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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B5
管理番号 1268309 
審判番号 不服2012-4475
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-08 
確定日 2012-12-13 
意匠に係る物品 短靴 
事件の表示 意願2011- 11076「短靴」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2011年(平成23年)5月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「短靴」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書添付の写真により現されたとおりのものであって,「斜線で示された部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,「本願意匠部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,特許庁意匠課が2008年(平成20年)9月26日に受け入れ,その掲載確認日(公知日)を2008年(平成20年)9月22日と確認したところの,株式会社アサヒコーポレーションがインターネットに掲載した,表題を「ネイムス J168KN</br>ホワイト」とするページ(掲載ページのアドレス,http://www.asahi-websusytem.com/cgi-bin/shoes-search/big-img.asp?HINBAN=KC75201-&HINMEI=ネイムス J168KN</br>ホワイト&PCTCODE=KC75201)に掲載された「深靴」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20029972号)の本願意匠部分に相当する部分(以下,「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同サイト掲載ページの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 本願意匠と引用意匠との対比
1.意匠に係る物品について
本願意匠の意匠に係る物品は「短靴」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「深靴」であって,両物品ともに屋外で履く靴に係るものであることから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。

2.本願意匠部分と引用相当部分の「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,及び範囲」
本願意匠部分と引用相当部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも,靴のソール部分を除いたアッパー部分であって,両部分の用途及び機能は一致し,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,及び範囲も,ほぼ一致する。

3.両部分の形態
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお,引用意匠は,本願意匠の図の向きに合わせて,両部分を対比する。
(1)共通点として,
(A)足の甲を締める細幅バンドのやや右側面寄りに,ハート形状をした細幅リング状の飾りが設けられている点,
(B)正面視において,甲部分の靴紐通し部に,靴紐が編まれている点,
(C)右側面視において,アッパー部とソール部の境界の帯状部につき,爪先から踵に向かってなだらかに拡幅している点,
が認められる。
(2)相違点として,
(a)右側面視において,
(a-1)側面部略左右中央に設けられた,アッパー部とソール部の境界の帯状部上縁と接する,やや右上がりの帯状補強片につき,本願意匠部分は,幅広で,その右端から左上方向に傾斜するやや幅広の帯状補強片と一体となって形成されているのに対して,引用相当部分は,細幅で,倒略「し」の字状を呈し,その右端から左上方向に傾斜するやや幅広の帯状補強片とは別体で形成されている点,
(a-2)爪先補強片につき,本願意匠は,爪先部を覆う略水平部分と,さらに靴紐通し部下端に向かって,左上方向に傾斜するやや幅広の傾斜部分とが一体となって形成されているのに対して,引用相当部分は,爪先部を覆う略水平部分のみで形成されている点,
(a-3)側面部に設けられた左上方向に傾斜する3本の細幅帯状ラインにつき,本願意匠部分は,アッパー部とソール部の境界の帯状部上縁と接する,やや右上がりの帯状補強片とその右端から左上方向に傾斜する帯状補強片とによって挟まれた内側に2本,そして,当該左上方向に傾斜する帯状補強片の上縁に接して1本設けられているのに対して,引用相当部分は,やや右上がりの帯状補強片と左上方向に傾斜する帯状補強片とによって挟まれた内側に3本設けられている点,
(a-4)アッパー部を構成する布地につき,本願意匠部分は,複雑な手書き風の模様が表わされているのに対し,引用相当部分は,やや間隔の広い格子状縫製線が表されている点,
(b)平面視において,爪先部の態様につき,本願意匠部分は,爪先補強片と靴紐通し部下端とに囲まれた略倒三日月形状部分が形成され,当該部分の表面全面は,光沢を有し,小さな点を散りばめたような模様が表されているのに対して,引用相当部分は,爪先部全体の平面視の態様は不明であるが,少なくとも,爪先から靴紐通し部下端にかけて,略帯状の補強片が設けられている点,
(c)背面視において,踵部補強片につき,本願意匠部分は,略「X」の字状を呈しているのに対して,引用相当部分は,その態様が不明である点,
が認められる。

第4 両意匠の類否判断
以上の一致点と,共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,両意匠の類否を意匠全体として総合的に検討し,判断する。

両意匠は,意匠に係る物品が共通し,そして,両部分は,その用途及び機能が一致し,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,及び範囲も,ほぼ一致する。
そして,両部分の形態については,以下のとおりである。
1.共通点の評価
両部分の共通点(A)の,足の甲を締める細幅バンドのやや右側面寄りに,ハート形状をした細幅リング状の飾りが設けられている点については,例を挙げるまでもなく,そのような態様のものが,本願出願前に既に見受けられるところであり,また,共通点(B)及び同(C)に係る形態についても,この種の物品においては,例を挙げるまでもなく,従来から既に見られるありふれた態様であって,いずれも,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである。

2.相違点の評価
これに対して,両部分の相違点に係る形態が生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。
すなわち,この種のファッション性の高い物品においては,相違点(a)ないし(c)は,いずれも,看者の注意を強く惹く部分であって,また,それぞれの相違点に係る本願意匠部分の形態は,いずれも,本願出願前には見受けられない,本願意匠部分のみに見られる特徴ある態様であって,これら相違点(a)ないし(c)が相乗して生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。

3.小括
そうすると,両意匠の意匠に係る物品は共通し,両部分についても,用途及び機能は一致し,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,及び範囲も,ほぼ一致するが,両部分は,その形態において相違点が共通点を凌駕し,看者に異なる美感を起こさせるものであるから,結果,本願意匠は,引用意匠とは類似しないものである。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。
また,本願について,他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-11-28 
出願番号 意願2011-11076(D2011-11076) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神谷 由紀 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 遠藤 行久
橘 崇生
登録日 2012-12-28 
登録番号 意匠登録第1460905号(D1460905) 

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