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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M3
管理番号 1273871 
審判番号 不服2012-10868
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-25 
確定日 2013-04-17 
意匠に係る物品 建具用レバーハンドルの座板 
事件の表示 意願2011- 7900「建具用レバーハンドルの座板」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成23年(2011年)3月18日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「建具用レバーハンドルの座板」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書添付の図面により表されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,平成23年(2011年)2月9日に欧州共同体商標意匠庁が発行した欧州共同体意匠公報に記載された登録番号第001803636-0006号(意匠に係る物品,ドア開閉用取手付き錠)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH23201337号)で,取付部及び把持部を除く,としたものであって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 本願意匠と引用意匠との対比
1.意匠に係る物品について
本願意匠の意匠に係る物品は,「建具用レバーハンドルの座板」であって,カードをかざしてドアの解錠ないし施錠をおこなう電子錠の機能と鍵による解錠ないし施錠を行うという一般的な錠の機能を有するものであるのに対して,引用意匠の意匠に係る物品は,取付部及び把持部を除く「ドア開閉用取手付き錠」であって,電子錠の機能を有しているかは不明であるが,鍵による解錠ないし施錠を行うという一般的な錠の機能を有するものと認められることから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。

2.形態について
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
(1)共通点として,
全体は,座板部が縦長長方形状の板状体であって,正面には,上から順に,略縦長長方形状の薄い板状体(以下,「略縦長長方形状板状体」という。),レバーハンドル取り付けのための円形の穴(引用意匠は,レバーハンドルが取り付けられていて視認できないが,当該物品分野の知識に基づけば,円形の穴が空いているものと推認される。),及び鍵穴が設けられている点,がある。
(2)相違点として,
(A)略縦長長方形状板状体につき,
(A-1)本願意匠は,座板部表面の上端に近接して設けられているのに対して,引用意匠は,座板部表面の上端から,略縦長長方形状板状体の横幅程度の距離をおいてやや下方寄りに設けられている点,
(A-2)正面視すると,本願意匠は,全体が,四隅を直角とする縦長長方形状であるのに対して,引用意匠は,四隅をやや角丸とし,上辺及び下辺が膨出した弧状を呈する略縦長長方形状である点,
(A-3)側方視すると,上面及び下面は,本願意匠は,なだらかな曲面状を呈しているのに対して,引用意匠は,平坦面状を呈している点,
(A-4)本願意匠は,中央位置に,手でカードをかざしたような図柄が描かれているのに対して,引用意匠には,何も描かれていない点,
(B)鍵穴につき,
(B-1)本願意匠は,座板部表面の下端に近接して設けられているのに対して,引用意匠は,座板部表面の下端から,座板部全高の略1/3程度の距離をおいてやや中央寄りに設けられている点,
(B-2)本願意匠は,円形状を呈し,座板部表面と面一であるのに対して,引用意匠は,円形板状体の下方に舌状の板状体が延設され,座板部表面よりやや突出している点,
がある。

第4 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
1.形態について
(1)共通点の評価
全体は,座板部が縦長長方形状の板状体であって,正面には,上から順に,略縦長長方形状板状体,レバーハンドル取り付けのための円形の穴,及び鍵穴が設けられたという共通点は,両意匠の骨格をなす点ではあるが,この種物品においては,このような態様のものは,例を挙げるまでもなく,本願出願前より見受けられる態様であって,両意匠のみに見られる格別特徴ある態様のものとはいえないことから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,微弱なものと言うほかない。

(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の相違点に係る形態が生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。
すなわち,相違点(A-4)の,略縦長長方形状板状体の中央位置に手でカードをかざしたような図柄の有無については,本願意匠のような図柄は,本願出願前にも見受けられる図柄であり,また,その大きさも格別大きなものではなく,看者の注意を強く惹くものとは言い難いことから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱ではあるが,相違点(A-1)ないし(A-3)が相まって生ずる略縦長長方形状板状体の形態の相違については,本願意匠のような形態のものが,本願出願前には見受けられず,本願意匠のみに見られる特徴あるものといえ,また,当該板状体は,看者の目に付きやすい部分であることを勘案すれば,これらが両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(B)の,鍵穴の形態の相違については,その大きさは比較的小さく,また,本願意匠が円形状とした点は,本願出願前より既に見受けられるものであって,特徴あるものとは言えないが,両意匠の鍵穴の形態は,明らかに異なる美感を呈していることから,両意匠の類否判断に相当程度の影響を及ぼすものといえ,前記相違点(A)と相乗して生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言わざるを得ない。

2.小括
そうすると,両意匠の意匠に係る物品は共通するが,両意匠の形態において相違点が共通点を凌駕し,両意匠は,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠とは類似しないものである。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。
また,本願について,他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-03-25 
出願番号 意願2011-7900(D2011-7900) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邊 久美谿 季江 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 橘 崇生
遠藤 行久
登録日 2013-05-10 
登録番号 意匠登録第1472013号(D1472013) 
代理人 宮口 聡 

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