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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1335194 |
審判番号 | 不服2017-11814 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-08-08 |
確定日 | 2017-11-10 |
意匠に係る物品 | 家庭用マッサージ器用の揉み玉 |
事件の表示 | 意願2016- 16941「家庭用マッサージ器用の揉み玉」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成28年(2016年)8月8日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「家庭用マッサージ器用の揉み玉」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,本願意匠は,「家庭用マッサージ器用の揉み玉」に係るものであるが,この種マッサージ器の分野において,揉み玉部全体を略半球状とし,その表面に略半球状突起部を1個から複数設けることは,本願出願前よりごく一般的に行われている中(下記意匠1ないし意匠3),本願意匠と同様に,揉み玉の突起部を3つとしたものも,同物品分野において本願出願前より見受けられる(下記意匠4)。そのうえで本願意匠の創作性について検討すると,意匠1を基本とし,上述の手法を用いて,揉み玉の突起部を単に3つとしたにすぎない本願意匠に格別の創意を見いだすことができず,当業者であれば,容易に創作できたものと判断されるとしたものである。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1435742号の意匠 意匠2(別紙第3参照) 特許庁発行の登録実用新案公報記載 実用新案登録第3093966号 図1から図7及び関連する記載により表されたマッサージ器の意匠 意匠3(別紙第4参照) 特許庁発行の登録実用新案公報記載 実用新案登録第3119262号 図9(b)及び関連する記載により表された指圧用突起の意匠 意匠4(別紙第5参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2013-128566 図1から図7及び関連する記載により表されたマッサージ器の意匠 第3 当審の判断 1.本願意匠及び本願意匠部分 本願意匠は,前記第1に述べたとおりのものである。 すなわち,本願意匠は,意匠に係る物品を「家庭用マッサージ器用の揉み玉」としたものであり,本願意匠の用途及び機能は,本願の願書の意匠に係る物品の説明の記載によれば,家庭用のマッサージ器に取り付けられ,回転駆動する揉み玉であり,使用者の体に接触することで刺激を与えるものである。 本願意匠部分の位置,大きさ及び範囲は,底面部を意匠登録を受けようとする部分から除いた部分であって,その形態は,全体を略半球状とし,上方寄りの位置に,同形同大の3個の扁平ドーム状の突起部を均等に配置したものである。 2.引用意匠 (1)意匠1 意匠1は,「電動マッサージ器の指圧部用のキャップ」に係るものであり,その引用意匠部分の形態は,全体を略半球状とし,その頂点から偏心した上方寄りの位置に,扁平ドーム状の突起部を1個配置したものである。 (2)意匠2 意匠2は,「可搬型マッサージ器」の回転盤と揉み玉に係るものであり,その引用意匠部分の形態は,略扁平円錐台形状の台座部の上面に,高さの異なる略ドーム状の突起部を2個,軸部を介して両端部に取り付けたものである。 (3)意匠3 意匠3は,「マッサージ用器具」の指圧用突起に係るものであり,その引用意匠部分の形態は,略球状の本体部の頂点から偏心した上方寄りの位置に,複数個(図面上で確認できる個数は,4個。)の小さな略ドーム状の突起部を間隔をあけて配置したものである。 (4)意匠4 意匠4は,「マッサージ装置」の回転台と揉み玉に係るものであり,その引用意匠部分の形態は,上面部をやや膨出させた略短円筒形状の台座部の上面に,大きさの異なる略タイヤ形状の突起部を3個,周側面部を垂直に立てて,台座部の周縁に沿って全体の約半分が露出するよう等間隔に配置したものである。 3.本願意匠の創作容易性について 本願意匠の創作容易性について検討する。 この種物品分野において,マッサージ器に取り付けられる揉み玉を略半球状とすることは,意匠1にみられるように,本願出願前から公然知られているものであるから,創作が困難であるということはできない。 しかしながら,より具体的な形態まで詳細に検討すると,本願意匠部分は,全体を略半球状とし,その頂点から偏心した上方寄りの位置に,同形同大の3個の扁平ドーム状の突起部を均等に配置した態様としたものであるのに対し,意匠1は,上記のとおり,全体を略半球状とした態様において共通するものの,その頂点から偏心した上方寄りの位置に突起部を1個配置した態様であり,同形同大の突起部を3個,均等に配置した本願意匠の態様とは異なるものである。また,突起部を2個以上配置した意匠2及び意匠3についても,本願意匠のように,同形同大の扁平ドーム状の突起部を3個配置した態様とは異なるものである。 一方,意匠4は,突起部を3個配置したものであるが,大きさの異なる略タイヤ形状の突起部を3個,周側面部を垂直に立てて,台座部の周縁に沿って全体の約半分が露出するよう等間隔に配置したものであって,本願意匠のように,同形同大の扁平ドーム状の突起部を配置した態様とは異なるものである。 そうすると,マッサージ器に取り付けられる揉み玉を略半球状とした態様及び大きさの異なる突起部が複数個配置された態様のものは,本願出願前から公然知られたものであるが,本願意匠部分のように,略半球状の揉み玉の上方寄りの位置に,同形同大の3個の扁平ドーム状の突起部を均等に配置した態様のものは確認できず,本願意匠部分は,これら引用意匠に基づいて容易に想到できたものとはいえないものである。 よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,引用意匠(意匠1ないし意匠4)にみられる,日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。 第5.むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであり,その拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-10-24 |
出願番号 | 意願2016-16941(D2016-16941) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 加藤 真珠、原川 宙 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 内藤 弘樹 |
登録日 | 2017-12-08 |
登録番号 | 意匠登録第1594185号(D1594185) |
代理人 | 住友 慎太郎 |