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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1340192 
審判番号 不服2017-14694
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-03 
確定日 2018-04-11 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2016- 18762「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成28年(2016年)8月31日付けで意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「斜視図と断面図を含めて,実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,当該部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下のとおりのものである(別紙第2参照)。

特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1103049号
(意匠に係る物品,包装用容器)における略八角形容器の鍔部の形状
(以下,この鍔部のうち本願部分に相当する部分を「引用部分」という。)

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の対比にあたっては,本願が物品の部分について意匠登録を受けようとするものであるから,意匠に係る物品はもとより,本願部分と引用部分(以下,本願部分と引用部分を併せて「両部分」という。)について,用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲,そして両部分の形態を対比し,その結果,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを判断する。

1.対比
(1)意匠に係る物品
意匠に係る物品については,両意匠共に「包装用容器」であるから,一致する。
(2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲については,共に,包装用容器の鍔部のうち,平面視右側の短辺及びその両側のコーナー辺を範囲とする部分であり,主に蓋の嵌合部やラップ掛けの係止部となる部分の上面部分であるから,共通する。
(3)両部分の形態
両部分の形態については,以下の共通点及び相違点が認められる。
(ア)共通点
両部分共に,全体を平面視「〕」(片亀甲括弧)形状とし,上面側を断面視凸弧状の曲面(以下「曲面部」という。)とし,下端から外側へ水平に張り出した突出片(以下「突出部」という。)を備えたものである。
(イ)相違点
(イ-1)平面視右側の短辺に対するコーナー辺の長さと角度について,本願部分は,引用部分よりも長く,狭くしたものである。
(イ-2)曲面部の断面形状について,本願部分は,緩やかで低い山なり(山形)としたものであるのに対して,引用部分は,上方へ大きく膨らんだ山なりとしたものである。
(イ-3)突出部の長さについて,本願部分は,大きく張り出したものであるのに対して,引用部分は,僅かに張り出したものである。

2.共通点及び相違点の評価
以下,両部分の形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点について
上記共通点は両部分の全体に及ぶ基本的な構成態様であるが,この物品分野においてはありふれた態様といえるものであるから,両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
(2)相違点について
相違点(イ-1)は,平面視形状の相違であるが,長さも角度も大きく異なるものではなく,また,この物品分野においてはどちらの態様も極普通に見受けられるものであるから,相違点(イ-1)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
相違点(イ-2)は,曲面部の断面形状の相違であるが,本願部分の態様は,横方向に延びるスマートな印象を与えるものであるのに対して,引用部分の態様は,ずんぐりした印象を与えるものであり,両部分に異なる印象を与えるから,相違点(イ-2)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点(イ-3)は,突出部の長さの相違であるが,僅かな相違であるとしても,ラップを被せる作業の際の作業効率に関わる形状であって,需要者にとって注目する箇所の形状であるから,相違点(イ-3)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,軽視できない。
そうすると,相違点(イ-1)の及ぼす影響が小さいものであるとしても,相違点(イ-2)及び(イ-3)は両部分に異なる印象を与えるものであるから,相違点は両部分の類否判断を決するものといえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲については共通するものであるが,両部分の形態の相違点から生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-03-30 
出願番号 意願2016-18762(D2016-18762) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 成田 陽一 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2018-04-27 
登録番号 意匠登録第1605032号(D1605032) 
代理人 篠田 哲也 

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