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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H2
管理番号 1299393 
審判番号 不服2014-19599
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-30 
確定日 2015-03-02 
意匠に係る物品 電動機回転子用コア 
事件の表示 意願2013- 10078「電動機回転子用コア」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)5月8日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「電動機回転子用コア」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に表されたとおりのもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成12年(2000年)7月17日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1079188号の類似意匠登録第1号「電動機回転子用コア」の意匠であって,本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(以下,引用意匠において本願意匠の本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」という。)であって,その部分の形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも電動機に用いられる,「電動機回転子用コア」であって,両意匠の意匠に係る物品は一致する。
(2)用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と引用相当部分(以下,「両部分」という。)は,ともに電動機回転子用コアの薄い円板状であって外周縁寄りに設けられた一連の孔部群(以下,「孔部群」という。)を有するものであり,引用相当部分も同様であるから,両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
(3)形態
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(3-1)共通点
(A)正面視において,一列に3個の幾何学形状の広い孔部を配し,外周縁から中心部に向かって略串団子状の孔部(以下,「略串団子状孔部」という。)を複数設けて,放射線状に外周縁寄りに孔部群を形成している点,
(B)略串団子状孔部において中心寄りの2つの各孔部を同形同大の長方形状とした点,において主に共通する。
(3-2)差異点
(ア)略串団子状孔部の外周縁からの長さと円板の半径の比について,本願意匠は,約1:2.1で略串団子状孔部が短めであるのに対して,引用意匠は,約1:1.5で略串団子状孔部が長めである点,
(イ)略串団子状孔部の各孔部の形状について,本願意匠は,外周縁寄りが細長長方形状で中心寄りの2つの各孔部を短い長方形状としているのに対して,引用意匠は,外周縁寄りが大きめの円形状で中心寄りの2つの各孔部を細長長方形状としている点,
(ウ)略串団子状孔部の数について,本願意匠は,16個であるのに対して,引用意匠は,15個である点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
(1)両意匠の意匠に係る物品は,一致し,両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
(2)両部分の形態について
共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。
(2-1)共通点
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,一列に3個の幾何学形状の広い孔部を配し,外周縁から中心部に向かって略串団子状孔部とした態様は,この種の物品分野においては他にも見られるもので,両部分の意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両部分の意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
また,共通点(B)についても,略串団子状孔部において中心寄りの2つの各孔部を同形同大の長方形状とした態様について共通しているが,さほど特徴のないもので,両部分の意匠のみに共通する態様とはいえず,両部分の意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものに過ぎないものである。
そうして,共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
(2-2)差異点
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア)については,略串団子状孔部の外周縁からの長さと円板の半径の比については,需要者がこの種の電動機回転子用コアを使用する際には,正面視の略串団子状孔部の長さについて注意を払うものといえ,需要者の注意を強く惹く本体部の正面視のプロポーションに係るものであるから,全体の面積比にも影響を与えるもので,円板の半径に対して短い本願実線部分と,長めである引用相当部分とでは,需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)についても,略串団子状孔部の各孔部の形状に係るもので,使用時に需要者が大きな関心を持つ部位に係るもので,見る者の注意を惹く部分といえるもので,外周縁寄りが細長長方形状で中心寄りの2つの各孔部を短い長方形状としている本願実線部分と外周縁寄りが大きめの円形状で中心寄りの2つの各孔部を細長長方形状としている引用相当部分では,需要者に別異な印象を与えるものであり,差異点(ア)と相俟って需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)については,個数の違いはさほど目立つものとはいえないが,16個である本願実線部分の意匠の態様は,上下左右が対称状の整然とした印象で,15個で上下左右が非対称状の引用相当部分の態様とは,両部分を見る者に与える印象が異なるものであるため,その差異は,両部分の意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
(3)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の意匠の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それらが両部分の意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-02-18 
出願番号 意願2013-10078(D2013-10078) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮田 莊平 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-04-10 
登録番号 意匠登録第1523608号(D1523608) 
代理人 橋本 克彦 
代理人 橋本 京子 

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