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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B5 |
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管理番号 | 1267056 |
審判番号 | 不服2012-4476 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-08 |
確定日 | 2012-12-06 |
意匠に係る物品 | 短靴 |
事件の表示 | 意願2011- 11070「短靴」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2011年(平成23年)5月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「短靴」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書添付の写真により現されたとおりのものとし,「斜線で示された部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,「本願意匠部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,特許庁総合情報館が1995年8月1日に受け入れた外国雑誌「ARS sutoria」(1995年5月31日発行)第404頁所載の深靴の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB07015460号)の本願意匠部分に相当する部分(以下,「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同雑誌の掲載頁の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 本願意匠と引用意匠との対比 1.意匠に係る物品について 本願意匠の意匠に係る物品は「短靴」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「深靴」であって,両物品ともに屋外で履く靴に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 2.本願意匠部分と引用相当部分の「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,及び範囲」 両部分は,いずれも,靴のソール部分を除いたアッパー部分であって,両部分の用途及び機能は一致し,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,及び範囲も,ほぼ一致する。 3.本願意匠部分と引用相当部分の形態 両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。 なお,本願意匠は左足用の靴であり,引用意匠は右足用の靴であるため,引用意匠の写真版を左右対称に反転させて右側面図として対比する。 (1)共通点として, (A)履き口全周に,やや幅広帯状の足首被覆部が設けられている点, (B)右側方視,踵部に設けられた踵補強片が,略扇型状に表れている点, (C)甲部分に,靴紐通し部及び靴紐が設けられている点, が認められる。 (2)相違点として, (a)やや幅広帯状の足首被覆部上縁の態様につき,側方視すると,本願意匠部分は,下方へ凸の湾曲状を呈しているのに対して,引用相当部分は,略水平な直線状を呈している点, (b)アッパー部とソール部の境界の帯状部の態様につき,右側方視すると,本願意匠部分は,爪先から土踏まず付近まで,幅狭の略同幅帯状を呈し,土踏まず付近は,踵へ向かうなだらかな昇り傾斜状を呈し,踵部付近は,やや幅広の略同幅帯状を呈し,当該帯状部表面全面には,やや複雑な曲線からなる凹凸形状を表しているのに対して,引用相当部分は,爪先から踵に向かって,やや幅広の略同幅帯状を呈し,当該帯状部表面全面には,細かな垂直筋状の凹凸形状を表している点, (c)前甲皮につき,平面視すると,本願意匠部分は,爪先から紐通し部にかけて,やや大きな略「U」の字状の縫製線が表れているのに対して,引用相当部分は,前甲皮略中央位置に略水平な縫製線が表れている点, が認められる。 第4 本願意匠と引用意匠との類否判断 以上の一致点,及び共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,両意匠の類否を意匠全体として総合的に検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が共通し,そして,両部分は,その用途及び機能が一致し,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,及び範囲も,ほぼ一致する。 そして、両部分の形態については,以下のとおりである。 1.共通点の評価 両部分の共通点に係る形態は,いずれも,この種の物品においては,例を挙げるまでもなく,従来から既に見られるありふれた態様であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものと言うほかない。 2.相違点の評価 これに対して,両部分の相違点に係る形態が生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。 すなわち,相違点(a)の,やや幅広帯状の足首被覆部の側方視したときの上縁の態様の相違は,靴の履き心地にも影響を及ぼす部位に係るものであって,看者の注意を強く惹く部分と認められ,本願意匠部分が,上縁を下方へ凸の湾曲状とした態様は,本願出願前には,見られない特徴的な態様といえ,また,相違点(b)の,アッパー部とソール部の境界の帯状部の態様につき,右側方視すると,本願意匠部分は,爪先から土踏まず付近まで,幅狭の略同幅帯状を呈し,土踏まず付近は,踵へ向かうなだらかな昇り傾斜状を呈し,踵部付近は,やや幅広の略同幅帯状を呈し,当該帯状部表面全面には,やや複雑な曲線からなる凹凸形状を表しているのに対して,引用相当部分は,爪先から踵に向かって,やや幅広の略同幅帯状を呈し,当該帯状部表面全面には,細かな垂直筋状の凹凸形状を表している点は,この種物品においては,両部分ともに,それぞれ本願出願前には見られない特徴的な態様であって,異なる美感を呈していることから,相違点(a)及び同(b)が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きなものと言わざるを得ない。 次に,相違点(c)の,前甲皮の平面視の態様の相違については,この種物品においては,両部分ともに,それぞれありふれた態様であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱に留まるものではあるが,前記相違点(a)及び同(b)と相乗して生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものと言うほかない。 3.小括 そうすると,両意匠の意匠に係る物品は共通し,両部分についても,用途及び機能は一致し,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,及び範囲も,ほぼ一致するが,両部分の形態において相違点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠とは類似しないものである。 第5 むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。 また,本願について,他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-11-21 |
出願番号 | 意願2011-11070(D2011-11070) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 神谷 由紀 |
特許庁審判長 |
川崎 芳孝 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 遠藤 行久 |
登録日 | 2012-12-21 |
登録番号 | 意匠登録第1460392号(D1460392) |