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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1301631 |
審判番号 | 不服2014-24284 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-11-28 |
確定日 | 2015-06-16 |
意匠に係る物品 | ゴムクローラ |
事件の表示 | 意願2013- 7156「ゴムクローラ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)3月29日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「ゴムクローラ」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであって,「この意匠は正面図において上下にのみ繰り返し連続する。実線で表わした部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成15年(2003年)8月4日)に記載された,意匠登録第1181058号(意匠に係る物品,ゴムクローラ)の意匠の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分(以下,本願部分に対応する引用意匠の部分を「引用部分」という。)であって,引用意匠及び引用部分の形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれもゴム製の履帯である「ゴムクローラ」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 2.本願部分と引用部分の対比 (1)用途及び機能 本願部分と引用部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも農業機械及び建設車両等に取り付けて使用する不整地走行装置用の履帯であって,履帯の全てが金属製のものとは異なり,連続して埋設した芯金をゴムで包み込むことによって舗装路面保護や走行時の騒音及び振動を低減することが可能なものであるから,両意匠部分の用途及び機能は一致する。 (2)位置,大きさ及び範囲 両意匠部分は,いずれも正面図において上下に繰り返し連続するゴムクローラ接地面側の突起部を含む表面部分であるから,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (3)具体的形態 両意匠部分の形態について対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 なお,両意匠部分の形態を対比するにあたり,上下に連続するゴムクローラ接地面の,周方向を上下方向,横幅方向を左右方向とし,中央側を内側,左右端部側を外側として,以下表記する。 まず,共通点として, (A)両意匠部分の全体は,上下に連続するゴムクローラの一部を正面視略縦長長方形状として表したものであり,ゴムクローラの接地面側表面部(以下,「表面部」という。)及び表面部に形成された突起の表面部(以下,「ラグ部」という。)からなる部分である。 (B)表面部は,その中央部分に略凹溝状の区画(以下,「中央区画」という。)を形成し,中央区画の左右両隣に接地面と平行な帯状区画(以下,「左右内側区画」という。)を配し,最も外側の位置に背面側に僅かに傾斜した帯状区画(以下,「左右外側区画」という。)を形成したものであって,計5つの区画からなるものである。 (C)中央区画は,表面部を断面視倒立等脚台形状に切り欠いて形成したような,溝側面が斜め下向きの傾斜面の略凹溝部からなり,この略凹溝底面部分に車体の駆動輪の歯と係合する正面視略隅丸縦長長方形状の貫通孔(以下,「駆動孔」という。)を等間隔に形成し,この駆動孔の間に略四角錐台状の突起部(以下,「中央ラグ部」という。)を1つ立設している点, (D)左内側区画は,各区画の中で横幅が最も大きいものであり,その区画内側の中央ラグ部と対向する位置に,略三角錐台状の突起(以下,「内側ラグ部」という。)を1つ立設し,この内側ラグ部の外側の位置に,略横長四角錐台状の凸状突起(以下,「内側凸状ラグ部」という。)を上下に2つ並設し,内側ラグ部及び内側凸状ラグ部の突起群同士の中間部分に,内側ラグ部と略同形状で左右逆向きの略三角錐台状の突起(以下,「中間ラグ部」という。)を上下方向に等間隔になるよう1つずつ配設している点, (E)左外側区画は,中央ラグ部,内側ラグ部及び内側凸状ラグ部の突起群と対向する位置に,その上面を接地面と平行で他のラグ部と同じ高さの略横長四角錐台状の凸状突起(以下,「外側凸状ラグ部」という。)を上下に2つ並設している点, (F)右内側区画は左内側区画と,右外側区画は左外側区画と左右対称となるように形成している点, (G)上下に連続する表面部に,(C)ないし(F)の形態を一単位とする突起部を繰り返し連続して配設している点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)内側ラグ部の態様について,本願部分は,正面視において,その先端部を内側に向けた,角張った略ハート形状の九角錐台に形成しているのに対して,引用部分は,正面視横向きの略等脚台形状の四角錐台に形成している点, (イ)中間ラグ部の態様及び配置態様について,本願部分は,内側ラグ部とほぼ同様の態様とし,内側ラグ部の外側辺と中間ラグ部の内側辺がほぼ一直線となるように配設しているのに対して,引用部分は,内側ラグ部よりスリムで横長の態様とし,内側ラグ部の外側辺が中間ラグ部の内側から約2/5の位置に配設している点, (ウ)内側凸状ラグ部の態様について,本願部分は,正面視横向きの略横長直角台形状の四角錐台とし,上下に配した内側凸状ラグ部の中間部分の向かい合う辺を平行になるように配設しているのに対して,引用部分は,正面視略平行四辺形状の四角錐台とし,上下に配した内側凸状ラグ部を,正面視横「ハ」の字状の配置になるように配設している点, (エ)外側凸状ラグ部の態様について,本願部分は,正面視横向きの略横長直角台形状の四角錐台とし,上下に配した外側凸状ラグ部の中間部分の向かい合う辺が平行になるように,左右外側区画内に配設しているのに対して,引用部分は,正面視略平行四辺形状の四角錐台とし,上下に配した外側凸状ラグ部を,外側凸状ラグ部内側の先端部分が僅かであるが左右外側区画をはみ出して,正面視横「ハ」の字状の配置になるように配設している点, (オ)内側凸状ラグ部及び外側凸状ラグ部の配置態様について,本願部分は,内側凸状ラグ部から外側凸状ラグ部にかけて,全体が正面視略横向き「ハ」の字状の配置とし,外側に向かって広がる形態としているのに対して,引用部分は,内側凸状ラグ部を正面視略横向き「ハ」字状の配置とし,外側凸状ラグ部も正面視略横向き「ハ」の字状の配置とし,横向きの「ハ」の字が横に連続して配置した形態としている点, (カ)中央ラグ部の態様について,本願部分は,中央ラグ部の上面が正面視横向きの略鼓状の六角錐台としているのに対して,引用部分は,正面視蝶形状の十角錐台としている点, が認められる。 3.両意匠部分の形態の評価 まず,共通点(A)ないし(C),及び共通点(E)ないし(G)の態様は,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠1:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成24年(2012年)9月3日)に掲載された,意匠登録第1450330号(意匠に係る物品,ゴムクローラ)の意匠,別紙第3参照)であるので,これらの共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといわざるを得ない。 また,共通点(D)の態様も,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠2:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成24年(2012年)5月14日)に掲載された,意匠登録第1440353号(意匠に係る物品,ゴムクローラ)の意匠,別紙第4参照)でもあるので,これらの共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も微弱である。 そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)内側ラグ部の態様については,ゴムクローラ接地面の中央部付近に設けられた横滑り防止等の機能を有する特に目に付く部分であり,その態様も正面視が角張った複雑な略ハート形である九角錐台形状の本願部分の態様と,シンプルな横向きの略等脚台形状である引用部分のものとは,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,相違点(イ)中間ラグ部の態様及び配置態様については,上記相違点(ア)にあるとおり,その中間ラグ部の態様の相違自体看者に別異な印象を与えるものである上に,中間ラグ部を内側区画外側寄りに配した本願部分の態様と,内側区画の中央やや内側部分に配した引用部分のものとは,内側ラグ部及び内側凸状ラグ部との配置関係において,看者に与える印象が異なるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(ウ)ないし(オ)の内側凸状ラグ部及び外側凸状ラグ部の態様及び配置態様については,推進力伝達のための凸状ラグ部に係る態様であって注目する部位であり,その配置態様も,横「ハ」の字状が1つ配置した本願部分の態様と,横「ハ」の字状が続いて2つ配置した引用部分のものとは,凸状ラグ部自体の形態の違いも含め,看者に与える印象が異なるものであるから,これらの相違点(ウ)ないし(オ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。 そして,これらの相違点(ア)ないし(オ)が相まって生じる視覚的効果は大きく,両意匠部分の類否判断を左右するものであるといえる。 他方,相違点(カ)中央ラグ部の態様については,上下の側面部における僅かな態様の差であるから,この相違点(カ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 4.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分を全体として見た場合,相違点の印象は共通点の印象を凌駕し,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,両意匠部分は類似するということはできない。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-06-01 |
出願番号 | 意願2013-7156(D2013-7156) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
久保田 大輔 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-06-26 |
登録番号 | 意匠登録第1529724号(D1529724) |
代理人 | 特許業務法人谷藤特許事務所 |