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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E1
管理番号 1259674 
審判番号 不服2011-28306
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-12 
確定日 2012-06-22 
意匠に係る物品 人形用胴体 
事件の表示 意願2011- 3861「人形用胴体」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成23(2011)年2月7日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「人形用胴体」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面代用写真に現されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1245247号「人形」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
両意匠を対比すると,意匠に係る物品について,本願意匠は,「人形用胴体」であるのに対して,引用意匠は,意匠に係る物品が「人形」であるが,いずれも各部位に係る複数のパーツを組み上げて構成されるものであり,引用意匠は,本願意匠に存在しない頭部がある点で異なるものである。その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)胴部,両腕部,両脚部には,それぞれ切り替え部を有し,肩幅より腰部を広幅とし,胴部と両腕部,両脚部が屈曲可能である点,(B)腕部は,肘と手首に関節用の接続部材が設けられ,肘の内側に丸い関節部が膨出している点,(C)脚部は,胴部の高さより僅かに長く,膝及び足首に接続部材が設けられ,膝の裏側に接続部材が視認できる点,において共通する。
(2)差異点
(a)首部について,本願意匠は,首部の上部に円盤状及び略円錐台形状からなる頭部接続部を有しているのに対して,引用意匠は,大きな頭部を有し,首部の上部が視認できない点,(b)胴部について,本願意匠は,胸部と腹部及び腰部の3つに分割され,腰部が短く横長で,略ラグビーボール形状の腹部を有しているのに対し,引用意匠は,独立した腹部を有さず,胸部と腰部の2つに分割され,ウエスト部が僅かにくびれている点,(c)腕部について,本願意匠は,上腕部と胴部との間に細い隙間を有し,腕全体の長さに対する手の長さの比が約1:0.28であるのに対して,引用意匠は,上腕部と胴部が密着して設けられ,腕全体の長さに対する手の長さの比が約1:0.18である点,(d)脚部について,本願意匠は,両脚部の付け根に大きな接続部材を有し,膝前面にはカバー部を有し,膝後面には縦長トラック形状に接続部材が現れ,脚部全体に対する足の長さの比が約1:0.33であるのに対して,引用意匠は,両脚部の付け根に接続部材は有さず,付け根から膝までを同一部材とし,膝前面にはカバー部を有さず,膝後面には略楕円形状に接続部材が現れ,脚部全体に対する足の長さの比が約1:0.29である点,(e)肩部について,本願意匠は,平面視略楕円形状の接続部材を有しているのに対して,引用意匠は,接続部材を有さず,上腕部が胴部左右に直接設けられている点,(f)各関節部について,本願意匠は,接続部材の表面が滑らかで,膝後面の接続部材に凹凸部を有するのに対して,引用意匠は,膝後面の接続部材の中央及び肘の内側に細溝部を有し,股の付け根の接続部材にも略「L」字状及び略逆「L」字状の細溝部を有する点に差異が認められる。
(3)類否判断
そこで検討するに,共通点の態様のうち,共通点(A)の態様は,この種の物品の分野においては,他にも普通に見られるものであり,両意匠を概括的に捉えたものに過ぎず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかない。共通点(B)の態様,及び共通点(C)の態様は,いずれも他にも見受けられる態様であって,それらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。そして,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,看者の注意を強く惹くものであるから,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
すなわち,差異点(a)に係る態様は,頭部の有無が異なり,意匠に係る物品が異なることに起因する,首部における大きな差異であって,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。次に,差異点(b)に係る態様は,胴部の形状に係る大きな差異で,その差異は,看者の注意を強く惹くところであり,両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り,両意匠の印象を大きく異ならせるものといえる。また,差異点(c)及び同(d)に係る態様は,腕部と脚部における具体的な形状における差異であって,それぞれの差異が視覚的に目立つものといえ,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。差異点(e)及び同(f)に係る態様については,これらの差異は部分的なもので,それらのみでは両意匠の類否判断に与える影響は大きいとはいえないが,差異点(b)ないし(d)に係る態様と相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠を見る者に別異の印象を与えているというに十分なものである。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が異なり,その形態においても,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似するということはできない。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-06-08 
出願番号 意願2011-3861(D2011-3861) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
下村 圭子
登録日 2012-07-13 
登録番号 意匠登録第1448544号(D1448544) 
代理人 岩木 謙二 

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