• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 K9
管理番号 1337106 
審判番号 不服2016-11753
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-04 
確定日 2017-02-14 
意匠に係る物品 粒子状物質除去フィルタ用セグメント 
事件の表示 意願2015-10395「粒子状物質除去フィルタ用セグメント」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)5月13日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「粒子状物質除去フィルタ用セグメント」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。端面図を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたもの(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)である(別紙第1参照)。

2.手続の経緯
(1)平成27年 5月13日 本願の出願
(2)平成27年10月 6日 拒絶理由を通知(1) 3条1項3号
(3)平成27年10月27日 意見書(1)を提出
(4)平成28年 2月 2日 拒絶理由を通知(2) 9条2項後段
(協議)指令書を送達
(5)平成28年 3月 2日 意見書(2)を提出
(6)平成28年 6月14日 拒絶の査定
(7)平成28年 8月 4日 審判を請求
手続補正書を提出

3.原査定に係る拒絶の理由
原査定に係る拒絶の理由は,本願意匠と本願の本意匠の表示の欄に記載された意願2015-10390(意匠登録第1547441号)の意匠(以下「元の本意匠」という。)について比較すると,両意匠の相違点は共通点を覆すものであり,本願意匠は元の本意匠と類似しておらず,なおかつ,本願意匠は意願2015-10394号の意匠と類似しているにも関わらず,平成28年1月28日付けの協議指令の趣旨に添う届出がなかったので,意匠法第9条第5項の規定により協議が成立しなかったものとみなされ,本願意匠の登録出願人は,意匠法第9条第2項後段の規定により本願意匠について意匠登録を受けることができない,とされたものである。
(なお,拒絶査定には,「拒絶理由通知書において記載したとおり,本願意匠は意願2015-010389号と類似しており」と記載されているが,これは「同一人同日出願の協議指令書において記載したとおり,本願意匠は意願2015-010394号と類似しており」の誤記と認められる。)

4.本件に係る補正について
審判請求と同日の,平成28年8月4日に提出された手続補正書によって,請求人は,願書の「本意匠の表示」の欄を「意願2015-10394」に変更し,併せて,意願2015-10394号の出願につき,願書の「本意匠の表示」の欄を削除する補正をした。
これにより,本願及び意願2015-10394号,各々の出願について協議の結果の届出が提出されていないが,本願意匠に対する原査定の拒絶の理由は解消しているものであるから,原査定の拒絶の理由によっては,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

5.当審の判断
本件においては,上記の手続補正による補正があったので,ここでは,本願意匠が,補正後の本意匠(意願2015-10394。以下「補正後本意匠」といい,本願意匠部分に相当する部分を「補正後本意匠部分」という。別紙第2参照)と類似しているか否かについて検討し,併せて,本願が関連登録できる要件を満たしているか検討する。

(1)補正後本意匠との類否
ア.両意匠の対比
(ア)意匠に係る物品について
本願意匠と補正後本意匠(以下「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「粒子状物質除去フィルタ用セグメント」であって,一致している。

(イ)本願意匠部分と補正後本意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲
本願意匠部分と補正後本意匠部分(以下「両部分」という。)は共に,セグメントの正面から背面にかけての隔壁,及び開口部と施栓部よりなる部分であるから,その用途及び機能,並びに位置及び範囲は一致し,大きさは当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものである。

(ウ)形態について
まず,関連意匠に関わる本意匠である,補正後本意匠部分から認定し,その次に,関連意匠となる本願意匠部分を認定する。

A.補正後本意匠部分の形態
(a)両端面を正方形とした,周側面を外壁によって囲まれた四角柱状のものである。
(b)正面から背面にかけての隔壁,及び開口部と施栓部よりなる部分に係り,開口部と施栓部は,隔壁によって仕切られ,内部には多数の流路を形成し,正面側が開口部である流路は,背面側が施栓部であり,正面側が施栓部である流路は,背面側が開口部であって,よって,各流路は一端が開口部であって,他端が施栓部となっている。
(c)補正後本意匠部分は,基本となるパターンを繰り返し並べたものであって,そのパターンを周側面に対して45度傾けたもので,全体で斜格子状を呈している。
(d)基本パターンは,正面視において,(d-1)中央にある施栓部は正方形であり,(d-2)それを取り囲む開口部は,六角形で,施栓部の辺と同じ長さの辺を持ち,その幅は,施栓部の幅と同等であり,かつ,(d-3)六角形の開口部は,中央で2分割しており,上下(又は左右)対称の五角形をなしている。
(e)本願部分は,この基本パターンが18個分の大きさのものである。


B.本願意匠部分の形態
基本となるパターンにおいて,中央にある正方形の施栓部を取り囲む六角形の開口部が,2分割していない点以外は,補正後本意匠部分と同じである。

C.両部分の形態の対比
両部分は「(1)補正後本意匠との類否」の「ア.両意匠の対比」「(ウ)形態について」の「A.補正後本意匠部分の形態」にて挙げた,(d-3)以外の点において,共通している。
一方,両部分は,六角形の開口部につき,補正後本意匠部分は,中央で2分割しており,上下(又は左右)対称の五角形であるのに対して,本願部分は,2分割していない点で相違する。

D.共通点と相違点の評価
両部分における相違は,開口部に注意すると気付く程度の相違であって,その相違点が,正方形の施栓部を六角形で囲んだパターンが斜格子状に並んで,セグメントの正方形の端面を構成するという共通点の印象を超えるものではなく,両部分は類似する印象を受けるものであるから,両部分の形態は互いに類似する。

(ウ)類否判断
以上のとおり,本願意匠と補正後本意匠とは,意匠に係る物品が一致しており,両部分の用途及び機能,並びに位置及び範囲が一致し,大きさが当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであり,両部分の形態が類似しているのであるから,両意匠は類似する。

(2)関連登録の要件
そして,本意匠の意匠権について専用実施権が設定されていないため,意匠法第10条第1項の条件規定である,同法同条第2項の要件を充足し,なおかつ,補正後本意匠と本願意匠の出願人は同一であり,本願意匠の出願日が補正後本意匠の意匠登録出願の日と同日(本願意匠の出願日がその本意匠の意匠登録出願の日以後であって,その本意匠の意匠公報の発行の日前)であるので,意匠法第10条第1項の要件を充足しており,上記のとおり本願意匠は,本意匠に類似するものであるから,これを本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができる。

6.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,補正後本意匠に類似しているものと認められ,平成28年8月4日の手続補正により,原査定の拒絶の理由によっては,本願意匠を拒絶すべきものとすることができないことは,前記のとおりであって,また,本願意匠は,関連登録できる要件を満たしているのも,前記のとおりである。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-01-30 
出願番号 意願2015-10395(D2015-10395) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (K9)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大峰 勝士 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 刈間 宏信
橘 崇生
登録日 2017-03-03 
登録番号 意匠登録第1573296号(D1573296) 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ