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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1301620 |
審判番号 | 不服2014-23577 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-11-19 |
確定日 | 2015-05-26 |
意匠に係る物品 | 車載機器取付用パネル |
事件の表示 | 意願2013- 25430「車載機器取付用パネル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)10月31日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「車載器機取付用パネル」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであって,「黄色以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成25年(2013年)1月21日)に記載された,意匠登録第1459873号(意匠に係る物品,車載ディスプレイ用パネル)の意匠であって,「主な類否判断の対象となるのは,引例の意匠の,本願意匠が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に対応する部分」(以下,本願部分に対応する引用意匠の部分を「引用部分」という。)であるとし,引用意匠及び引用部分の形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,車載機器取付用パネルであり,引用意匠の意匠に係る物品は,車載ディスプレイ用パネルであるが,いずれも自動車のダッシュボードに装着される液晶ディスプレイ等の機器取付用パネルであるから,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。 2.本願部分と引用部分の対比 (1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願部分と引用部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも自動車のダッシュボード中央部分に嵌め込んで取り付けられる車載機器取付用パネルにおける,略横長長方形状開口部周縁部に形成された,パネル部表面部分から突出した枠体状の部分(背面側の枠体突出部裏側も含む。)であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (2)具体的形態 両意匠部分の形態について対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 まず,共通点として, (A)両意匠部分全体は,機器取付用パネルの中央やや左寄りに形成された略横長長方形状開口部(以下,「開口部」という。)の周縁を,正面側に突出させて,開口部に枠体を設けたように形成した部分であって,正面視略横長長方形状の枠体部分(以下,「枠体部」という。)と,その枠体部外周部分からパネル表面部にむけて傾斜した斜面部分(以下,「斜面部」という。)を一体的に形成した構成としている点, (B)枠体部は,ほとんど幅のない上下辺枠部と,正面視略細幅縦長長方形状の左右辺枠部で構成され,左右辺枠部内周側に車載機器を嵌着するための縦長長方形状の垂直な板体を左右1対形成したものであって,枠体部上辺が最も突出し,枠体下辺にはほとんど突出部のない配置態様としている点, (C)斜面部は,開口部上辺側傾斜面部を平面状とし,開口部左右辺側傾斜面部を抉られたような曲面状としたものであって,開口部に対して庇のような形態で形成している点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)枠体部左右辺枠部の態様について,本願部分は,正面視細幅縦長長方形状とし,僅かに枠体内側に傾斜した上端部が枠部下方に向かうに従って,開口部側に大きく傾き,全体としてねじれた帯状となるよう形成しているのに対して,引用部分は,僅かな幅の直線状の枠部になるよう形成している点, (イ)枠体部と開口部との配置態様について,本願部分は,左右辺枠部内側下端部の一段奥まった位置に,開口部の縁部を形成しているのに対して,引用部分は,枠体部前面部分と面一となる位置に開口部の縁部を形成している点, (ウ)斜面部の態様について,本願部分は,正面視において,枠体部上辺側を扁平な略逆等脚台形状とし,枠体左右辺部側を扁平な略三角形状とした,略倒コの字状の斜面部を形成しているのに対して,引用部分は,枠体部上辺側をパネルの左右端部付近にまで裾野の広がった略逆山形状とし,枠体左右辺部側を鎌の刃のような略L字状とした,略倒コの字状の斜面部を形成している点, が認められる。 3.両意匠部分の形態の評価 まず,共通点(A)の両意匠部分全体の形態,共通点(B)及び共通点(C)の各部の形態については,正面部に形成された,目に付く部位に係るものであるが,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるものであるから,上記共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといわざるを得ない。 そして,これらの共通点(A)ないし(C)を全体として見たとしても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)枠体部左右辺枠部の態様については,帯状のねじれた本願部分の形態は,本願部分にのみ見られる特徴的なものであって,単なる平面的な枠部にすぎない引用部分のものとは,全く異なる印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものである。 次に,相違点(イ)枠体部と開口部との配置態様については,枠体の奥まった位置にディスプレイを配し,使用時に光の写り込みを軽減する効果の期待できる本願部分の形態と,ディスプレイと枠体部前面部分と面一に配した従来からごく普通に見られる引用部分のものとは,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。 また,相違点(ウ)斜面部の態様については,枠体部より一段奥まった位置にある開口部に庇が形成されたような本願部分の形態と,開口部の左右に略L字状の傾斜面が形成された引用意匠のものとは,別異な印象を与えるものであるから,上記の相違点(ア)及び相違点(イ)と相まって,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいといえる。 そして,これらの相違点(ア)ないし(ウ)が相まって生じる視覚的効果は非常に大きく,両意匠部分の類否判断を左右するものである。 4.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分を全体として見た場合,相違点の印象は共通点の印象を凌駕し,需要者に別異の美感を起こさせるものである。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-05-14 |
出願番号 | 意願2013-25430(D2013-25430) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 加藤 真珠 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 久保田 大輔 |
登録日 | 2015-06-05 |
登録番号 | 意匠登録第1528175号(D1528175) |
代理人 | 酒井 宏明 |