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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1334415 |
審判番号 | 不服2017-7990 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-02 |
確定日 | 2017-10-03 |
意匠に係る物品 | 包装用容器の中栓 |
事件の表示 | 意願2016- 18901「包装用容器の中栓」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,意願2016-18900号(意匠登録第1573497号)を本意匠とする,平成28年(2016年)9月2日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用容器の中栓」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成26年(2014年)3月10日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1491705号「包装用容器の中栓」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「包装用容器の中栓」であり,引用意匠も,「包装用容器の中栓」であって,いずれも包装用容器の口部に利用される中栓であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 (1)共通点 (A)全体を,正面視三段の略円筒形で形成し,上段を断面視略逆「し」字状の注ぎ口を上端周囲に設けた注口筒部(以下,「注口筒部」という。)とし,中段を外周下端に鍔状の突起を設けたガイド部を有する係合部(以下,「係合部」という。)とし,下段を内部にすり鉢状の中栓を設けた基部(以下,「基部」という。)とした点, (B)内部に薄板を傾斜した円環状としたプルリングを設け,そのプルリングを底部に連結された断面視略三角形状の支柱により軸支した点, (C)中栓底部の平面視側には矢印状の模様を設け,その底面視側には隅丸突起を有する略扇形状の溝部を形成した点, において主に共通する。 (2)差異点 (ア)係合部の外周面の形状について,本願意匠は,肩部を曲面で構成し,下端突起部までをなだらかな曲面としたのに対して,引用意匠は,肩部を直角とし,下端の突起部もほぼ直角とした点, (イ)内周面の形状について,本願意匠は,係合部から基部にかけての内周面に2つの凸弧状部を形成したことにより,内周面がやや傾斜した凹凸のある曲線状であるのに対して,引用意匠は,注口筒部から係合部の内周面を垂直とした点, (ウ)注口筒部と係合部の構成について,本願意匠は,ガイド部の直上に注口筒部を設けることで,注口筒部と係合部の外径の差を小さくしたのに対して,引用意匠は,ガイド部の内周面側上方に注口筒部を設け,注口筒部と係合部の外径の差を大きくした点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)共通点 そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成ではあるが, 全体を,正面視三段の略円筒形で形成し,上段を上端周囲に断面視略逆「し」字状の注出口を設けた注口筒部とし,中段を外周下端に突起を設けた,ガイド部を有する係合部とし,下段を内部にすり鉢状の中栓を設けた基部とした態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に多数見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,また,両意匠の各部位には差異点が認められ,全体の基本構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 次に,共通点(B)についても,内部に薄板を傾斜した円環状としたプルリングを設け,そのプルリングを,底部に連結された断面視略三角形状の支柱により軸支した態様が共通しているが,両意匠と同様に薄板を傾斜した円環状としたプルリングを内部に配した態様は,他にも見られる態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 次に,共通点(C)についても,中栓底部の平面視側には矢印状の模様を設け,底面視側には扇形状の溝部を形成した態様は,他にも見られる態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (2)差異点 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,まず,差異点(ア)の係合部の外周面の形状については,肩部を曲面で構成し,下端突起部までをなだらかな曲面とした本願意匠は,やわらかな印象を与えるものであって,肩部を直角とし,下端の突起部もほぼ直角とした引用意匠は,硬い印象を与えるもので,見た目の印象が明確に異なり,また,なだらかな曲面とすることで,付着物を拭き取りやすいことが容易に理解できる態様からなる本願意匠と引用意匠との差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)の内周面の形状については,本願意匠は,全体として,内周面をやや傾斜した凹凸のある曲線状とし,垂直状部分の割合が大きい引用意匠とは,視覚的な印象を異ならせるものといえ,また,内周面の形状は,注ぐ量の調整に影響を及ぼすことから,需要者の商品選択において注目される部分であり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)の注口筒部と係合部の構成については,係合部の突出度合いからなる差異点は,使用時の液体物の付着の度合いに関わり,需要者が使用する際の利便性について着目する部分であるから,その差異を無視することができず,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 (3)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-09-19 |
出願番号 | 意願2016-18901(D2016-18901) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田村 佳孝 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 正田 毅 |
登録日 | 2017-11-02 |
登録番号 | 意匠登録第1592025号(D1592025) |
代理人 | 特許業務法人 英知国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人 英知国際特許事務所 |