ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C3 |
---|---|
管理番号 | 1276345 |
審判番号 | 不服2012-14000 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-23 |
確定日 | 2013-06-13 |
意匠に係る物品 | モップ用柄 |
事件の表示 | 意願2010-3116「モップ用柄」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成22年(2010年)2月10日の意匠登録出願であって,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとするものであり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「モップ用柄」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下,「本願実線部分」という。)である。」としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第0966892号(意匠に係る物品、モップ用柄)の意匠の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分(当審注:以下,「引用相当部分」という。)であり,その形態を意匠公報掲載のとおりのものとしたものである。(別紙第2参照) 第3 両意匠の対比 1.意匠に係る物品 本願意匠及び引用意匠の意匠に係る物品は,ともに「モップ用柄」であり,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 2.本願部分意匠と引用相当部分 本願実線部分と引用相当部分は,ともにモップ用柄の清掃用シート挿入及び保持用の切り込み部分(以下,「切り込み部」という。)であって,その「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,範囲」は一致する。 3.両意匠の形態 本願意匠と引用意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 (1)共通点 (A)切り込み部を清掃用シートを巻き付ける略矩形パッド部(以下,「パッド部」という。)の上面4隅付近にパッド部の中心を基準として点対称に4つ設けた点。 (B)切り込み部について,大きなV字状とその頂点部左右に2つずつ連なる小さなV字状を組み合わせた清掃用シート保持用切り込みを形成し,大きなV字状切り込みの頂点部から下方向に延びるように接続する清掃用シートを押し込むための直線状のスリットを設けた点。 (2)差異点 (ア)本願意匠はわずかに傾斜したパッド部の曲面上の4隅に切り込み部を設け,側面から見たときに切り込み部がわずかに視認できるのに対し,引用意匠は平坦なパッド部の4隅に切り込み部を設け,側面からは切り込み部を視認できない点。 (イ)切り込み部について, (イ?1)本願意匠は,大きなV字状の切り込みに連なる小さなV字状切り込みを直線的な切り込みとしているのに対して,引用意匠は,わずかに湾曲した切り込みとしている点。 (イ?2)本願意匠は,清掃用シートを押し込むための直線状のスリットを大きなV字状切り込みの頂点部からやや斜め方向に延びるように接続させ,かつ,当該スリットを隅丸長方形状にわずかに膨らませているのに対し,引用意匠は,垂直下方にスリットを接続させ,本願意匠のような膨らみを形成していない点。 (イ?3)本願意匠は,清掃用シートを押し込むための直線状のスリットを大きなV字状切り込みの頂点部からやや斜め方向に延びるように接続させているため,4隅に点対称に設けられた切り込み部があたかもパッド部の傾斜と相まって略楕円形状の配置を想起させ,動的な印象を与えるのに対し,引用意匠は,当該スリットが直線状であり,4隅に点対称に設けられた切り込み部が矩形状の配置を想起させ,静的な印象を与える点。 第4 両意匠の類否判断 両意匠は,意匠に係る物品,及び本願実線部分と引用相当部分について,その「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,範囲」が一致するが,形態については以下のとおりである。 (1)共通点の評価 共通点(A)は,この種モップ用柄の清掃用シートを保持する切り込みをパッド部の4隅に設けることは広く知られており,両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて微弱であるが,切り込み部における共通点(B)は,両意匠の特徴をなす共通点であり,類否判断に一定程度の影響を及ぼすものである。 (2)差異点の評価 清掃用シートの切り込み部は,非常に目に付き易い部位であり,使用時に需要者が常にシートを挿入したりする際に注視するものであることより,(イ?1)及び(イ?2)の具体的なスリットの態様における差異は,両意匠の類否判断に及ぼす影響は顕著である。また,(ア)及び(イ?3)のパッド部の形態と組み合わさって意識される差異点も本願意匠の特徴を一定程度印象づけるものとなっており,これら差異点が相まった視覚的効果を考慮すると,共通点が類否判断に一定程度の影響を及ぼすものであったとしても,差異点の印象は共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にする。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品及び部分意匠としての「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,範囲」が一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,両意匠は視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2013-05-30 |
出願番号 | 意願2010-3116(D2010-3116) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C3)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 杉山 太一、前畑 さおり |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 川崎 芳孝 |
登録日 | 2013-07-12 |
登録番号 | 意匠登録第1476709号(D1476709) |
代理人 | 三好 秀和 |