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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1359618 |
審判番号 | 不服2019-8748 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-07-01 |
確定日 | 2020-02-04 |
意匠に係る物品 | 車輌用ホイール |
事件の表示 | 意願2018- 13238「車輌用ホイール」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は,平成30年(2018年)6月15日(パリ条約による優先権主張2017年12月29日,アメリカ合衆国)に出願された国際意匠登録出願であって,その後の手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年11月14日付け:拒絶理由通知 平成31年 2月20日 :手続補正書(図面)の提出 平成31年 2月20日 :意見書の提出 平成31年 3月29日付け:拒絶査定 令和 1年 7月 1日 :審判請求書の提出 令和 1年 8月 8日 :手続補正書(審判請求書の請求の理由欄)の提出 2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「車輌用ホイール」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。 拒絶理由通知において引用された意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成29年(2017年)6月26日)に記載された,意匠登録第1579829号(意匠に係る物品,車輌用ホイール)の意匠であり,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。 以下,本審決では,引用意匠において本願部分と対比,判断する部分,すなわち,本願部分に相当する部分を,「引用部分」という。 第2 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「車輌用ホイール」であるから,一致する。 (2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は,いずれも車輌用ホイールにおいてタイヤを装着し,保持するために用いられる部分であり,タイヤの真円形状を保持する機能を有するものであるから,両部分の用途及び機能は一致する。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の対比 両部分は,いずれも車輌用ホイールのディスクを除いたリム及びフランジの部分であるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は一致する。 (4)両部分の形態の対比 両部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 なお,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとし,ディスクが突出して形成している側を正面側とし,その反対側を背面側とすることとする。 ア 形態の共通点 (共通点1)両部分は,周面がくびれた略短円筒形状のリム(以下「リム部」という。)の正面及び背面側端部に,その先端部分を円弧状とした突縁部(以下「フランジ部」という。)を形成した構成としている点で共通する。 (共通点2)リム部は,周面中央部に断面視略横〔(亀甲括弧)状の縮径した略円筒部(以下「ウエル部」という。)を設け,両端部からウエル部に向かって傾斜した周面を一体的に形成している点で共通する。 (共通点3)リム部の背面側端部付近の内周面部分に沿って突条部(以下「リブ部」という。)を1条形成している点で共通する。 イ 形態の相違点 (相違点)本願部分のリブ部の形態が,リブ部全体を背面側に向かって傾斜して形成し,その先端に背面側に向けて僅かに傾斜した平坦面を形成しているのに対し,引用部分のリブ部の形態が,リブ部全体をホイールの中心部に向かって垂直になるように形成し,その先端部を略U字状に形成している点で,両意匠は相違する。 3 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は,同一である。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は,同一である。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の評価 両部分の位置,大きさ及び範囲は,物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲が一致するから,同一である。 (4)両部分の形態の類否判断 本願意匠及び引用意匠に係る車輌用ホイールは,大型車両の後輪側にダブルタイヤを取り付ける際にも使用されるものであり,その場合は,その背面側を車輌の外側に向けて取り付けられるものである。 したがって,この種物品については,ホイールの背面側の形態についても需要者の注意を強く惹く部分でもあるということができる。 ア 共通点の評価 (共通点1)の部分全体の形態,及び(共通点2)のリム部の形態は,この種物品においてごく普通に見られるものにすぎず,両部分のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,これらの(共通点1)及び(共通点2)が部分全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点3)のリム部の背面側端部付近の内周面部分に沿ってリブ部を1条形成した形態は,両部分のリブ部の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるが,該部位にリブ部を形成したものがこの種物品分野において普通に見られるものではないことから,この(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度あるといえる。 イ 相違点の評価 (相違点)は,需要者の注意を強く惹く部分でもあるリブ部の具体的な形態に係るものであって,本願部分は,リブ部先端に形成された平坦面の部分が目立つ上に,車輌用ホイールの背面側端部を断面視略「く」の字状に形成したとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,リブ部背面側の垂直面部分が目に付く部分であって,車輌用ホイールの背面側端部付近のリム内周面部分に,背面視中空円板状の板体を設けたとの印象を与えるから,両意匠はリブ部の美感に大きな差異がある。 ウ 形態の類否判断 両部分の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両部分は,需要者の注意を強く惹く部分でもあるリブ部の美感に大きな差異があり,部分全体の形態及びリム部の形態が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえるから,両部分の形態は類似しないものである。 (5)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が同一であり,両部分の用途及び機能が同一であり,両部分の位置,大きさ及び範囲が同一であるが,両部分の形態においては類似しないから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。 第3 むすび 上記のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-01-20 |
出願番号 | 意願2018-13238(D2018-13238) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 宇都宮 啓明、加藤 真珠 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 渡邉 久美 |
登録日 | 2020-03-05 |
登録番号 | 意匠登録第1655649号(D1655649) |
代理人 | 特許業務法人 丸山国際特許事務所 |