】に基づいて、一の意匠としたまでのものに過ぎないので、極めて容易に創作することができたものと認められる。 【意匠1】(別紙第2参照) 特許庁意匠課が2006年 2月24日に受け入れた SD形 液晶ディスプレイ VD形 液晶ディスプレイスイッチ 第1頁所載 液晶表示板スイッチの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC18005351号) 【意匠2】(別紙第3参照) 特許庁意匠課が2006年 8月25日に受け入れた nikkai 2006 総合カタログ 第418頁所載 照光式押ボタンスイッチの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC18032323号) 3.審判の請求理由の要旨 本願意匠は、略長方形のスイッチ本体と、このスイッチ本体に被嵌されるスカート状の垂下部が設けられた透明なボタンとからなり、このボタンには幅の小さい相対する側面下部に上辺両端を円弧状に面取りした切欠がそれぞれ形成され、スイッチ本体の四隅には棒状体が配置された表示装置付きスイッチであって、ボタンの幅の小さい相対する側面下部にそれぞれ形成された上辺両端を円弧状に面取りした切欠およびスイッチ本体の四隅に配置された棒状体を構成したところに形状に係る優れた美観を呈している。 【意匠1】は、キートップ部(ボタン)の外形状を略立方体形状とし、その上辺寄りを斜面状に面取りし、基台部(スイッチ本体)に被せる態様としているが、本願意匠の特徴であるボタン側面下部に形成された上辺両端を円弧状に面取りした切欠とスイッチ本体の四隅に配置された棒状体に該当する構成は示されていない。 【意匠2】は、キートップ部(ボタン)全体を透明体としているが、本願意匠の特徴であるボタン側面下部に形成された上辺両端を円弧状に面取りした切欠とスイッチ本体の四隅に配置された棒状体に該当する構成は示されていない。 【意匠1】及び【意匠2】には、本願意匠の美観上優れた特徴であるボタン側面下部に形成された上辺両端を円弧状に面取りした切欠とスイッチ本体の四隅に配置された棒状体に該当する構成は全く示されていない。 したがって、ボタンの幅の小さい相対する側面下部にそれぞれ形成された上辺両端を円弧状に面取りした切欠およびスイッチ本体の四隅に配置された棒状体の構成が本願出願前に公然知られたものでないため、【意匠1】の構成において、【意匠2】に基づいてキートップ部(ボタン)を透明体としても、ボタンの幅の小さい相対する側面下部にそれぞれ形成された上辺両端を円弧状に面取りした切欠およびスイッチ本体の四隅に配置された棒状体の構成に到達し得ないので、【意匠1】と【意匠2】に基づいて容易に創作できたものではない。 4.当審の判断 本願意匠が、容易に意匠の創作をできたものか否かについて、以下検討する。 (1)本願意匠 本願は、意匠に係る物品を「表示装置付きスイッチ」とし、その形態は、押しボタン操作部であるキートップ部(以下、「キートップ部」という。)を透明な略直方体状とし、略直方体状の基台部であるスイッチ本体部(以下、「スイッチ本体部」という。)の上部に覆い被せる態様としたものであって、キートップ部は上面に長方形状の表示部を有し、側面部の上面寄りを斜状としてすぼめ、左右側面の下方を隅丸矩形状に切り欠き、スイッチ本体部は側面部の四隅に円柱状の金属棒を配し、各側面部中央に浅い矩形状凹部を形成し、底面部に前後を小型矩形状に切り欠いた略長方形状の薄板状の底板を形成し、底板四隅には脚部を設け、端子部を配したものである。 (2)本願意匠と【意匠1】の対比 1)キートップ部について、両意匠は、キートップ部を略直方体状とし、略直方体状のスイッチ本体部に覆い被せる態様である点は共通しているが、【意匠1】は上面の長方形状の表示部のみ透明で、側面部は直角状で斜状の部分や切り欠き部を有さず、2)スイッチ本体部について、両意匠は、略直方体状の基台部で底面部に端子部を配した点は共通しているが、【意匠1】は側面部に金属棒を有さず、底板や脚部も設けていない点に差異がある。 (3)本願意匠と【意匠2】の対比 1)キートップ部について、両意匠は、キートップ部全体を透明体とした略直方体状とし、略直方体状のスイッチ本体部に覆い被せる態様である点は共通しているが、【意匠2】の上面部は四辺の中央部を弧状に膨出した略矩形状表示部が透明体から視認できる態様であり、側面部は直角状で斜状の部分や切り欠き部を有さず、2)スイッチ本体部について、両意匠は、略直方体状の基台部で底面部に端子部を配した点は共通しているが、【意匠2】は側面部に金属棒を有さず、底板や脚部も設けていない点に差異がある。 (4)創作容易性の判断 本願意匠と【意匠1】及び【意匠2】は、共に表示部付きスイッチの意匠であるが、まず、(a)キートップ部の形状について、【意匠1】はキートップ部の側面部が全て長方形状で切り欠き部を有しておらず、【意匠2】も、キートップ部が透明ではあるが、表示部の態様も異なり、キートップ部の高さや形状が本願意匠とは異なるもので、【意匠1】と【意匠2】を組み合わせても、本願意匠のようなキートップ部の形状とはならず、次に、(b)スイッチ本体部の形状について、【意匠1】と【意匠2】のいずれのスイッチ本体部においても、側面部に金属棒を有さず、底面部に薄板状の底板も有しておらず、いずれも本願意匠とは態様が異なるものであるから、【意匠1】と【意匠2】を組み合わせても、本願意匠のスイッチ本体部の形状を導き出すことはできず、【意匠1】及び【意匠2】を適用することによって、本願意匠を容易に創作することができたとはいえない。 そして、本願意匠のキートップ部の上面寄りを斜状とした態様や、切り欠き部を設けた側面部の形状は、本願の出願前に知られていたものではなく、また、スイッチ本体部の構成についても、側面部の四隅に円柱状の金属棒を配している点等において、本願意匠の独自の特徴をなすものであり、従来のものに見られない新規な態様といえ、このようなキートップとスイッチ本体部からなる、本願意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠に該当しない。 5.むすび したがって、本願意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり、同条同項により拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-07-02 |
出願番号 | 意願2008-8951(D2008-8951) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
北代 真一 樋田 敏恵 |
登録日 | 2010-07-23 |
登録番号 | 意匠登録第1395358号(D1395358) |