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審決分類 |
審判 補正却下不服 図面(意匠の説明を含む) 取り消さない F4 |
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管理番号 | 1289630 |
審判番号 | 補正2012-500002 |
総通号数 | 176 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-08-29 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-03 |
確定日 | 2013-06-05 |
意匠に係る物品 | 包装用缶 |
事件の表示 | 意願2011- 27446「包装用缶」において、平成24年3月21日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1.経緯 本願は,2011年5月27日の世界知的所有権機関への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,2011年(平成23年)11月28日付けの意匠登録出願であり,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,出願当初,願書に添付の図面には,「正面図」,「背面図」,「左側面図」,「右側面図」,「平面図」及び「底面図」(の,いわゆる一組の図面)が記載されていた。 そして,出願人は,2012年(平成24年)3月21日付けの手続補正書を提出して,出願当初のすべての図面を変更する補正をした。 しかし,原審では,この補正に対して,「添付図面全図を色彩を有するものに補正されましたが,この着彩された模様の態様は,この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず,この模様部分が本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼす部分であることから,上記手続補正書による補正は,出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものと認められます」旨の理由により,意匠法第17条の2第1項の規定に基づき,補正の却下の決定をした。 これに対して,請求人は,これを不服として,審判を請求した。 2.請求人の主張 請求人は,おおむね「本願の基礎出願は色彩が施されて出願されていますが,これは原出願国・機関における意匠登録制度に合致させた出願を行ったものにすぎません。すなわち,原出願においては,色彩を施した写真であっても,色彩を要素としない旨の記載を行ったり,関連する意匠を同時に多数記載することが許容されています。 一方,貴庁の審査基準(意匠審査基準12頁)によれば,「4.意匠が抽象的に説明されている場合 願書又は図面中に文字,符号などを用いて,形状,模様及び色彩に関して抽象的に説明した場合」は意匠が具体的なものと認められないと例示されており,色彩を付した写真を出願しながら,色彩は任意に変更可能とする記載は認められないものと思料します。 本意匠出願は,基礎出願における写真と上記の説明に基づいて色彩を無しにした上で出願したものであり,そもそも補正前の図面についても優先権の主張が認められるべきものです。 その上で,拒絶理由通知の内容に鑑みて,優先権の基礎とできるかどうかについて不明瞭だった点を改めるために基礎出願と同様の色彩有りの図面に補正したものであり,基礎出願から全経過を斟酌すれば要旨の変更に当たらないことは明らかです」と主張している。 3.当審の判断 出願当初の願書及び願書に添付の図面によると,黒色と白色,及び黒色から白色までの中間色である灰色の,いわゆる無彩色で模様を施した,全体が略円柱状で,缶本体の下側縁部は巻締め様になっており,缶本体上側には,ごく浅いふたが設けられているものである。 それゆえ,出願当初の意匠の内容は,色彩については,色の3属性である色相と彩度を除いた明度のみの意匠であると認められる。 しかるに,当該手続補正により,色相,明度及び彩度を併せ持つ有彩色を施した意匠としたものであるが,この有彩色の模様の態様は,この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず,この模様部分が本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼす要素であることから,出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更したものと認められる。 なお,請求書において,請求人は,補正前,すなわち出願時の図面の記載内容で優先権の主張が認められるべき旨の主張をなされているが,本件は,平成24年3月21日付けの手続補正書に対する原審の補正却下の決定に対する不服の審判請求であって,審理の対象は,この決定の是非に限られることから,出願当初の意匠の内容に基づく優先権の主張の認否を,審理の対象とすることはできない。 4.結び 以上のとおりであって,出願当初の内容と補正された内容との差異は,出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものであり,これを意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした原審の決定に違法はない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-12-26 |
結審通知日 | 2013-01-08 |
審決日 | 2013-01-21 |
出願番号 | 意願2011-27446(D2011-27446) |
審決分類 |
D
1
7・
1-
Z
(F4)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 神谷 由紀 |
特許庁審判長 |
川崎 芳孝 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 遠藤 行久 |
登録日 | 2014-03-28 |
登録番号 | 意匠登録第1495969号(D1495969) |
代理人 | 新保 斉 |