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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3
管理番号 1359620 
審判番号 不服2019-9126
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-08 
確定日 2020-02-05 
意匠に係る物品 カラーコンタクトレンズ 
事件の表示 意願2018- 16491「カラーコンタクトレンズ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成30年(2018年)7月27日の意匠登録出願であって、同年12月27日付けの拒絶理由の通知に対し、平成31年(2019年)2月25日に意見書が提出されたが、同年4月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和元年(2019年)7月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「カラーコンタクトレンズ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものであって、引用意匠は、以下のとおりである(別紙第2参照)。

表題 【レポ】オリエントブラック*ラスターワンデー装着画像レビュー
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 平成29年10月10日
検索日 [平成30年12月26日]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL https://yu-colorcon.com/lustar1day_orient_black/ に掲載された「コンタクトレンズ」の意匠

第4 対比

1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「カラーコンタクトレンズ」であり、一致する。

2 形態の対比
両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお、両意匠を対比するため、引用意匠の向きを本願意匠の図面の向きに揃えたものとして、以下、それぞれ形態を認定し、対比する。
(1)形態の共通点
(共通点1)全体を、球面体の一部を平面によって切り取った透光性を有する曲面体とし、正面視中央の曲面体の中心点を囲む無模様の中央円形部(以下「中央円形部」という。)と一番外側にある無模様の曲面体の外周端部(以下「外周端部」という。)を有し、中央円形部と外周端部の中間に細かい点(ドット)模様が密集した略円環状の模様部を配し、その模様部は、中央円形部寄りのジグザグ模様からなる内周部(以下「内周部」という。)と外周端部寄りのドットが密集した円環からなる外周部(以下「外周部」という。)に大別できるものであって、外周部を暗調子とした点で共通する。
(共通点2)内周部には、明調子で外周寄りから中心部に向かって延伸する斑点模様(以下「内周部斑点模様」という)を設け、内周部斑点模様は、中央円形部の中心点から放射状に配置し、中央円形部寄りが先細の略三角形でジグザグ状となって頂点部分の高さをほぼ一様としている点で共通する。
(共通点3)外周部は内周部斑点模様の外側に連続する様に、規則的なドット模様(以下「外周部ドット模様」という。)を環状に配している点で共通する。
(共通点4)外周端部寄りの外周部ドット模様は、やや疎に配置している点で共通する。

(2)形態の相違点
(相違点1)内周部の厚みと外周部の厚みの比率について、本願意匠は、略1:1としているのに対し、引例意匠は、略1:2としている点で、両意匠は相違する。
(相違点2)内周部斑点模様について、本願意匠は、中央円形部寄りを小さめの斑点を多く配置し、色の濃淡はみられないのに対し、引例意匠は、斑点の大きさはほぼ均一で、濃い色彩とやや淡い色彩からなる斑点を多く配している点で、両意匠は相違する。
(相違点3)外周部ドット模様の態様について、本願意匠は、にじんで線状に連なったドットを略斜め格子状に表し、外周端部寄りに小さなドットを設けているのに対し、引例意匠は、にじみの少ないドットを略格子状に表し、外周端部寄りに同じ大きさのドットを配している点で、両意匠は相違する。
(相違点4)色彩について、本願意匠は、全体の模様を焦げ茶色1色の構成としているのに対し、引例意匠は、内周部斑点模様、及び内周部寄り略1/2の範囲の外周部ドット模様を、青色と黒色の2色の斑点が混在した構成とし、また外周端部寄り略1/2の範囲の外周部ドット模様は、黒色1色の構成としている点で、両意匠は相違する。

第5 判断

1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

2 形態の共通点及び相違点の評価

両意匠の意匠に係る物品は、カラーコンタクトレンズであり、物品の特性からして、視力の矯正等の医療上の目的ではなく、虹彩部ないし瞳孔部の外観を変化させる美容上の目的で使用するものと解され、製品開発者のみならず、大方の購入者である10代後半から20代の女性を含む需要者は、その効果を得るために、眼球への装着時の印象までを含め両意匠に係る物品を観察するものということができる。
したがって、上記効果を得るという観点からは、虹彩部が需要者の注意を強く惹く部分であり、これより、内周部及び外周部における、ドットなどの輪郭形状、濃淡や配色、これらの構成態様が、需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。

(1)形態の共通点
まず、(共通点1)について、全体を、球面体の一部を平面によって切り取った透光性を有する曲面体とし、正面視中央の曲面体の中心点を囲む無模様の中央円形部と一番外側にある無模様の曲面体の外周端部を有し、中央円形部と外周端部の中間に細かい点(ドット)模様が密集した略円環状の模様部を配し、その模様部は、中央円形部寄りのジグザグ模様からなる内周部と外周端部寄りのドットが密集した円環からなる外周部大別できるものであって、外周部を暗調子とした態様は、全体の構成が共通するものではあるが、この種の物品分野においては、両意匠以外にも既に多数見られる、ありふれた態様といえるものであるから、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、全体の構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから、この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

同様に、(共通点2)の、内周部には、明調子で外周寄りから中心部に向かって延伸する斑点模様を設け、内周部斑点模様は、中央円形部の中心点から放射状に配置し、中央円形部寄りが先細の略三角形でジグザグ状となって頂点部分の高さがほぼ一様となっている態様、また、(共通点3)の、外周部を内周部斑点模様の外側に連続する様に、規則的なドット模様を環状に配している態様、
そして、(共通点4)の、外周端部寄りの外周部ドット模様が、やや疎に配置している態様についても、この種の物品分野においては、両意匠以外にも既に見られるもので、両意匠のみに見られる特徴とはいえないものであるから、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

そうすると、共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても、両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

(2)形態の相違点
これに対して、差異点に係る態様が相まって生じる視覚的な効果は、両意匠の類否判断を決定付けるものである。
まず、(相違点1)の内周外側斑点模様について、本願意匠は、斑点の大きさや形状が不規則で外周部寄りに不定形で大きめの斑点が多く見えるため、不定型な印象を与え、外周部寄りが濃い印象を与えるのに対して、引用意匠は、均一に斑点模様が拡散して見えるため、規則的な印象を与え、中央円形部寄りまで濃い部分が拡散した印象を与えるもので、本願意匠の斑点模様とは、見た目の印象が明確に異なるものであり、その差異は、両意匠の類否判断に影響を大きく与えるものといえる。

次に、(相違点2)の内周部斑点模様について、本願意匠は、中央円形部寄りに極小の斑点模様を配し、ドットの大小が細やかで、結果的に自然な眼の状態に見えるのに対して、引用意匠は、中央円形部寄りもあまりドットの大きさが変わらないため、結果的に瞳の中に黒い部分が多くなって、大きな瞳であるとの印象を起こさせるものといえ、共通する態様中での部分的な差異ではあるが、両意匠の使用時の印象が異なるため需要者の関心が高く、その差異は、両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。

また、(相違点3)外周部ドット模様の態様について、略斜め孔子状に外周ドット模様が表され、外周端部寄りに小さなドットを設けている本願意匠の態様は、自然な印象を与えるものといえ、それに対して引用意匠は、略格子状に表され、同じ大きさのドットを配しているため、外周端部寄りがはっきりとしたドット模様に見えるもので、くっきりとした印象を与えるものといえ、この種の物品分野における需要者にとって、本願意匠の態様とは、別異の印象を与えるものであるから、その差異は、両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。

さらに、(相違点4)の色彩の差異については、確かにその差異が認識できるものではあるが、既に多数の色彩を有するコンタクトレンズの分野においては、色彩の差異のみによって、両意匠を別異のものとするほどの大きな差異とはいえないが、その差異は、全体の模様を単一色のみの構成とするのに比べ、複数色の斑点が混在した構成とすることで複雑さによる印象の違いを需要者に与え、両意匠の類否判断に僅かに影響を与えるものといえる。

3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、上記2の後段のとおり、内周部及び外周部における、ドットなどの輪郭形状、濃淡や配色、これらの構成態様が需要者の注意を強く惹く部分であり、上記2(2)のとおり、内周外側斑点模様の美感に大きな差異があり、斑点の大きさや形状の相違は、需要者に異なる美感を与えるものである。また、内周部斑点模様及び外周部ドット模様においてもドットの態様や配列に差異があり、総じて両意匠の類否判断に与える影響は大きい。そうすると、全体の構成、内周部斑点模様の態様及び外周部ドット模様の態様といった、共通点全体が両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても、意匠全体として観察した際には、両意匠の形態は異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形態において、相違点が共通点を凌駕し、それが両意匠の全体意匠として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。

第6 むすび

以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2020-01-22 
出願番号 意願2018-16491(D2018-16491) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 津熊 哲朗 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 佐々木 朝康
江塚 尚弘
登録日 2020-02-18 
登録番号 意匠登録第1654415号(D1654415) 
代理人 ▲高▼山 嘉成 
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