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審決分類 |
審判 査定不服 意7条一意匠一出願 取り消して登録 E1 |
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管理番号 | 1304022 |
審判番号 | 不服2015-2733 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-12 |
確定日 | 2015-07-13 |
意匠に係る物品 | 除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ |
事件の表示 | 意願2013- 30755「除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2013年(平成25年)12月6日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権主張を伴う平成25年(2013年)12月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,出願当初の願書の記載によれば,意匠に係る物品を「遠隔制御おもちゃ」とし,その後手続補正により「除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ」とし,その形態は,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙参照) 第2 原審における拒絶の理由及び手続きの経緯 1 拒絶の理由 原審が平成26年4月22日付けで通知した拒絶の理由は,以下のとおりである。 「この意匠登録出願は、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められませんので,意匠法第7条に規定する要件を満たしていません。」 そして,以下のとおり付記をした。 「この意匠登録出願の願書の意匠に係る物品の欄によると「遠隔制御おもちゃ」と記載されていますが,本願の意匠に係る物品は,その他の願書の記載及び添付図面等を総合して判断すると,経済産業省令で定められている物品の区分又はそれと同程度の区分である「飛行機おもちゃ」と認められます。」 2 手続補正 出願人(請求人)は,前記の拒絶の理由に対し,平成26年8月26日付けで手続補正書を提出し,【意匠に係る物品】の欄の記載を「除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ」に変更する補正(以下,「本願補正」という。)を行った。 3 拒絶査定 原審は,平成26年9月17日付けの通知書において,「意匠に係る物品の欄を「除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ」とされましたが,これは経済産業省令で定められている物品の区分又はそれと同程度の区分のものとは認められませんので,先の拒絶理由は未だ解消されていない状況」であり,「先の拒絶理由通知書記載の拒絶理由が解消されない場合は,手続に従い拒絶査定等の通知をする予定」である旨,出願人(請求人)に通知したが,出願人(請求人)は,平成26年10月16日付けの上申書において,本願意匠は先に登録査定のあった意願2013-030756号と「同等の本体に除去可能な車輪を取り付けた」もので「同じ物品の区分である」から,本願も同様に登録されるべき旨主張した。 原審は,両意匠は別個の出願として,判断がなされるべきであり,「「意匠に係る物品」の欄に記載された名称も異なっているため,意願2013-030756の登録査定があったため本願も登録にすべきとの意見は採用することができず」この出願は,先に通知した拒絶の理由によって拒絶すべきものとして,平成26年11月4日付けで拒絶査定をした。 第3 請求人の主張 そして,請求人(出願人)は,平成27年2月12日付けで審判請求書を提出し,本願物品は,「ホイール,すなわち車輪を取り外せば縦横無尽に移動し,車輪を装置すれば床から壁,天井を走行できるものであり」,「除去可能な車輪を備えたものであって,意願2013-030756と同じ物品分野に属するものと理解でき」るから,本願意匠は意匠法第7条に規定する要件を満たしていないものではなく登録すべきものである旨主張した。 第4 当審の判断 本願が,意匠法第7条に規定する要件を満たす意匠ごとの出願であるか否かについて,以下検討する。 1 本願意匠について 本願意匠は,概略として,機体部とその左右をまたいで配された車輪部から構成され,機体部は,略直方体形状の機体基幹部から四隅方向に張り出した4本の脚部の先端上側にそれぞれプロペラ部を設けて成り,車輪部は機体幅よりやや大きい径の左右車輪体を水平方向に軸部で連結して成るものであって,車輪体内側の中心部には略円筒状に軸受け部が形成され,該軸受け部で軸端部を支持しており,軸部中程で機体部上面略中央に外付けされている。 2 本願補正後の「意匠に係る物品」が,経済産業省令で定められている物品の区分又はそれと同程度の区分のものかについて まず,意匠法第7条によって,意匠登録出願は,経済産業省令に定める物品の区分によって意匠ごとにしなければならないと規定されており,その物品の区分は,意匠法施行規則第7条によって,別表第一の物品の区分の欄に掲げるとおりのものとされ,その別表第一の備考二には,この表の下欄に掲げる物品の区分のいずれにも属さない物品の区分について意匠登録出願をするときは,その下欄に掲げる物品の区分と同程度の区分による物品の区分を願書の「意匠に係る物品」の欄に記載しなければならないとされている。 そして,別表第一の下欄に掲げる物品の区分は,その意匠を認識するために必要な物品の名称の大きさを示すものであって,その物品の用途が明確に理解される物品の名称であって,普通使用されている物品の名称と認められるものであると解されるところ, 本願補正後の意匠に係る物品である「除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ」は,経済産業省令で定める物品の区分に掲げられている「飛行機おもちゃ」に「除去可能な車輪を備えた」点及び「遠隔制御」可能である点を付加したものになっているものの,そのことによって,特に意匠を認識し、用途を明確に理解するのに妨げになるものでもなく,物品の機能においては,むしろ,より明確になっているものといえ,意匠を認識するために必要な物品の名称の大きさであり用途が明確に理解され普通に使用されている名称である「飛行機おもちゃ」と同程度の物品の区分のものと,認めるのに妨げるものはない。そうすると,本願補正後の意匠に係る物品である「除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ」は,経済産業省令で定める物品の区分に掲げられている「飛行機おもちゃ」と同程度の区分によるものであると認められる。 また,本願意匠は,前記1で認定したとおりのものであり,出願当初の願書に添付した図面において,車輪体内側の中心部には略円筒状の軸受け部が形成され,軸端部を支持していることから,車輪部は回転可能であると推認でき,車輪部は外付けであるから取り外しも簡便に行えるものといえる。すなわち,車輪部は単なる飾りやプロテクターのみではなく,本願意匠は,プロペラ部と回転可能な車輪部を備えたものとして認定され得るものである。 そうすると,本願は,原審の拒絶理由の通知において示された「飛行機おもちゃ」に補正を限定せず,出願当初の意匠に係る物品の欄に記載された「遠隔制御」可能である点及び「除去可能な車輪を備えた」点を付け加えて「除去可能な車輪を備えた遠隔制御飛行機おもちゃ」と「意匠に係る物品」を補正したものであるが,本願補正後の「意匠に係る物品」は,本願の出願当初の願書に添付した図面の記載に表された上述の本願の特徴について,本願の意匠に係る物品の欄に明記したに止まるものといえ,出願当初の願書及び願書に添付した図面の記載から総合して判断すれば,当然に導き出されるものであるので,この補正は,本願出願当初の願書及び添付図面に記載の要旨を変更するものではない。 したがって,本願補正後の「意匠に係る物品」は,前記,物品の区分と同程度の区分によるものと認められるので,本願は,意匠法第7条に規定する経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとになされたものであると認められる。 第5 むすび 以上のとおり,本願は,意匠法第7条に規定する要件を満たしていないとの原審拒絶理由により,拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-06-18 |
出願番号 | 意願2013-30755(D2013-30755) |
審決分類 |
D
1
8・
52-
WY
(E1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石坂 陽子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 清野 貴雄 |
登録日 | 2015-08-14 |
登録番号 | 意匠登録第1533577号(D1533577) |
代理人 | 尾原 静夫 |
代理人 | 真田 雄造 |