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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1236441 |
審判番号 | 不服2010-17435 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-08-04 |
確定日 | 2011-04-11 |
意匠に係る物品 | コンタクトレンズ |
事件の表示 | 意願2009- 20952「コンタクトレンズ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとして,2009年(平成21年) 9月10日に意匠登録出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した写真に現されたものによれば,意匠に係る物品を「コンタクトレンズ」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」を願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,2008年 9月12日に独立行政法人工業所有権情報・研修館が受け入れた「SEXY VISION EYE COLOR MAKES」第2頁所載 コンタクトレンズの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC20016708号)であって,その形態は,同公報の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 本願意匠と引用意匠の対比 1.意匠に係る物品 本願意匠及び引用意匠の意匠に係る物品は,「コンタクトレンズ」であって,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 2.本願意匠と引用意匠の形態 本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (なお,以下,模様についての対比は,すべて本願意匠の平面図における状態,すなわち,平面視で行うものとする。) (1)共通点 基本的構成態様として, (A)全体は,球面体の一部を平面によって切り取った透光性を有する曲面体について,その「中心点」を囲む略円形である「中央略円形部」と細幅帯状の「最外周縁部」を除いた,太幅帯状の略「太輪」状部分に,暗調子及び中間調子の斑点模様を付して,配置・構成したものである点, 具体的構成態様として, (B)前記の略「太輪」状の模様部は,外周側は,円形状の輪郭を描くように暗調子とされており,その暗調子は,一定の幅の帯状に全周にわたって形成されているものであって,その内周側は,暗調子の斑点模様による略細長三角形状の不定型な凸状模様が,略逆放射状に,全周にわたって,不規則に繰り返し連続して配置・形成されており,また,中間調子の斑点模様が,前記暗調子の斑点模様よりも太幅な領域に,背景的に施されているものである点。 (2)相違点 (ア)略「太輪」状の模様部の内周側の具体的構成態様について,本願意匠は,略細長三角形状の不定型な凸状模様が,一定の間隔を空けて形成されているのに対して,引用意匠は,それがほぼ隙間なく形成されている点, (イ)同じく,略「太輪」状の模様部の内周側の具体的構成態様について,本願意匠は,中間調子の斑点模様が,略逆放射状ではなく,規則性のない構成で形成されているのに対して,引用意匠は,これが,略逆放射状に形成されている点, (ウ)コンタクトレンズの曲面体の具体的態様について,本願意匠は,その全体に,均一で薄墨状の明調子をベースとして施しているのに対して,引用意匠は,これがほぼ透明体である点。 第4 本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が一致し,形態については,以下のとおりである。 1.共通点の評価 基本的構成態様に係る共通点(A)について,コンタクトレンズの形状自体,及び,中心点を囲む中央略円形部と最外周部に模様が施されていない点は,物品の特性上共通するのはやむを得ないことであって,この共通性のみをもって両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいということはできないものであるし,具体的構成態様に係る共通点(B)については,略「太輪」状の模様部のうち,暗調子の斑点模様による略細長三角形状の不定型な凸状模様のみを見れば,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるといい得るものの,中間調子の斑点模様の共通性は,両意匠の該模様部を極めて概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであって,これらの共通点をもって,両意匠の類否判断を決定付けているといい得るほどに大きいということはできない。 2.相違点の評価 これに対して,両意匠の具体的構成態様に係る相違点について,相違点(ア)は,両意匠のようなカラーコンタクトレンズの分野の先行公知意匠(例えば,原審の引用意匠が掲載された文献に掲載されたカラーコンタクトレンズの意匠など。)を見ると,共通点(B)の態様を有したものが種々見られるので,この共通点(B)を大きく評価することができない一方,同じ態様に係る相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるというべきである。また,同じく相違点(イ)も前記相違点(ア)と同様の評価をすべきであって,この相違点(ア)と同(イ)が関連して生じさせている視覚的効果は,両意匠の類否判断に及ぼす影響は相当程度大きいというべきである。相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,ほとんどない。 そうすると,前記の共通点が,それぞれも,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けているといい得るほど,その及ぼす影響が大きいということができないものであるのに対して,相違点全体が両意匠の類否判断に及ぼす影響は相当程度大きく,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。 3.小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けているといい得るほどに大きいということができないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2011-03-29 |
出願番号 | 意願2009-20952(D2009-20952) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
市村 節子 太田 茂雄 |
登録日 | 2011-04-28 |
登録番号 | 意匠登録第1415168号(D1415168) |
代理人 | ▲高▼山 嘉成 |