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審決分類 |
審判 査定不服 意7条一意匠一出願 取り消して登録 D4 |
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管理番号 | 1341132 |
審判番号 | 不服2015-1675 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-01-28 |
確定日 | 2015-06-09 |
意匠に係る物品 | 炭ストーブ |
事件の表示 | 意願2014- 18548「炭ストーブ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成26年(2014年)8月26日の意匠登録出願であって,本意匠を意願2014-18546号とする関連意匠の意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付された図面によれば,意匠に係る物品を「炭ストーブ」とし,その形状,模様,色彩又はそれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものであって,「薄墨を施した部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。換言すると,外枠及び内枠の金網が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願は意匠法第7条に規定する要件を満たしていないとするものであり,具体的には,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分が,外枠及び内枠の金網部であって,両者は物理的に分離しており,かつ,両者間に形態的又は機能的な一体性のいずれも認められないことから,二以上の意匠を一の出願で行ったものである,としたものである。 第3 当審の判断 1 原査定の適否 原査定が本願の拒絶理由とした意匠法第7条は,「意匠登録出願は,経済産業省令で定める物品の区分により意匠ごとにしなければならない。」として,意匠登録出願は「一意匠」ごとにしなければならない旨を規定するものであるが,この「一意匠」とは,必ずしも物理的に分離していない形態のみを指すのではなく,各部が分離しているものであっても,機能的又は形態的一体性が認められればよいものと考えるべきである。 そこで,物理的に分離している本願部分が,機能的又は形態的一体性があるか否かについて,以下考察する。 本願は,炭や薪を入れるための略角筒形状の内枠部及び略角筒形状の外枠部の二重構造で構成される炭ストーブの意匠の出願であり,本願部分は,内枠の金網で構成される部分,及び外枠部の金網で構成される部分であって,内枠部は格子形状が正方形である縦横格子である一方,外枠部は格子形状が菱形である斜め格子とした形態である。 本願意匠は,内枠部及び外枠部を金網で構成したことにより,側面方向への放熱効果,燃料の可視化,通気性の確保を内枠部と外枠部全体で実現しているから,機能的一体性があるということができる。 また,内枠部と外枠部の形態については,格子形状が正方形である縦横格子としているか,格子形状が菱形である斜め格子としているかの違いは認められるものの,いずれも非常に細かい目の金網であるから,看者に対して形態としてひとつのまとまりを感じさせており,形態的一体性もあるということができる。 そうすると,内枠部及び外枠部の金網部分である本願部分は,二つに物理的に分離されてはいるものの,これら二つの部分は,機能的一体性及び形態的一体性が認められ,本願部分は一意匠として取り扱うべきものであるから,本願意匠は,意匠法第7条に規定する要件を満たすものである。 2 その他の審理 (1)審理結果 当審が先行意匠調査等を行った結果を基に,当審が更に審理した結果,以下のとおり判断した。 本願意匠は,同一の出願人(審判請求人)により同日に出願された, 意願2014-018546, 意願2014-018547, の各意匠と類似すると認められる。 すなわち,本願意匠と上記各意匠は,いずれも意匠に係る物品が「炭ストーブ」であり,本願意匠と上記各意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能は同一であって,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の,物品全体に占める位置,大きさ及び範囲が共通し,さらに,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の形態について見てみると,いずれの意匠も,炭や薪を入れるための内枠部と周壁をなす外枠部で構成される炭ストーブの両枠部の側面を構成する金網部分という基本的構成態様,及び内枠金網から内枠の半径とほぼ同距離に外枠金網を設け,内枠の深さを外枠の深さの略2/3としたことによる両枠部の金網部分の配置関係,及び内枠部の金網を縦横格子とし外枠部の金網を斜め格子としているという具体的構成態様が共通し,これらにより,需要者に共通の美感を起こさせるものであると認められる。 (2)指令書 上記の審理結果を踏まえて,特許庁長官は,意匠法第9条第5項の規定に基づいて,平成27年4月17日付けで,意匠法第9条第2項に定められた協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じる指令書を送付した(発送日:平成27年4月21日)。 (3)審判請求人の対応 これを受けて,審判請求人は,協議対象の意匠登録出願である,意願2014-018547及び本願に対して,それぞれ,平成27年4月22日付けで手続補正書を提出し,願書に,【本意匠の表示】の欄を追加し,その記載に,本願である「意願2014-018546」を追加する補正をした。 なおかつ,協議対象の意匠登録出願である意願2014-018546に対して,同日の平成27年4月22日に意見書を提出し,意願2014-018547及び本願を意願2014-018546の関連意匠とする補正をした結果,本願の第9条第2項の規定に基づく拒絶理由は解消したと考えている旨を述べた。 (4)小括 以上のとおり,今現在,意匠法第9条第5項の規定に定められた協議の結果の届け出がないが,上記2件の補正により,実質的に協議が成立したものと認められる。 よって,本願意匠は,意願2014-018546を本意匠とする関連意匠として,意匠登録を受けることができるものとなった。 第4 むすび したがって,本願意匠は,意匠法第7条に規定する要件を満たすものであり,同条の規定により拒絶すべきものとすることはできず,また,意匠法第9条第2項にも該当しないものであり,同条の規定により拒絶すべきものとすることもできず,かつ,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-05-25 |
出願番号 | 意願2014-18548(D2014-18548) |
審決分類 |
D
1
8・
52-
WY
(D4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 越河 香苗、長谷川 翔平 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
久保田 大輔 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-06-26 |
登録番号 | 意匠登録第1529938号(D1529938) |
代理人 | 大西 正夫 |