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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1356012 |
審判番号 | 不服2019-2033 |
総通号数 | 239 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-02-13 |
確定日 | 2019-09-02 |
意匠に係る物品 | まな板 |
事件の表示 | 意願2018- 9625「まな板」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成30年(2018年)4月30日の意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 8月24日付け 拒絶理由通知書 平成30年11月20日付け 拒絶査定 平成31年 2月13日 拒絶査定不服審判の請求 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「まな板」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ということもある。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,平成22年9月16日に特許庁が発行した登録実用新案公報に記載の実用新案登録第3162772号の第12図とそれに関する説明に記載された「まな板」の意匠であり,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 第4 両意匠の対比 1.意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,共に「まな板」である。 2.形態 以下,両意匠の形態の対比にあたり,引用意匠の図の向きを本願意匠の図の向きに合わせて認定する。 (1)共通点 共通点1:全体は,平板で,平面視において縦横比を約1対1.4とし,左右辺を緩やかな凸湾曲状とした略長方形であり,左辺寄りに上下方向の中央に手掛け孔を設けたものである。 共通点2:手掛け孔の形態は,長方形の上下両端を半円弧状にした形状を左辺の輪郭に沿うように全体的にやや湾曲させたものである。 共通点3:平面視左端部に部材の切替え部分(以下「左端切替え部分」という。)を設けたものであり,上下両隅部と手掛け孔周囲を含めた左端部を一つながりの切替え部分としたものである。 共通点4:平面視右端部に部材の切替え部分(以下「右端切替え部分」という。)を設けたものであり,上下両隅部を切替え部分としたものである。 (2)相違点 相違点1:略長方形とした平面視輪郭形状について,本願意匠は,上下辺をごく僅かな凸湾曲状とし,4つの角を,いずれも曲率半径を等しくする小さい弧状とした左右対称のものであるのに対して,引用意匠は,上下辺を直線状とし,左辺側の2つの角を曲率半径の大きな弧状,右辺側の2つの角を曲率半径の小さな弧状とした左右非対称のものである。 相違点2:手掛け孔の長さがまな板の縦幅に占める割合について,本願意匠は,約2分の1としたものであるのに対して,引用意匠は,約3分の1としたものであり,本願意匠のその占める割合は,引用意匠のそれの約1.5倍大きいものである。 相違点3:右端切替え部分について,本願意匠は,辺の中央部分を除いた上下両隅部のみを切替え部分としたものであるのに対して,引用意匠は,上下両隅部と辺の中央部分を一つながりとする切替え部分としたものである。 相違点4:正面及び背面の四隅部に,本願意匠は,平面視略く字状の小突起を設けたものであるのに対して,引用意匠は,そのような小突起を設けていないものである。 第5 類否判断 1.意匠に係る物品について 意匠に係る物品は,両意匠共に「まな板」であるから,一致する。 2.形態について (1)共通点の評価 共通点1は,平面視における形態を概括的に認定したに過ぎないものであり,この種物品分野において,従来から見受けられるものであるから,共通点1が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 共通点2は,手掛け孔に係るものであるが,両意匠のみの特徴といえるものではないから,共通点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 共通点3は,左端切替え部分に係るものであるが,手掛け孔の周囲を含めて一つながりの切替え部分としたところは一定の共通感をもたらしているから,共通点3が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 共通点4は,右端切替え部分に係るものであるが,具体的に見れば,相違点3が存在するから,共通点4が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (2)相違点の評価 相違点1は,平面視輪郭形状に係る相違であり,特に左辺側の角の大きさの相違は,左右対称形か否かという違いとしても認識されるものであって,両意匠について需要者に異なる印象をもたらすものであるから,相違点1が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点2は,手掛け孔がまな板に占める割合の相違であるが,本願意匠のその占める割合は,引用意匠のそれの約1.5倍大きいものであるから,相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 相違点3は,右端切替え部分の相違であるが,目に付きやすい右辺におけるものであり,一見して気付く相違であるから,相違点3が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点4は,略く字状の小突起の有無であるが,四隅部に小突起を設けたものは本願の出願前から見受けられるものの,略く字状としたものは本願意匠の特徴といえるから,相違点4が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 (3)形態の類否 両意匠について意匠全体として総合的に観察した場合,上述の両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づけば,左端切替え部分の共通点が一定の共通感をもたらしているものの,全体の平面視輪郭形状の相違や右端切替え部分の相違は,両意匠について需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠の形態は類似しないものである。 3.両意匠の類否 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態において類似しないものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。 第6 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-08-20 |
出願番号 | 意願2018-9625(D2018-9625) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 神谷 由紀 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2019-10-04 |
登録番号 | 意匠登録第1644472号(D1644472) |
代理人 | 神保 欣正 |