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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1302948 |
審判番号 | 不服2015-3542 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-25 |
確定日 | 2015-06-24 |
意匠に係る物品 | ガス・火災警報器 |
事件の表示 | 意願2014- 9328「ガス・火災警報器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,本意匠を意願2014-9330号(意匠登録第1514317号)(以下,「本意匠」という。)とする関連意匠の意匠登録出願として,平成26年(2014年)4月28日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「ガス・火災警報器」としたものであり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界を示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 その理由として,本願意匠は,意願2014-9330の意匠を本意匠とする関連意匠として出願されているが,本願意匠と前記本意匠は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の形状に差異が認められ,その差異は微弱なものとはいえないことから,両意匠は類似しないものと認められる,としたものである。 本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成26年(2014年)4月28日に出願されたものであって,平成26年(2014年)年11月21日に意匠権の設定の登録がなされた意願2014-9330号(意匠登録第1514317号)の意匠であって,その意匠は,意匠に係る物品を「ガス・火災警報器」としたものであり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界を示す線である。」(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 そこで,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて,以下検討する。 (1)意匠に係る物品 両意匠を対比すると,両意匠は,いずれも,室内の壁に取り付け,ガス漏れや火災が起こった場合に感知して警報音を出す「ガス・火災警報器」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品が一致する。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と本意匠実線部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも室内の壁面に取り付け,警報音やランプ表示で警報を知らせるために用いられるガス・火災警報器の箱体(以下,「箱体」という。)の周側面に設けられた開口部を繋ぐ部分であって,部分意匠としての用途及び機能は一致する。 また,位置,大きさ及び範囲については,両部分は,いずれも略直方体状の箱体の周側面に設けられた開口部を繋ぐ四隅の背面パネル寄りの部分を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分としたものであって,部分意匠としての位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (3)形態 両部分の形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。 (3-1)共通点 (A)部分全体を略縦長直方体状の箱体の周側面に設けられた開口部を繋ぐ,四隅の背面パネル寄りの部分で,背面視した略鈎型状の部分(以下,「四隅部分」という。)を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である実線部分とし,正面側より背面側にいくにしたがって,徐々に窄まっている点, (B)四隅部分はいずれも背面視隅丸形状の同形同大で,4つが上下左右対称に位置している点, において主に共通する。 (3-2)差異点 (ア)四隅部分を側面視及び平底面視した場合の周側面の態様について,本願実線部分は,内側の稜線が直線状である大きな長方形状と,背面寄りで内側に窄まり,ずれて段差を設けた細い小さな長方形状との組み合わせであるのに対して,本意匠実線部分は,内側の稜線を略凹円弧状とした曲線を有し,外側の稜線はほぼ直線状とし,前面側の約3/4を略台形状とし,背面側の約1/4を急な傾斜の細い略平行四辺形状とした2種類の形状の組み合わせである点, (イ)四隅部分の外周面において,本願実線部分は,開口部の桟と連続する,2本の細帯状の突条部(以下,「突条部」という。)を,全体の中央寄りと背面パネル寄りに有しているのに対して,本意匠実線部分は,そのような突条部を有さず平滑面である点, (ウ)四隅部分を背面視した場合の態様について,本願実線部分は,背面視した四隅部分の背面部が外側に見えるのに対して,本意匠実線部分は,側面視の略倒台形状の部分が,背面視した場合,外側に僅かに覗くが,急な傾斜の細い小さな略平行四辺形状の部分が四隅に隅丸鈎状に見える点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能は,一致する。 両部分の位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (3)形態 (3-1)共通点 そこで両部分の形態について検討するに,前記共通点(A)については,部分全体の基本構成であるが,両部分は,部分全体を略縦長直方体状の箱体の周側面に設けられた開口部を繋ぐ,四隅の背面パネル寄りの略鈎型の四隅部分を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とし,正面側から背面側にいくにしたがって,背面側が窄まった態様について共通しているが,両部分が使用されるガス・火災警報器の分野においては,背面側が窄まった態様は,他にも見受けられ,ありふれた態様といえるもので,両部分のみの格別の特徴ということができず,開口部を繋ぐ背面パネル寄りを略鈎状としたからといって,その四隅部分の存在によって,両部分の全ての態様が共通する印象を有する程のものであるとまではいうことができず,この共通点が両部分の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎないものである。 次に,共通点(B)については,四隅部分がいずれも背面視隅丸形状の同形同大で,4つが上下左右対称に位置している点が共通しているが,背面視した四隅を隅丸形状とし,四隅を同様の態様とするものは他にも見受けられ(例えば,意匠登録第1394989号の火災警報器の意匠(参考意匠1:別紙第3参照)),両部分のみに認められる格別特徴のある態様とはいえないものであるから,この共通点が両部分の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎないものである。 そうして,これらの共通点が全体として両部分の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (3-2)差異点 これに対し,差異点(ア)の四隅部分を側面視及び平底面視した場合の態様における差異については,この種の警報器を壁に取り付けて使用する際には,周側面の具体的態様も需要者の目にふれる部分に係るもので,内側の稜線が直線状である大きな長方形状と,背面寄りで内側に窄まり,ずれて段差を設けた細い小さな長方形状との組み合わせである本願実線部分と,内側の稜線を略凹円弧状とした曲線を有し,外側の稜線はほぼ直線状とし,前面側の約3/4を略台形状とし,背面側の約1/4を急な傾斜の細い略平行四辺形状とした2種類の形状の組み合わせである本意匠実線部分とでは,形状が明確に異なり,需要者に与える部分全体の印象を大きく異ならせるものであるから,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)の2本の細帯状の突条部の有無についても,四隅部分全体の印象に影響するもので,2本の細帯状の突条部を有し,複雑な態様の本願実線部分と,突条部を有さず,平滑面ですっきりした印象の本意匠実線部分とでは,需要者に与える印象を異ならせるものであり,差異点(ア)と相俟って,無視できない態様といえ,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)の四隅部分を背面視した場合の態様の差異についても,背面視の態様ではあるが,四隅部分全体の印象に影響するもので,背面視した四隅部分の背面部が外側に見える本願実線部分と,側面視の略台形状の部分が,背面視した場合,外側に僅かに覗くが,側面視の急な傾斜の細い縦長略平行四辺形状の部分が四隅に隅丸鈎状に見える本意匠実線部分とでは,見える部分が異なり,需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の類否判断に影響を与えるものといえる。 そうすると,両部分の形態における共通点は,その視覚に訴える意匠的効果としては格別の評価ができないものであるのに対し,両部分の形態における差異点は,需要者の注意を強く惹き,別異の美感を起こさせるものであり,その視覚に訴える意匠的効果を無視することができないものであるから,差異点が共通点を凌駕し,両部分は,類似しないものと認められる。 (4)小括 以上のとおり,本願意匠と本意匠は,出願人及び出願日に関して意匠法第10条第1項の要件を満たし,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能が一致し,位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それらが両部分全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 なお,原査定の拒絶の理由によると,本願意匠は,願書に記載された本意匠(意願2014-9330号)に類似する意匠とは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとして,拒絶すべきものとする査定を受けたものである。 これに対し,本件審判の請求の後,請求人により平成27年(2015年)4月1日に提出された手続補正書によって,本願の「本意匠の表示」の欄を削除する補正がなされた。 したがって,原審の拒絶の理由は既に解消されており,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 5.むすび したがって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-06-12 |
出願番号 | 意願2014-9328(D2014-9328) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清水 玲香 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
宮田 莊平 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2015-07-03 |
登録番号 | 意匠登録第1530280号(D1530280) |
代理人 | 宮地 正浩 |