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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1313094 |
審判番号 | 不服2015-16402 |
総通号数 | 197 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-07 |
確定日 | 2016-03-18 |
意匠に係る物品 | 電気接続端子 |
事件の表示 | 意願2014-22983「電気接続端子」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成26年(2014年)10月14日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電気接続端子」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線であらわした部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。拡大端面図、断面図、拡大図、及び展開拡大図を含めて、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁発行の公開特許公報記載 特開2012-9178(発明の名称,圧着端子及び圧着端子の製造方法)の【図11】に表された意匠(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)の本願実線部分に対応する部分であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである(以下,引用意匠において,本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」といい,本願実線部分と合わせて「両意匠部分」という。)。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.両意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「電気接続端子」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「圧着端子」であって,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載並びに引用意匠に係る公報の記載等を総合すれば,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)両意匠部分の用途,機能並びに位置,大きさ及び範囲 両意匠部分は,「電気接続端子」における,いわゆる「セレーション」(電線を保持するための係止凹部)が配置された領域を含む略U字状の電線圧着部分に関するものであるから,両意匠部分の用途及び機能は一致し,位置,大きさ及び範囲も,共に電線圧着部分の内側の一部であるから,一致する。 (3)両意匠部分の形態 両意匠部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。また,横方向に並んだ配列の一組を「行」といい,縦方向に並んだ配列の一組を「列」という。) <共通点> 両意匠部分は,基本的態様として, (A)略U字状の電線圧着部分であって,その内周側表面に,セレーションを千鳥状に配列した点, 具体的態様として, (B)セレーションが,平面視縦長6角形又は5角形であり,平面視最上行及び最下行に5角形のものを配列する点, で共通する。 <相違点> 両意匠部分は,具体的態様として, (ア)6角形のセレーションの平面視形状が,本願実線部分は,上下の角が鋭角で,左右の平行な縦辺の長さが6角形の縦方向長さの約1/3となる形状(以下,「基本6角形状」という。)であるのに対して,引用相当部分は,上下の角が鈍角で,平行な左右の縦辺の長さが6角形の縦方向長さの約3/5となる形状である点, (イ)5角形のセレーションの平面視形状が,本願実線部分は,以下のア.からウ.までの3種類のものであるのに対して,引用相当部分は,6角形を縦方向に半分にした5角形の1種類のものである点, <本願実線部分の3種類の5角形> ア.基本6角形状の鋭角の一つを辺に置き代えた左右対称な5角形(以下,「左右対称5角形」という。), イ.左右対称5角形の縦辺の一つを鈍角に置き代えた非対称な5角形(以下,「非対称5角形」という。), ウ.基本6角形状の縦辺の一つを鈍角に置き代えた上下対称な5角形(以下,「上下対称5角形」という。), (ウ)セレーションの隣接する列の間隔が,本願実線部分は,6角形のセレーションの横幅よりも狭い間隔であるのに対して,引用相当部分は,6角形のセレーションの横幅よりも広い間隔である点, (エ)セレーションの凹みが,本願実線部分は,ごく浅いものであり,各セレーションの辺に沿ってテーパー面が形成されているのに対して,引用相当部分は,凹みの深さが不明であり,テーパー面が形成されていない点, (オ)セレーションの平面視の配列及び個数が,それぞれ以下のとおり相違する点, <本願実線部分の配列及び個数> 本願実線部分の配列は,一番左から, 第1及び第11列は,上下対称5角形が6個並び, 第2及び第12列は,上端及び下端が非対称5角形で,その間に上下対称5角形が5個並び, 第3,第5,第7及び第9列は,基本6角形状が6個並び, 第4,第6,第8及び第10列は,上端及び下端が左右対称5角形で,その間に基本6角形状が5個並んだ, 上下には対象であるが,左右には非対称な配列, <引用相当部分の配列及び個数> 引用相当部分の配列は,一番左から, 第1,第3,第5及び第7列は,上端及び下端が5角形で,その間に6角形が11個並び, 第2,第4及び第6列は,6角形が12個個並んだ, 上下及び左右が対称な配列, で相違する。 2.両意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)両意匠の意匠に係る物品,両意匠部分の用途,機能並びに位置,大きさ及び範囲の評価 両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途,機能並びに位置,大きさ及び範囲がいずれも一致するが,この種物品自体はありふれているから,これらが一致することだけでは,両意匠の類否判断を決定付けるとまではいえない。 (2)両意匠部分の形態についての共通点の評価 基本的態様として示す共通点(A)は,この種物品に,ごく普通に見られる形態にすぎないから,この点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,微弱であるというほかない。 他方,具体的態様として示す共通点(B)は,セレーションが,平面視縦長6角形のものと,5角形のものであるというものであるところ,この種物品のセレーションとして,6角形のものは,両意匠部分だけに表れる形態であるから,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,一定程度あるものといえる。 (3)両意匠部分の形態についての相違点の評価 両意匠部分のセレーションは,一つ一つは非常に小さいものではあるが,電線を保持して係止する機能を有し,電気接続端子における重要な要素といえるから,需要者は,その形状や配列に高い関心をもって観察するといえるところ,具体的態様に係る相違点(ア)から(オ)までは,いずれもセレーションの形状や配列に関するものであって,需要者が高い関心をもって観察するものであるから,これらの相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,いずれも大きいものというべきである。 そして,セレーションが6角形であることは,上記(2)に示すように,両意匠部分だけに表れる形態ではあるものの,需要者は,単に6角形であるという事実自体に着目するのではなく,より具体的な形状や配列に注意を向けるといえるから,6角形の具体的形状や配列に関する相違点(ア)及び(ウ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,依然として大きいというほかない。 さらに,相違点(ア)から(オ)までが相乗されることによる視覚的効果を考慮すれば,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。 (4)小括 したがって,両意匠の意匠に係る物品は共通し,両意匠部分の用途,機能並びに位置,大きさ及び範囲品は一致するものの,両意匠部分の形態においては,共通点が未だ両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-03-02 |
出願番号 | 意願2014-22983(D2014-22983) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 兼安 あい |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 江塚 尚弘 |
登録日 | 2016-04-22 |
登録番号 | 意匠登録第1550443号(D1550443) |
代理人 | 永田 元昭 |
代理人 | 永田 元昭 |