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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 K3
管理番号 1233201 
審判番号 不服2010-19873
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-03 
確定日 2011-02-14 
意匠に係る物品 園芸用容器 
事件の表示 意願2009- 2196「園芸用容器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願の意匠
本願は,平成21年2月3日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「園芸用容器」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。すなわち,本願意匠は,円形状のシートの周囲を略三角形状に折りたたんでポット状の容器としたものであって,平面視が略円形状であり,底面が八角形状であり,底面から上方に向けて徐々に拡径しており,シートの周囲を折りたたんで周側部を形成したことにより,周側部には4つの幅広の略倒立台形状部と4つの幅狭略倒立台形状部が,それぞれ表側と内側に交互に計8つの略倒立台形状部が形成され,側面から観察すると表側に形成された4つの幅広略倒立台形状部の間から内側に形成された幅狭略倒立台形状部の一部が4つの略三角形状部として観察され,両者とも上端部が僅かに凸弧状に湾曲しているものである。

2.原査定の拒絶の理由
これに対して,原査定において,「この意匠登録出願の意匠は,円形のシート等を単に折りたたんで園芸用の容器としたものであって,本物品分野において円形若しくは多角形のシートを折りたたんで容器とすることは例えば意匠1や意匠2に示すように極めて普通に行われています。このため,本願意匠はこの種の物品分野で極めて普通に行われている円形のシートを折りたたんで容器とし,例えば意匠2に示す意匠の折り目の深さを単に変更したに過ぎずないものですので,容易に創作できたものと認められます。
意匠1:特許庁発行の公開実用新案公報記載,平成2年実用新案出願公開第105335号の第2図の植生ポット用の紙袋の意匠
意匠2:特許庁発行の公開実用新案公報記載,平成4年実用新案出願公開第091644号の第2図に示す育苗容器の意匠」
とし,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとして,拒絶の理由を通知した。

3.請求人の主張
これに対し,請求人は,意見書を提出して,要旨以下のとおり主張した。
本願意匠の園芸用容器には,側面において「略台形形状領域」と「略三角形形状領域」とが交互に表れ,側面の上端部においては,「大きなアーチ形状」と「小さなアーチ形状」が交互に表れるという特有の形態を有しており,公知意匠1および公知意匠2に基づいて容易に創作できる意匠には該当しないものと確信する。

4.当審の判断
そこで請求人の主張を踏まえ,本願意匠が創作容易か否かについてさらに検討する。
(ア)引用意匠
本願意匠が,公知の意匠に基づいて容易に創作できたものであるとして引用された意匠は,意匠1として,特許庁発行の公開実用新案公報記載,平成2年実用新案出願公開第105335号の第2図の植生ポット用の紙袋の意匠(別紙第2参照),意匠2として,特許庁発行の公開実用新案公報記載,平成4年実用新案出願公開第091644号の第2図に示す育苗容器の意匠(別紙第3参照)である。すなわち,意匠1は,やや扁平な略八角形状のシートの四隅の短辺部を外側に折りたたんで略逆四角錘台形状を形成したものであり,意匠2は,円形状と思われるシートに少なくとも6つの略縦長三角形状の折りたたみ部を形成することにより略逆円錐台形状を形成したものである。
(イ)検討
本願意匠は,円形状シートの外周を略三角形状に折りたたむことにより周側面に2種類の略倒立台形状部が形成され,表側に4つの幅広略倒立台形状部が表れ,内側の幅狭略倒立台形状部の一部が4つの略三角形状として表れるているのに対して,意匠1および意匠2は,ともに略三角形状の折りたたみ部を有しているが,その折りたたみ部がそのまま略三角形状に表れている点が相違している。
ところで,シート状のものの周囲を折りたたんで容器を形成することは,本願意匠に属する分野に限らず,様々な分野において行われていることであるから,本願意匠のように折りたたみ部がある意匠の場合,シート状のものを折りたたむ手法に着目することなく,そのような手法を用いることにより最終的に形成された意匠を具体的に観察する必要がある。このような観点から本願意匠と引用意匠とを対比観察すると,引用意匠1は,最終的に逆四角錘台形状である点において相違し,引用意匠2は,逆円錐台形状が形成されているものの,周側面に略倒立台形状の折りたたみ部が表れていない点で相違する。したがって,本願意匠のように,表側に4つの幅広略倒立台形状部が表れ,これらの間から内側の幅狭略倒立台形状部の一部が4つの略三角形状として表側に表れている特徴的な態様が,意匠1および意匠2には表れていないし,本願意匠の態様を示唆する態様が全く含まれていないことから,本願意匠には一定の創作があったというべきである。
以上のとおりであって,本願の意匠は,この種の物品分野で極めて普通に行われている円形のシートを折りたたんで容器とし,例えば意匠2に示す意匠の折り目の深さを単に変更したに過ぎずないものということはできず,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。

5.むすび
したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-01-31 
出願番号 意願2009-2196(D2009-2196) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (K3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 繁和 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2011-03-11 
登録番号 意匠登録第1411151号(D1411151) 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

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