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審決分類 |
審判 補正却下不服 図面(意匠の説明を含む) 取り消す F4 |
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管理番号 | 1348769 |
審判番号 | 補正2018-500002 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2018-04-27 |
確定日 | 2018-08-13 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2017-001742「包装用容器」において,平成29年10月10日にした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原決定を取り消す。 |
理由 |
1.経緯 本願は,2016年8月4日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成29年(2017年)1月31日付けの意匠登録出願であり,出願当初の願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,願書に添付の図面には,「斜視図1」「斜視図2」「平面図」「底面図」及び「右側面図」が記載されていた(「正面図」「背面図」「左側面図」の記載は無い。)。 そして,出願人は,平成29年10月10日に手続補正書を提出して,「意匠に係る物品の説明」の欄の記載の追加と,「使用状態を示す参考図」の追加をする補正をした。 しかし,原審では,この補正に対して,「上記手続補正書により意匠に係る物品の説明の欄及び使用状態を示す参考図を追加する補正をされましたが,これらの補正により明らかにされた本願意匠に係る物品の使用の状態並びに用途及び機能は,意匠に係る物品『包装用容器』の意匠の属する分野における通常の知識に基づいて,出願当初の願書の記載及び添付図面を総合して判断しても特定できなかった意匠の要旨を特定するものです。 したがって,上記手続補正書による補正は,出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものです。」との理由により,意匠法第17条の2第1項の規定に基づき,補正の却下の決定をした。 これに対して,請求人は,これを不服として,審判を請求した。 2.請求人の主張 請求人は,当該補正について,おおむね以下のように主張している。 (1)本願意匠の要旨について 出願当初の願書の記載及び添付図面によれば,本願意匠は,意匠に係る物品が「包装用容器」であり,その外観形態は,縦長円筒状であり,その胴体部と頭部が約6:1の構成比率からなり,平面中央視において,液体の注出口のような孔(小穴)があることが認められる。 (2)補正の内容について 「意匠に係る物品の説明」欄の記載及び「使用状態を示す参考図」の記載を追加したものである。 この補正は,本物品の用途及び機能を視覚的に分かりやすく説明するために,本物品及び本物品と同時に使用される電子喫煙具の使用状態を表したものである。 本願意匠は,従前の一般的な「包装用容器」とは異なった形態となっている。すなわち,本願意匠は「包装用容器」とされる物品の意匠としては,新規かつ独創的な形態となっている。 しかしながら,本願意匠は,出願当初の願書の「意匠に係る物品」の欄の記載において,意匠に係る物品は「包装用容器」であることが特定され,添付図面の記載により「包装用容器」の形態が特定された意匠が表されている。 意匠法は意匠の持つ形態価値を保護するものであるところ,当該補正による内容は,出願当初の願書の記載及び添付図面の記載が表す本願意匠の外観形態を変更するものではないことから,保護されるべき形態価値は出願当初のものと何ら変わるものではない。 そもそも意匠に係る物品の使用の状態並びに用途及び機能の説明を確認程度にしたものに過ぎないものであり,出願当初の願書の記載及び添付図面から,その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲内のものである。 3.当審の判断 意匠の要旨は,その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて,願書の記載及び願書に添付した図面等から直接的に導き出される具体的な意匠の内容をいうものとされるところ,意匠は物品の形態(形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(意匠法第2条))をいうから,「具体的な意匠の内容」とは,「具体的な物品の,具体的な形態の内容」ということができる。 そこで,物品に係る「具体的な形態の内容」について,上記手続補正の前後において変更があったか否かを検討すると,上記手続補正により,図面は「使用状態を示す参考図」の追加のみであって,出願当初の図面に変更はないから,「具体的な形態の内容」について変更があったということはできない。 そして「具体的な物品の内容」の変更の有無を検討すると,「意匠に係る物品の説明」の欄を追加し,本願意匠の物品が,電子喫煙具用の液体を貯蔵,補充するものであることが明らかにされたところ,そもそも補正前の願書には「意匠に係る物品の説明」が記載されておらず,包装用容器ではあるが,詳細には不明であって,本願の「包装用容器」が,例えば「菓子包装用容器」のような具体的な物品とまでは認定できなかったのであるから,本願の「包装用容器」は,電子喫煙具用の液体を貯蔵,補充する包装用容器ではなかったとまではいえず,包含していたといえる。そうすると,上記の補正により「意匠に係る物品の説明」の欄が追加されたことで,本願の「包装用容器」が,より具体的に明らかとなったということはできるが,例えば「菓子包装用容器」が電子喫煙具用の液体を貯蔵,補充する包装用容器へ変更されるように,具体的な物品の内容が変更されたとまではいうことができない。 そして,出願当初から図面によって表された本願意匠の形状は,上端の凹部を雌ネジとしており,その他の物(この場合は,電子喫煙具)がネジ止めされ,本願物品(包装用容器)内に貯蔵されている商品を補充されるための形状と認識する方が自然であって,「菓子包装用容器」等,その他の包装容器の形状というよりもむしろ,電子喫煙具用の液体を貯蔵,補充する包装用容器に見られる類いの形状であると認められる。 以上のことから「意匠に係る物品の説明」及び「使用状態を示す参考図」を追加した,本補正によって,本願意匠の要旨を変更したものとは認められない。 4.結び 以上のとおりであって,本補正によっては,意匠の要旨を変更したと認めることができないものであるから,この補正を意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした決定は,取消しを免れない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-07-31 |
出願番号 | 意願2017-1742(D2017-1742) |
審決分類 |
D
1
7・
1-
W
(F4)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 重坂 舞 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2019-02-08 |
登録番号 | 意匠登録第1625847号(D1625847) |
代理人 | 特許業務法人スズエ国際特許事務所 |