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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1347713 |
審判番号 | 不服2018-8749 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-06-26 |
確定日 | 2018-12-10 |
意匠に係る物品 | 呼吸インターフェース用フェースマスク用フレーム |
事件の表示 | 意願2017- 4318「呼吸インターフェース用フェースマスク用フレーム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2016年9月6日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権等の主張を伴う、平成29年(2017年)3月3日の意匠登録出願であって、同年8月24日付けの拒絶理由の通知に対し、同年12月27日に意見書が提出されたが、平成30年(2018年)3月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「呼吸インターフェース用フェースマスク用フレーム」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。各図に表されている破切れた細線は、模様を表す線ではなく、立体表面の形状を表す線である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠 米国特許商標公報 2013年5月28日発行の「フェイスマスク」の、FIG.9?FIG.16の「フェイスマスク用フレーム」(登録番号US D683447S)の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(別紙第2参照) (特許庁意匠課公知資料番号第HH25311982号) 第4 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、「呼吸インターフェース用フェースマスク用フレーム」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「フェイスマスク用フレーム」であって、表記は異なるが、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも、医療機械器具の酸素呼吸用マスクのフレームであるから、共通するものである。 (2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲 本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分を「両部分」という。)の用途及び機能については、いずれも、呼気排出用の通気孔であるから、その用途及び機能は一致し、また、位置、大きさ、及び範囲についても、該フレームの略中央部分であるから一致するものである。 (3)両部分の形態 両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア.共通点 両部分は、正面視、略縦長三角おにぎり形状の孔の周縁の部分(以下「周縁部」という。)であって、正面部は、周縁部の外周が孔の輪郭と略相似形で、全体を傾斜状に面取りし、背面部は細幅の面取りを施している点。 イ.相違点 具体的な態様として、 (ア)孔の輪郭形状 本願部分は、縦と横(下方寄りの最も長い部分)の長さの比率は、約1.3:1であるのに対し、引用部分は、約1.6:1であり、本願部分に比べて、引用部分は全体的に縦長である。 また、本願部分は、左右辺及び下辺が略直線状で、頂部は左右側頂部より緩やかな弧状としているのに対し、引用部分は、すべての辺がやや湾曲し、上側頂部は左右側頂部より急峻な弧状としている。 (イ)周縁部 正面部について、本願部分は、面取り部全体が断面視でやや膨出し、正面視において頂部の幅は下部の幅の約4倍で、両側部の幅は下部の幅の約2倍であり、頂部の面はなだらかな傾斜状で両側部に向かって傾斜角度を大きくし、下部はさらに両側部より急な傾斜面である。一方、引用部分は、面取り部は傾斜状であるが本願部分のような断面視の膨出は確認できず、正面視において頂部の幅は下部の幅の約2分の1で両側部に向かって漸次幅を広げ、両側部の下方寄りから下部にかけてほぼ一定幅とし、頂部の面の傾斜が最も急で、その他の面もやや急傾斜である。 2.類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、共通している。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致している。 (3)両部分の形態 以下、両部分の形態について検討する。 ア.共通点の評価 この種物品の分野において、通気孔を、正面視、略縦長三角おにぎり形状とした態様は、従来から普通に見られるありふれた態様といえるものであり、また、閉塞用のキャップを着脱しやすいよう、正面部の周縁部を傾斜状に形成して抜け勾配とすることや、背面部の周縁部の角を丸めて安全性を確保することも、ごく一般的に見られるものであって、両部分のみに共通する態様とはいえないものであることから、これらの共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいといえる。 イ.相違点の評価 相違点(ア)について、本願部分は、引用部分に比べて高さが低くずんぐりとしており、また、左右辺及び下辺が略直線状であることから、頂角と底角を丸めた二等辺三角形ともいえる形状であるのに対し、引用部分は、縦長の細身で頂部がとんがっており、また、湾曲状の左右辺及び底辺が弧状にひと繋がりとなっているため、下半分がやや扁平な涙滴形ともいえる形状となっており、両部分の輪郭は大きく異なるものである。そして、フレームの中心に位置し大きく目立つ孔の輪郭は、需要者の注意をひく部分であるといえ、この相違点が両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 相違点(イ)について、本願部分の面取り部は、その幅が一様でなく、孔の輪郭に対し、ひとまわり大きくした下部から両側部、頂部と幅を広げ、頂部に至っては下部の約4倍の幅で、かつ面取り部全体が断面視で膨出しており、さらに頂部の面はなだらかな傾斜状であるが、それ以外の面は大きく傾斜した複雑な造形を呈しているのに対し、引用部分の面取り部は、本願部分とは逆に、頂部の幅が最も狭く、正面視においてわずかに傾斜面がみえる程度であり、面取り部全体としても、孔の輪郭に対しひとまわり大きくした程度であるから、シンプルでさほど目立たないものである。また、当該部位は、正面部側で、需要者の注意を強くひくものであるから、この相違点が両部分の類否判断に与える影響は極めて大きいものである。 以上のとおり、相違点(ア)及び(イ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 3.小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は共通し、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲が一致するが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、相違点の印象は、共通点の印象を凌駕し、両部分は、意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-11-26 |
出願番号 | 意願2017-4318(D2017-4318) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大峰 勝士 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 宮田 莊平 |
登録日 | 2019-01-11 |
登録番号 | 意匠登録第1623482号(D1623482) |
代理人 | 渡邊 徹 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | ▲吉▼田 和彦 |
代理人 | 山本 泰史 |
代理人 | 松下 満 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |