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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1334428 |
審判番号 | 不服2017-10392 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-07-12 |
確定日 | 2017-10-31 |
意匠に係る物品 | 調理器用蓋 |
事件の表示 | 意願2016- 10529「調理器用蓋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2016年(平成28年)5月17日の意匠登録出願であって, その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「調理器用蓋」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:昭和59年(1984年)9月28日)に掲載された意匠登録第764429号(意匠に係る物品,煮炊具用蓋)の意匠の本願意匠に相当する部分の意匠であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用部分」という。)。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,本願意匠が「調理器用蓋」であって,引用意匠が「煮炊具用蓋」であるから,表記は異なるが,いずれも料理用の鍋等に用いられる蓋であり,本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲 両部分はともに,蓋の上面中央に取り付けられるつまみの上面部及び傾斜面部であるから,その用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲は一致する。 (3)両部分の形態 両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (3-1)共通点 両部分は,全体を,略六角錐台形状としている点において共通している。 (3-2)相違点 具体的な態様として, (ア)正面視における縦横の長さの比率について, 本願部分は,縦横の長さの比率が,約1:7であるのに対し, 引用部分は,縦横の長さの比率が,約1:3である点, (イ)正面視における傾斜面の角度について, 本願部分は,水平面に対し,約30度であるのに対し, 引用部分は,水平面に対し,約60度である点, (ウ)上面部の態様について, 本願部分は,上面部が平坦面であるのに対し, 引用部分は,上面部が僅かに膨出している点。 2.類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両部分の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,共通している。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は一致している。 (3)両部分の形態 以下,両部分の形態について検討する。 (3-1)共通点の評価 まず,共通点については,部分全体を,略六角錐台形状としている態様は,この種物品の分野において,従来から普通に見られるありふれた態様といえるもので,両部分のみに共通する態様とはいえないものであるから,この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。 (3-2)相違点の評価 相違点(ア)については,本願部分は,引用部分と比較して横の長さの比率が2倍以上大きく全体に扁平な印象を与えるものであるのに対し,引用部分は,横幅が短く縦長で高さのある印象を与えるものであって,この相違点は,視覚的印象を異にするというべきであるから,この相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいものである。 次に,相違点(イ)については,本願部分は,引用部分と比較して傾斜面の角度が約半分程度と小さく,相違点(ア)と相まって,全体に扁平な印象を与えるものであるのに対し,引用部分は,傾斜面の角度が急で全体に背の高い印象を与えるものであるから,視覚的印象が異なるものである。さらに,願書の意匠に係る物品の説明及び「卓上に載置した状態を示す参考図」によれば,本願意匠は,この傾斜面によって「卓上の載置面と面接触して蓋本体の傾斜姿勢を支える」という引用意匠には無い機能的特徴を有するものであって,こうした特徴点は需要者の注意をひくものといえることから,この相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 また,相違点(ウ)については,引用部分の膨出の度合いはごく小さいものではあるが,需要者にとって最も目につきやすい上面部の態様であることから,その相違は,僅かではあるが両部分の類否判断に影響を与えるものである。 以上のとおり,相違点(ア)及び(イ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点(ウ)も両部分の類否判断に多少の影響を与えるものであるから,相違点全体が相まって両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通し,形態においては,共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両部分は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-10-16 |
出願番号 | 意願2016-10529(D2016-10529) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 油科 壮一 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 内藤 弘樹 |
登録日 | 2017-11-10 |
登録番号 | 意匠登録第1592313号(D1592313) |
代理人 | 大塚 雅晴 |
代理人 | 前堀 義之 |
代理人 | 田中 光雄 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 岡崎 博之 |