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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1331287 |
審判番号 | 不服2017-3520 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-09 |
確定日 | 2017-08-03 |
意匠に係る物品 | 飲用グラス |
事件の表示 | 意願2016-6398「飲用グラス」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,意匠法第4条2項の規定の適用を受けようとし,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成28年(2016年)3月24日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「飲用グラス」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。『A-A断面図』『B-B端面図』及び『C-C拡大端面図』を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたもの(以下,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第204510号の意匠(「意匠に係る物品:コップ」。以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」という。)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものある(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,本願意匠が「飲用グラス」であって,引用意匠が「コップ」であるから,共通している。 (2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲 両部分は共に,グラス部の略下半部分であって,台座部につながる脚部分であるから,その用途及び機能は一致する。 飲用グラスの一般的な大きさからして,両部分の大きさ及び範囲は,おおむね共通するといえるが,本願部分は,全体の高さに対して,下から約27%の高さから上に位置しているのに対して,引用部分は,全体の高さに対して,下から約5%の高さから上に位置している。 (3)形態について 両部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (3-1)共通点 両部分のうちグラス部を,台座部に向かって,径を徐々に絞り込む略倒立円錐状としたところに,その周面に縦長花弁型カット面(以下「カット面」という。)を6つ連接して設けている点。 両部分のうち台座部の,グラス部下端と接する上端部を曲面としている点。 この2点で共通している。 (3-2)相違点 それに対して,本願部分は,カット面の下端を水平な直線状としているのに対して,引用部分は,カット面の下端を台座部に食い込んだ曲線状としている点。 本願部分のグラス部内側に,カット面の高さの上方約1/3の高さで放物線状の底面を形成しているのに対し,引用部分は不明な点。 本願部分は,グラス部分を透明に,台座部分を不透明にしているのに対して,引用部分は,全体が不透明な点。 以上の点で,相違している。 (4)類否判断 両部分の形態を検討すると,共に,グラス部を,略倒立円錐状としたところに,その周面にカット面を6つ連接して設け,台座部の上端部を曲面としている点で,一見共通感が生じている。 しかし,本願部分のカット面は,グラス部下端で終了しているのに対して,引用部分のカット面は,台座部まで食い込ませたことによって,グラス部から台座部上端部まで連続するカット面としている形状的相違点,及び本願部分は,グラス部を透明,台座部を不透明としているのに対して,引用部分は,グラス部及び台座部を不透明としているという相違点によって,本願部分は,形状においても,透明・不透明という色彩においても,グラス部と台座部を別体のものと認識させるものであるのに対して,引用部分は,一体であると認識させる形態である。 よって,グラス部内側の形態を考慮するまでもなく,両部分の形態は別異であると需要者に認識させるものといえる。 したがって,両意匠の意匠に係る物品は共通しており,両部分の用途及び機能は一致し,大きさ及び範囲がおおむね共通しているが,両部分の位置が異なる上に,両部分の形態は類似しないから,両意匠は類似しているとはいえない。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-07-19 |
出願番号 | 意願2016-6398(D2016-6398) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 油科 壮一、内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2017-08-18 |
登録番号 | 意匠登録第1585681号(D1585681) |
代理人 | 日高 一樹 |