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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2 |
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管理番号 | 1343066 |
審判番号 | 不服2018-3391 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-03-08 |
確定日 | 2018-07-31 |
意匠に係る物品 | 電線管 |
事件の表示 | 意願2017- 2967「電線管」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成29年2月16日の意匠登録出願であって,平成29年8月25日付けの拒絶理由の通知に対し,平成29年10月16日に意見書が提出されたが,平成29年12月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成30年3月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「電線管」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を,「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。 引用意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成14年6月17日)に記載された,意匠登録第1143598号(意匠に係る物品,合成樹脂管)の意匠であり,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたもので,引用意匠において本願意匠との対比,判断する部分を,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分と対応する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は,「電線管」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「合成樹脂管」であるが,いずれも電線敷設等に用いられる管材であり,電線等の収容保護を主たる機能とするものであるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,用途及び機能が共通する。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は,いずれも電線の敷設に用いられる管材の部分であり,電線の収容保護を主たる機能とする部分であるから,用途及び機能が共通する。 3 両部分の位置,大きさ及び範囲の対比 本願部分は,正面視して左右に長い管材の中間部であり,引用部分は,「意匠の説明」の記載によれば,正面図において左右方向に連続するものであって,左右に長い管材の中間部であるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は一致する。 4 両部分の形態の対比 (1)両部分の形態の共通点 (共通点1)両部分は,断面形状の異なる管材,すなわち,側面視した外形状が隅丸正方形状の管状体(以下「方形管状体」という。)とこの正方形に収まる円形の管状体(以下「円形管状体」という。)が,正面視して等間隔に交互に配され,凹凸を形成している点で共通する。 (共通点2)両部分は,肉薄の部材で構成された管材である点で共通する。 (共通点3)両部分は,円形管状体の表面に凹凸が形成されている点で共通する。 (2)両部分の形態の相違点 (相違点1)本願部分の円形管状体は,弧状のテーパ面によって方形管状体と連続し,テーパ面と円形管状体の境目に境界線が表れるのに対して,引用部分の円形管状体は,弧状のテーパ面と境目に段差が表れている点で相違する。 (相違点2)本願部分の円形管状体は,中央に細幅で僅かに突出した2つの凸条が近接して設けられているのに対し,引用部分の円形管状体は,テーパ面の内側に段上がり状に形成された凸部の中央にやや幅広で高さのある凸条が設けられている点で,両部分は相違する。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は,主たる用途及び機能が共通するから,類似する。 2 両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は,主たる用途及び機能が共通するから,類似する。 3 両部分の位置,大きさ及び範囲の評価 両部分の位置,大きさ及び範囲は,物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲が一致するから,同一である。 4 両部分の形態の共通点及び相違点の評価 (1)両部分の形態の共通点 共通点1は,全体形状に係るものではあるが,この種物品分野において普通に見られる形状であり,部分全体の美感に与える影響は小さい。 共通点2の部材の厚みについても,合成樹脂の管材に普通にみられる態様であり,美感に与える影響は小さい。 共通点3は,円形管状体の表面の態様を概括的に捉えた場合の共通点であって,凹凸を形成することは一般的な手法であって,凹凸が形成されていることのみをもって,両意匠の格別の特徴とはいえず,部分全体の美感に与える影響は一定程度にとどまる。 (2)両部分の形態の相違点 相違点1の円形管状体の形状の相違については,本願部分は境目に境界線を有するものの段差なく滑らかに方形管状体に連続しているのに対して,引用部分は段差を有することから不連続な印象であると同時に円形管状体全体が肉厚である印象をもたらしており,視覚的印象が大きく異なるといえ,部分全体の美感に大きな影響を与えている。 相違点2における凸条部の形状の相違については,本願部分が2つの凸条を近接して設けていることから,円形管状体の中央に溝部が形成された印象であるのに対し,引用部分は,円形管状体の中央に単に大きめの凸条を1つ形成した印象であり,視覚的印象が大きく異なっており,部分全体の美感に大きな影響を与えている。 5 両意匠の類否判断 両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき,意匠全体として総合的に観察した場合,両部分は,円形管状体の美感に大きな差異があるが,円形管状体部分は,この種物品分野において,需要者である施工業者が作業時において管材を切断する際に注目する部分であることを考慮すれば,当該部位の具体的な凹凸形状は意匠全体の美感に大きな影響を及ぼすものであるといえる。一方,両部分に共通する部分全体の形状や部材の肉厚,及び円形管状体に凹凸が形成されている共通点は,いずれも両部分を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないので,これらの共通点を考慮したとしても意匠全体として観察した場合,両意匠は異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が類似し,両部分の用途及び機能が類似し,両部分の位置,大きさ及び範囲が同一であるが,その形態において,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しない。 第6 むすび 以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-07-18 |
出願番号 | 意願2017-2967(D2017-2967) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(M2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 外山 雅暁 |
特許庁審判長 |
木本 直美 |
特許庁審判官 |
温品 博康 宮田 莊平 |
登録日 | 2018-08-31 |
登録番号 | 意匠登録第1614162号(D1614162) |
代理人 | 井上 誠一 |