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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 B1
管理番号 1341142 
審判番号 不服2017-18341
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-08 
確定日 2018-06-11 
意匠に係る物品 ブラジャー 
事件の表示 意願2016- 26352「ブラジャー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成28年12月5日の意匠登録出願であって,平成29年3月30日付けの拒絶理由の通知に対し,平成29年5月18日に意見書を提出されたが,平成29年8月31日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成29年12月8日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「ブラジャー」とし,その形状,模様若しくは色彩またはこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。

本願意匠は,本願出願前に公然知られた下記引用意匠1中の内側の当て布を除く外側の本体部(暗調子部)の形状に基づき,後身頃の襟刳りを引用意匠2に見られるようにやや深く刳った形態として,ブラジャーの意匠として表したにすぎないので,本願意匠に係る物品分野の通常の知識を有する者が容易に創作することができたものと認められる。
なお,本願意匠の前身頃中央下端にある緩やかな刳りについても,引用意匠2及び同3に見られるように,本願出願前より公然知られたありふれた態様である。

引用意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1525192号の意匠
(意匠に係る物品:ブラジャー)

引用意匠2(別紙第3参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2013年 4月30日
受入日 特許庁意匠課受入2013年 5月31日
掲載者 ケンコーコム株式会社
表題 タイトルなし
掲載ページのアドレス http://photo.kenko.com/E312457H_L.jpg
に掲載された「ブラジャー」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ25008406号)

引用意匠3(別紙第4参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2012年2月27日
受入日 特許庁意匠課受入2012年3月2日
掲載者 株式会社フェリシモ
表題 kraso [クラソ]|揺れを抑えて美胸をキープ ノン揺れヌーディーブラの会|フェリシモ
掲載ページのアドレス http://www.felissimo.co.jp/kraso/v14/cfm/products_image001.cfm?&WK=9436&GCD=495590&lrsiz=520x800&srsiz=38x58&EDA=11
に掲載された「ブラジャー」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ23074564号)

第4 当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。

(1)本願意匠(別紙第1参照)
本願意匠は,意匠に係る物品を「ブラジャー」とし,その形態は,肩部で折り返した前見頃と後身頃を両脇部で重ねて接合し,着丈において,袖部と脇部の長さをほぼ同じとし,裾が着衣者の胃部あたりにくるように全体を構成している。
前身頃については,着丈の略2分の1の長さまで刳った略U字状の襟刳りを設け,袖刳りの脇下部が,両肩部よりも左右にでるように緩やかな曲線によって袖刳り部を形成し,さらに,袖刳りの脇下部から身頃の裾に向って,脇線が僅かに窄まるように直線的に形成されている。また,前身頃の襟刳りにおいて,肩部から胸上部にかけては僅かに湾曲しながら内側に下降し,中央部にむかって一端,緩やかな凸弧状を成したあと,中央部に浅い略V字状となる弧状線を設けるものとなっている。前身頃の裾部は,中心部を弧状に刳った態様としている。
後身頃については,襟刳りを着丈の略3分の1の深さで略半円弧状に刳った態様とし,裾部を僅かに湾曲する弧状としている。

(2)原査定の拒絶の理由の引用意匠
(ア)引用意匠1(別紙第2参照)
引用意匠1は,意匠に係る物品を「ブラジャー」とし,その形態は,肩部で折り返した前身頃と後身頃を両脇部で重ねて接合し,着丈において,袖部の長さを僅かに脇部よりも長くしつつ,裾が着衣者の胃部あたりにくるように全体を構成している。
前身頃については,襟刳り部において前面から視認できるように裏側に当て布を接着し,当該当て布の端部によって略U字形をなす襟刳りを形成し,前身頃表布側の端部については,肩部から中央部にむかって,当て布端部と平行するように緩やかな曲線を構成し,中央部付近において大きく円弧状をなし,その先端部においては当て布との色彩対比によって鋭角的なV字状が表れるようになっている。また,袖刳りの脇下部が,両肩部よりも左右にでるように緩やかな曲線によって袖刳り部を形成し,袖刳りの脇下部から身頃の裾に向かっては脇線を僅かに窄ませるように直線的に形成している。前身頃の裾部は,水平に直裁されている。
後身頃については,襟刳りを着丈の略5分の1の深さで緩やかな凹弧状に刳った態様とし,裾部を着丈の略10分の1の深さとなる緩やかな弧状に形成している。

(イ)引用意匠2(別紙第3参照)
引用意匠2は,意匠に係る物品が「ブラジャー」であり,その形態は,前身頃を幅広の肩紐部,カップ部及びカップ保持部で形成し,当該カップ保持部の下端中央部が緩やかに刳られており,後身頃においては,襟刳りを着丈の略5分の1の深さで凹弧状に刳った態様襟刳りとしている。

(ウ)引用意匠3(別紙第4参照)
引用意匠3は,意匠に係る物品が「ブラジャー」であり,その形態は,肩紐部,カップ部及びカップ保持部で形成され,当該カップ保持部の下端中央部が緩やかに刳られている。

(3)創作容易性の判断
まず,この種のブラジャーの分野においては,肩部で折り返した前身頃と後身頃を両脇部で重ねて結合し,身頃の裾が着衣者の胃部あたりにくるように全体の着丈を形成し,袖刳りの脇下部が,両肩部よりも左右にでるように緩やかな曲線によって袖刳り部を構成し,後身頃の襟刳りを凹弧状とし,前身頃の襟刳りを後身頃よりも深い略U字形の襟刳りとすることは,引用意匠1に見られるように,本願出願前よりすでに見られるありふれた態様であり,さらに,前身頃の裾部についてその中心部を弧状に刳った態様とすることは,引用意匠2及び引用意匠3に見られるように本願出願前に既にみられる態様であるので,これらの態様については,創作が容易でなかった理由は認められない。
しかしながら,引用意匠1の前身頃襟刳りは,その形態としては当て布端部によって形成される略U字状をなしており,たとえ,当て布との色彩対比によって表れる表布端部による鋭角的なV字状をなす中央部の態様を公知の形状として取り出したとしても,中央部にむかって一端,緩やかな凸弧状を成したあと,中央部に浅い略V字状の弧状線を設ける本願意匠の形状とは異なるものとなっており,これらの意匠に基づいて本願意匠の形態を導きだすことができず,また,後身頃の襟刳りを着丈の略3分の1の深さで略半円弧状に刳った本願意匠の形態は,後身頃の襟刳りを着丈の略5分の1の深さで緩やかな凹弧状に刳った引用意匠1及び引用意匠2の形状に基づいて当業者であれば容易にできる変形,あるいは,本願意匠の属する分野において常套的な変更によるものといえず,出願前公知の形態に基づいて容易に創作ができたものということはできない。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,引用意匠1ないし3に見られる,日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,本願を拒絶すべきものとすることができない。
また,他の本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-05-28 
出願番号 意願2016-26352(D2016-26352) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (B1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 上島 靖範下村 圭子 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 木本 直美
江塚 尚弘
登録日 2018-06-22 
登録番号 意匠登録第1609069号(D1609069) 
代理人 布施 哲也 
代理人 野間 悠 
代理人 長谷川 芳樹 

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