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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1287484 |
審判番号 | 不服2013-22820 |
総通号数 | 174 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-22 |
確定日 | 2014-04-10 |
意匠に係る物品 | 乗用自動車 |
事件の表示 | 意願2011- 26444「乗用自動車」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2011年(平成23年)6月24日の世界知的所有権機関への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成23年(2011年)11月16日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「乗用自動車」とし,その形態を願書及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,2010年5月31日発行の国際事務局意匠公報に記載された,国際意匠登録第DM/072341号の意匠(当審注,「意匠」を追記)(特許庁意匠課公知資料番号第HH22504493号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠との対比 (1)意匠に係る物品について 本願意匠の意匠に係る物品は,「乗用自動車」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「(英語)Motor vehicle」(訳:乗用自動車)であるから,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態には,以下に示す主な共通点及び相違点が認められる。 なお,対比の都合上,本願意匠の図面の記載にならい,引用意匠の図1.1を引用意匠の「右側面前方から見た斜視図」とし,その他は,これに準じて表されているものとし,両意匠の車体前方をフロント側(本願意匠の写真では,「正面図」として表れる。),車体後方をリア側(本願意匠の写真では,「背面図」として表れる。),車体側面を側面側とする。 [共通点について] (A)全体は,4ドア3ボックス型の乗用自動車であって, (B)車体フロント側については,ボンネット上面部に,Aピラー根元部分からフロントグリルの枠部内側の上端部付近まで,ほぼ直線状のプレスラインを左右に1条ずつ形成し,フロントバンパー下端部に,車幅一杯の正面視略横長隅丸長方形状の開口部を形成し,ボンネット前方端部とフロントバンパー中央上端部の間に,正面視略逆台形状の枠体のフロントグリルを配し,その左右側に側面側下角部を隅丸形状とした正面視略台形状のフロントコンビネーションランプを横一列となるよう配設した態様とし, (B-1)フロントグリルは,グリルの枠内に複数の横桟をほぼ等間隔に配し,全ての横桟中央部分及びグリル上枠の中央部分の前面に,周囲を円環状とした円板部を1つ形成している点, (B-2)フロントバンパーは,開口部に格子状のロアグリルを設け,開口部の左右上端部分に,フロントコンビネーションランプの横幅とほぼ一致する幅の正面視略平行四辺形状のランプ取付け部を1つずつ配設している点, (C)車体側面側については,フロントフェンダー及びリアクォータパネルのアーチ縁部に,一定の細幅の垂直面を形成した略円弧状のホイールアーチを設け,このホイールアーチ間に水平なサイドモールを1条設け,フロントドア及びリアドア下方部に水平な凸状筋模様を1条形成した態様とし, (D)車体リア側については,トランク上面部と左右リアクォータパネル上部からなる車体リア側上面部を,ウエストライン上部の傾斜面からトランク上面部にかけて後面視略円弧状となるように形成し,トランク上面部後端部から下に向かって垂直に,後面視略倒立台形状のトランク垂直部を形成し,このトランク垂直部中央部分に,周囲を円環状とした円板部を1つ配設し,トランク垂直部の左右辺のほぼ中央部分を横切ってトランク垂直部左右部分から車体側面後端部にかけて,側面側に向かって上辺が上向きに傾く背面視略隅丸四角形状のリアコンビネーションランプを配設し,そのトランク垂直部下辺部の下側に段差を設け,リアバンパーを配設した態様としている点, が認められる。 [相違点について] (ア)車体のフロント側について (ア-1)ボンネットの態様について,本願意匠は,車体側面の左右フロントフェンダー間までの幅をもつ平面視略倒D字状とし,Aピラー根元前方部分と辺で接して配設しているのに対して,引用意匠は,フロントウインドウ左右下端部からフロントグリル左右上端部までの範囲の平面視略逆台形状とし,Aピラー根元前方部分の内側角部のみで接して配設している点, (ア-2)フロントグリルの態様について,本願意匠は,フロントグリルを,外側に向かって後方に傾斜した太めのフロントグリル左右枠,それよりやや細いフロントグリル下枠,より細いフロントグリル上枠で構成し,フロントグリル下枠とほぼ同じ幅の横桟を,フロントグリル左右枠前面部分にその左右端部が浮き出る形態で等間隔に3条形成し,その横枠の後方により細い縦枠を4本配設しているのに対して,引用意匠は,フロントグリルを,枠部全部をほぼ同じ幅で構成し,それと同じ幅の横桟を,フロントグリル左右枠内側の間に段差なく等間隔に2条形成し,フロントグリル全体を左右端部付近において外側に向かって後方に傾斜して形成している点, (ア-3)フロントバンパーの態様について,本願意匠は,開口部の約1/2の高さのランプ取付け部を配設しているのに対して,引用意匠は,開口部の約1/3の高さのランプ取付け部とし,左右のランプ取付け部の間に,その下辺から屈曲して続く水平なモールを1条形成し,ランプ取付け部とほぼ同じ幅のスリットを開口部の下側左右部分に一つずつ形成している点, (イ)車体側面側については (イ-1)Aピラーの態様について,本願意匠は,Aピラー根元部分に前方へ突出する部分を設け,この先端部分とボンネット後端部及びフロントフェンダー上辺部とが辺で接しているのに対して,引用意匠は,Aピラー根元部分を水平に切断し,フロントフェンダー上辺部とのみ辺で接している点, (イ-2)Cピラーの態様について,本願意匠は,側面視略円弧状でほぼ同じ幅のCピラーを,リアクォータパネル上辺部から斜め前方に向かって立設しているのに対して,引用意匠は,側面視略鈍角三角形状で上方に向かって幅が狭くなるCピラーを,リアクォータパネル上辺部から斜め前方に向かって立設している点, (イ-3)ウエストラインの態様について,本願意匠は,フロントホイールアーチ上方やや後ろ寄りの位置からリアコンビネーションランプ側面側上端部分にかけて,後ろ上がりに1条形成しているのに対し,引用意匠は,フロントホイールアーチ上方からリアコンビネーションランプ側面側の上から約1/3の位置にかけて,ほぼ水平に1条形成している点, (イ-4)リアコンビネーションランプの側面視の態様について,本願意匠は,側面視を横長で隅丸の略逆台形状としているのに対し,引用意匠は,側面視を本願意匠より幅の狭い隅丸の略台形状としている点, (ウ)車体リア側について (ウ-1)トランク垂直部の態様について,本願意匠は,上辺と下辺の比が約1.4:1の倒立した略等脚台形状とし,上辺部分を後方に向けて平面視円弧状に突出させて形成しているのに対し,引用意匠は,上辺と下辺の比が約1.1:1の倒立した略等脚台形状とし,トランク上面部と垂直部とを鈍角に折曲させて形成している点, (ウ-2)リアバンパーについて,本願意匠は,バンパー垂直面中央部を略台形状に切り欠いてライセンスプレート取り付け用の凹部を設け,略台形状切り欠き部の下辺左右方向に凹状の水平部分を形成し,バンパー下端部中央部分を後面視略横長台形状に切り欠いて,3箇所のスリットを設けたディフューザーを配し,ディフューザー左右端部にマフラーのテールエンドを1本ずつ配設しているのに対して,引用意匠は,バンパー垂直面の下部を,垂直面と一体的になるよう側面視円弧状に形成し,その左右部分に2連の略隅丸長方形状としたマフラーのテールエンドを1組ずつ配設している点, 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 まず,共通点(A),共通点(B)及び共通点(D)における,全体の態様,車体フロント側及びリア側の態様については,本出願人が製造する乗用自動車において,本願出願前より引用意匠以外でも既に見受けられる態様であるから,両意匠のみに共通する特徴的な態様とは言えず,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである。 また,共通点(C)の態様についても,両意匠の具体的態様に係る共通点ではあるものの,この種物品分野においては,他にも見られるありふれた態様であるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響も微弱なものである。 そして,これら共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア-1)及び相違点(イ-4)については,ボンネット及びリアコンビネーションランプといういずれも非常に目に付き易い部位に係るものであり,両意匠の形態自体も全く異なるものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,相違点(イ-1)ないし(イ-3)については,本願意匠は,後ろ上がりのウエストラインを持つ車体側面部と,Aピラー,ルーフサイドパネル及びCピラーを略円弧状になるよう形成したキャビン上部の構成態様によりノッチバッククーペであるとの印象を与え,一方,引用意匠は,水平のウエストラインを持つ車体側面部と,Aピラー,ルーフサイドパネル及びCピラーを略台形状になるよう形成したキャビン上部の構成態様によりノッチバックセダンの印象を与えることから,看者に両意匠が別異であるとの印象を与えるこれらの相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(ア-2),共通点(ア-3),共通点(ウ-1)及び共通点(ウ-2)については,フロントグリル,トランク,フロントバンパー及びリアバンパーなど,いわゆるパーツの細部に関する具体的態様に係るものであり,車体全体としてみた場合には,小さな部分における相違ではあるが,それぞれはパーツごとの特徴を表わすものであり,これらの相違点は,両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼす。 そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。 3.小括 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものであるが,形態においては,両意匠の間には共通点が複数存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を大きく凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-03-11 |
出願番号 | 意願2011-26444(D2011-26444) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子、原田 雅美 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
中田 博康 江塚 尚弘 |
登録日 | 2014-05-09 |
登録番号 | 意匠登録第1499418号(D1499418) |
代理人 | 江崎 光史 |
代理人 | 田崎 恵美子 |
代理人 | 佐久間 洋子 |
代理人 | 篠原 淳司 |