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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1271057 |
審判番号 | 不服2012-16344 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-08-22 |
確定日 | 2013-02-26 |
意匠に係る物品 | 自動車用サイドバイザー |
事件の表示 | 意願2010- 30536「自動車用サイドバイザー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は,2010年(平成22年)12月21日の,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した写真の記載によれば,意匠に係る物品を「自動車用サイドバイザー」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:2000年(平成12年)8月7日)に記載された意匠登録第813100号の類似意匠登録第10号(意匠に係る物品,自動車用サイドバイザー)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 両意匠を対比すると,両意匠は意匠に係る物品が一致しているが,その形態については,主として以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず,共通点として,全体は,庇部の上端に沿って鍔部を一体として設けた構成であり,正面視形状を,下方に湾曲させた略細幅円弧帯の下端を斜めに切り欠いた略日本刀の刀身形状とし,庇部は,窓枠取付け面と反対側に膨出させ,鍔部は,窓枠取付け面を薄い細帯状に突設し,反対面は庇部の外側面と緩やかに連続する面とした板状体である点。 一方相違点として, (あ)正面視の形状について, 本願意匠は,全体の長さが,上端部の幅の約12倍のやや太幅のものであり,上端から下端に向かって,幅が次第に細くなっているのに対して, 引用意匠は,全体の長さが,上端部の幅の約24倍の細幅のものであり,下端の斜め切り欠き部を除き,幅は全体が略等幅である点, (い)平面視の形状について, 本願意匠は,長手方向の略中間で,ごく僅かに窓側に屈曲して,いるのに対して, 引用意匠は,長手方向の略中間で,緩やかな略への字状に窓側に屈曲している点, (う)庇部の態様について, 本願意匠は,窓枠取付け面の仮想延長面を基準とすると,庇部は,この仮想延長面から次第に遠ざかる傾斜面を形成したのち,全体の幅中央付近で緩やかに屈曲して,今度は仮想延長面に次第に近づく傾斜面を形成し,庇部下端は,前記仮想延長面を付き抜けた,窓面寄りの位置にあるのに対して, 引用意匠は,窓枠取付け面の仮想延長面を基準とすると,庇部は,途中で屈曲することなく,この仮想延長面から次第に遠ざかる傾斜面を形成して,庇部下端は,前記仮想延長面からかなり離れた,窓面から遠い位置にある点, (え)窓枠取付け面側の端部について, 本願意匠は,鍔部周縁には,窓側にごく細幅の段状帯部が突設されており,庇部周縁は,下端部を丸くするとともに,窓側にごく細幅の断面半円弧状縁部を突設しているのに対して, 引用意匠は,鍔部は,窓側全面が平坦面であり,庇部周縁も下端部を丸くしたのみで,窓側への突設部はない点,等がある。 これらの共通点と相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を意匠全体として比較すると,共通点は,全体の基本構成に関する共通点ではあるが,庇部の上端に沿って鍔部を一体として設けることは,この種物品においてごく普通であり,全体の正面視形状を,下方に湾曲させた略細幅円弧帯の下端を斜めに切り欠いた略日本刀の刀身形状とした点は,取り付ける乗用自動車の窓枠形状に合わせた形状として,この種物品においてすでに一般的な形状となっており,庇部を窓枠取付け面と反対側に膨出させることは,この種物品の機能として要求される日射しや雨の降り込みを防ぐための形態であり,鍔部の窓枠取付け面及び反対面の形態も全体として見ると一部分にすぎないため,共通点が類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まるものと言える。 一方,相違点(あ)は,最も目に付く長い領域における相違であり,この長い領域での正面視形状を観察するとき,本願意匠は,やや太幅で,その幅が上端から下端に向かって先細りであるのに対して,引用意匠は,細幅で,略全体が等幅である点は,看者に対して異なる視覚的効果を生んでおり,類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(い)は,屈曲の具体的態様において異なるものの,どちらも長手方向中間において窓側に屈曲しているという点では共通しているのであり,相違点(い)は,この共通点に埋没してしまう程度のものにすぎないから,類否判断に及ぼす影響は微弱である。 相違点(う)は,使用効果に直結する形態の相違として,看者の注意を惹き,視覚的効果を異にするから,類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(え)は,周縁部のごく部分的な形態の相違であるが,相違点(う)と相まって,異なる視覚的効果を看者にもたらすものとなっており,類否判断に及ぼす影響が,一定程度ある。 そして,相違点(あ)ないし(え)が相まって生みだす視覚的効果は,共通点が生む視覚的効果を凌駕しており,相違点全体として類否判断を支配していると言える。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度に止まるのに対して,相違点全体が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点が生む視覚的効果を凌駕して,類否判断を支配しているから,意匠全体として,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。 したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審においてさらに審理した結果,本願について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-02-14 |
出願番号 | 意願2010-30536(D2010-30536) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清野 貴雄、上島 靖範 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
樫本 光司 早川 治子 |
登録日 | 2013-03-29 |
登録番号 | 意匠登録第1468075号(D1468075) |
代理人 | 石田 喜樹 |