ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 B1 |
---|---|
管理番号 | 1356021 |
審判番号 | 不服2019-2274 |
総通号数 | 239 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-02-19 |
確定日 | 2019-09-30 |
意匠に係る物品 | 衣服用芯材 |
事件の表示 | 意願2018- 1188「衣服用芯材」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、意願2018-1184(意匠登録第1617455号)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る、平成30年(2018年)1月23日の意匠登録出願であって、同年8月23日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月12日に意見書が提出されたが、同年11月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2 本願意匠の願書の記載及び添付図面 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「衣服用芯材」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 3 原査定の拒絶の理由及び本意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないため、意匠法第10条第1項の規定に該当しない、というものである。 本意匠に係る出願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、本願の出願日と同日の平成30年(2018年)1月23日の意匠登録出願(意願2018-1184)であって、同年10月19日に意匠登録の設定(意匠登録第1617455号)がなされ、同年11月12日に意匠公報が発行されたものであり、その意匠は、意匠に係る物品を「衣服用芯材」とし、その形態を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。 第2 当審の判断 1 本願意匠と本意匠の対比 (1) 意匠に係る物品の対比 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「衣服用芯材」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」によれば、いずれも「ブラジャー、ボディースーツ、カップ付キャミソール等のカップ部を有する衣服において、カップ部の前中心部に配置されてカップ部の形状を保持する芯材である。」ことから、用途及び機能が一致する。 (2) 形態の対比 ア 形態の共通点 (共通点1)両意匠は、全体の基本構成が、正面視において偏平な略台形状の土台部(以下「土台部」)という。)と、土台部の左右の傾斜辺に折れ曲がって繋がる立ち上がり片部(以下「立ち上がり片部」という。)からなる点で共通する。 (共通点2)両意匠は、正面視における土台部の横幅、縦幅、平面視における立ち上がり片部の高さの比を、約6:2:1としている点で共通する。 (共通点3)両意匠は、土台部の上辺を下向きの弧状に形成している点で共通する。 (共通点4)両意匠は、立ち上がり片部をブラジャーのカップ部に沿うような弧状面としている点で共通する。 (共通点5)両意匠は、立ち上がり片部の上辺部を略直線状としている点で共通する。 イ 形態の相違点 (相違点1)土台部の下辺について、本願意匠は水平な波状に形成しているのに対して、本意匠は上向きの弧状に形成している点で、両意匠は相違する。 2 両意匠の類否判断 (1) 意匠に係る物品の類否判断 本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が一致するから、意匠に係る物品は同一である。 (2) 形態の共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 (共通点1)は、全体の形状に係るものであって、両意匠の基調を形成し、需要者に共通の印象を強く与えるものである。また、両意匠の意匠に係る物品である「衣服用芯材」の分野において、カップ部を保持する芯材としては、両意匠出願前に、例えば左右のカップ部にわたるよう全体が形成されたものや、左右カップ部を別々に保持するようなものがみられるが、両意匠の (共通点1)のような基本構成は特徴的なものであり、需要者の注意を引くものである。したがって、(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。 (共通点2)は、意匠全体の構成比についての共通点であり、意匠全体の美感に与える影響は大きい。 (共通点3)ないし(共通点5)は、意匠全体の中では限られた部分の形態についての共通点であって、意匠全体の美感に与える影響は一定程度にとどまる。 イ 相違点の評価 (相違点1)について、意匠全体の中では限られた部分の形態についての共通点であって、意匠全体の美感に与える影響は一定程度に止まる。 (3) 両意匠の類否判断 両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、(共通点1)による、意匠全体の基本構成の共通性がこの種物品分野において特徴的で、需要者の注意を引くことに加え、各部の具体的形態についても(共通点3)ないし(共通点5)において共通し、さらに(共通点2)の全体の構成比も共通することから、これらが相まって、需要者に強い共通の印象を与えるものである。それに対し、両意匠の(相違点1)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度にとどまり、両意匠について需要者に別異の印象を起こさせる程のものではない。よって、両意匠は、意匠全体として共通する美感を起こさせるものといえる。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、その形態において、需要者に共通の美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似する。 第3 むすび 上記のとおりであって、本願意匠は、本意匠に類似し、意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるから、原査定の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-09-18 |
出願番号 | 意願2018-1188(D2018-1188) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(B1)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 木村 智加 |
登録日 | 2019-10-11 |
登録番号 | 意匠登録第1645181号(D1645181) |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 野間 悠 |