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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B4 |
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管理番号 | 1343064 |
審判番号 | 不服2017-18869 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-12-20 |
確定日 | 2018-08-03 |
意匠に係る物品 | 小物収納ケース |
事件の表示 | 意願2017- 4009「小物収納ケース」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成29(2017年)2月28日の意匠登録出願であって,平成29年7月25日付けの拒絶理由通知に対し,平成29年9月5日に意見書が提出されたが,平成29年9月15日付けで拒絶査定がなされ,平成29年12月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願意匠は,意匠に係る物品を「小物収納ケース」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を,「赤色に着色された部分を除く部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。斜視図及び開いた状態の斜視図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。 引用意匠は,韓国特許庁が発行した大韓民国意匠商標公報(公報発行日:2012年1月18日)に記載された(登録番号30-0629065)ポーチの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH24402594号)であって,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたものであり,引用意匠において本願部分と対比,判断する部分を,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。 第4 当審の判断 1 意匠の認定 (1)本願意匠 ア 意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「小物収納ケース」である。 イ 本願部分の用途及び機能 本願部分の用途及び機能は,小物収納ケースの開口部に用いられる部分であって,開閉を機能とするものである。 ウ 本願部分の位置,大きさ及び範囲 本願意匠を平面視し,その上端側を本願意匠の後方,下端側を前方とすると,本願部分は,全体が開閉するように前方上部から後方下部にかけて形成された開口部に位置し,その大きさ及び範囲は,ファスナーの務歯とテープで構成される部分となっている。 エ 本願部分の形態 本願部分は,全体を,中央部に務歯を配した細幅の帯状体とし,本願意匠の開口部にそって,前方上方を略水平状として,両側部は前方側が膨出し,後方側が窄まった弧状を形成して,後方下部にかけて降下するものとなっている。 (2)引用意匠 ア 意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は,「ポーチ」である。 イ 引用部分の用途及び機能 引用部分の用途及び機能は,ポーチの開口部に用いられる部分であって,開閉を機能とするものである。 ウ 引用部分の位置,大きさ及び範囲 引用部分は,引用意匠の前方上部から後方下部にかけて形成された開口部に位置し,その大きさ及び範囲は,ファスナーの務歯とテープで構成される部分となっている。 エ 引用部分の形態 引用部分は,全体を,中央部に務歯を配した細幅の帯状体とし,引用意匠の開口部にそって,前方上方を略水平状とし,両側部は略直角に曲がり,そのまま直線状に後方下部まで降下するものとなっている。 2 対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は「小物収納ケース」で,引用意匠の意匠に係る物品は「ポーチ」であり,表記は異なるが,小物,例えば,筆記具や化粧品,化粧用具等を収納することができる入れ物であることから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,用途及び機能が共通する。 (2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は,いずれも小物を収納する入れ物の開口部に用いられる部分であって,開閉を機能とするものであることから,用途及び機能が共通する。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の対比 両部分は,いずれも,前方上部から後方下部にかけて形成された開口部に位置し,その大きさ及び範囲は,ファスナーの務歯とテープで構成される部分となっており,位置,大きさ及び範囲が共通する。 (4)両部分の形態の対比 ア 両部分の形態の共通点 全体を,中央部に務歯を配した細幅の帯状体としている点。 イ 両部分の形態の相違点 本願部分は,本願意匠の開口部にそって,前方上方を略水平状として,両側部は前方側が膨出し,後方側が窄まった弧状を形成し,後方下部にかけて降下するものとなっているのに対して,引用部分は,引用意匠の開口部にそって,前方上方を略水平状にし,両側部は略直角に曲がり,そのまま直線状に後方下部まで降下するものとなっている点。 3 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は,用途及び機能が共通するから,類似する。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能が共通するから,類似する。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の評価 両部分の位置,大きさ及び範囲は,物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲が一致するから,同一である。 (4)両部分の形態の共通点及び相違点の評価 ア 両部分の形態の共通点 全体を細幅の帯状体とし,該中央部には開閉のための務歯を配すものとしている共通点は,通常よく見られるファスナーの概括的な形状であり,本願部分も特に格別な態様のものではないことから,部分全体の美感に与える影響は小さい。 イ 両部分の形態の相違点 相違点の,本願部分は,本願意匠の開口部にそって,前方上方を略水平状として,両側部は前方側が膨出し,後方側が窄まった弧状を形成し,後方下部にかけて降下するものとなっているのに対して,引用部分は,引用意匠の開口部にそって,前方上方を略水平状とし,両側部は略直角に曲がり,そのまま直線状に後方下部まで降下するものとなっている点については,開閉時に開口部の広さやその開閉状態,及びその収納物の取り出しやすさ等に注意を払う需要者にとっては,前方から後方にかけて緩やかに弧状をなし,後方下部よりも幅広に開く開口部を形成する本願部分の特徴は,特に注意を惹くものであり,需要者に異なる美感を与えるものである。 (5)両意匠の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は,小物等を収納するという機能を有し,その使用に際しては当該小物等の出し入れを行うことから,開閉部の態様は使用時に特に注目される部分であり,需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。 両部分の形態における共通点及び相違点についての評価に基づき,意匠全体として両意匠を総合的に観察した場合,両部分は,開閉部を形成する態様に関して,美感に大きな相違があり,意匠全体として観察した際には,異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は類似し,両部分の用途及び機能が類似し,両部分の位置,大きさ及び範囲が同一であるが,その形態においては,相違点が全体において支配的なものとなっており,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものである。 第5 むすび 以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-07-19 |
出願番号 | 意願2017-4009(D2017-4009) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田村 佳孝 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
木本 直美 江塚 尚弘 |
登録日 | 2018-08-17 |
登録番号 | 意匠登録第1613330号(D1613330) |
代理人 | 野村 慎一 |
代理人 | 石井 隆明 |
代理人 | 藤本 昇 |