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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1350700 
審判番号 不服2018-17509
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-28 
確定日 2019-03-25 
意匠に係る物品 包装用缶 
事件の表示 意願2018-2633「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)2月9日の意匠登録出願であって,同年7月13日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月27日に意見書が提出されたが,同年10月15日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1225568号
(意匠に係る物品,包装用缶)の意匠

第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
両意匠の意匠に係る物品は,いずれも「包装用缶」である。

2 両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(1)共通点について
ア 全体を細口の有底略円筒状とした点。
イ 口部の直下に設けた肩部を略円錐台筒状とした点。
ウ 胴部を縦長の円筒状とし,その下端を先窄まり状とした点。
エ 肩部の上側直径・下側直径・高さの比率を,おおむね1:2:1弱とした点。
オ 肩部周側面に,隣り合う縦長の二等辺三角形の面を,それぞれの底辺が上下互い違いになるよう規則的に多数配列した装飾を施した点。

(2)相違点について
ア 肩部周側面の,二等辺三角形の面につき,本願意匠は,32面であるのに対して,引用意匠は,16面である点。
イ 胴部の直径と高さの比率につき,本願意匠は,約5:6としているのに対して,引用意匠は,約5:8としている点。

第5 判断
1 意匠に係る物品に対する判断
両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「包装用缶」であるから,一致している。

2 両意匠における形状の評価
両意匠は,共に手に持って使用するものと認められ,その使用状況と両意匠の大きさから,一目で全体の形状が観察できると認められることから,意匠全体の形状をもって類否判断するのが相当と考えられる。

(1)共通点について
包装用缶の分野においては,単なる円筒状のものが数多く見られるところ,共通点アないしエによって,若干の共通感を生じさせているが,両意匠のみの特徴ある共通点とはいえず,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。
共通点オについては,概念的共通点であるから,両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。

(2)相違点について
共通点アないしウで挙げた形状は,この種物品分野においてよくある形状であり,またシンプルな形状であることから,両意匠の観察時に需要者は,装飾を施してある肩部周側面に目が行くものと考えられるところ,相違点アについては,本願意匠は,一見しては(具体的な数が分からず)多数の細い三角形の面が並んでいるといった印象を得るものであるのに対して,引用意匠は,下側の上向き三角形の面の8面によって,8方向の面を基にして成る立体といった印象を得るものであるから,その印象は異なり,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点イについては,包装用缶の分野においては,必要な内容量に応じて胴部の高さの変更は通常行われているものであるから,多少の相違では,両意匠の類否判断に与える影響は小さいといえるところ,直径を5とした場合の,両意匠の胴の高さの6と8の相違は大きくなく,共に縦長の円筒状という共通感の中での比率の差にとどまることから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点アないしオは,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまるか,または限定的であり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点アは,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
よって,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似しないと認められる。

3 両意匠における類否判断
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似しない。

第6 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-03-12 
出願番号 意願2018-2633(D2018-2633) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 並木 文子 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2019-04-05 
登録番号 意匠登録第1630413号(D1630413) 

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