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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1359622 |
審判番号 | 不服2019-7928 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-06-13 |
確定日 | 2020-02-25 |
意匠に係る物品 | ガスこんろ |
事件の表示 | 意願2018- 3135「ガスこんろ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2018年)2月16日の意匠登録出願であって,同年10月1日付けの拒絶理由の通知に対し,同年11月30日に意見書が提出されたが,平成31年2月21日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和1年(2019年)6月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同年12月24日に電話応対,令和2年1月16日に手続補正書が提出されたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「ガスこんろ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他部分との境界のみを示す線である。」(以下,この部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,下記に示すように,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠に係るガスこんろの分野において,五徳の底面を構成するリング状部材から,中心寄りのバーナー部に至る部分で,平坦面から傾斜面へとなだらかに接続する態様は,例えば参考意匠のように本願出願前より公知の態様です。そうすると,この本願の意匠は,本願出願前より公知の手法により当該部分を形成したにすぎないため,当業者であれば容易に創作することができたものと認められます。 参考意匠 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1462123号の意匠」 第4 当審の判断 1 本願意匠の認定 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「ガスこんろ」である。 (2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 本願部分の位置,大きさ及び範囲は,ガスこんろの上面に設置された1つのバーナー部におけるバーナーリング部と,バーナーリング部の外周の一段低い部分の上に重ねて設置される,リング状部に複数個の爪部を放射状に備えた五徳のうち,五徳における1個の爪部の基端の少し手前上面から爪部と同幅で帯状に連続させたリング状部の内周辺までの上面の部分(以下「五徳部分」ともいう。)と,これに同幅で連続するようにバーナーリング部の少し入った所までの上面の部分(以下「バーナーリング部分」ともいう。)とする位置,大きさ及び範囲であり,この位置,大きさ及び範囲における五徳及びバーナーリング部の用途及び機能を有するものである。 (3)本願部分の形状 本願部分の形状は,五徳部分とバーナーリング部分の長短2つの長方形の部分が,連続的に面一状の帯状として表れているものであり,五徳部分は,水平面とし,バーナーリング部分は,五徳寄りの約2分の1を水平面,その余の内方を上方へ凹弧状で延びる傾斜面としたものである。 (4)一意匠の該当性 本願部分は,五徳部分とバーナーリング部分から成るものであるが,この2つの部分には,五徳の上面とバーナーリング上面の高さレベルを合わせて,連続的に面一状の帯状として表したという点で,形態的な一体性が認められるから,本願部分は,一意匠といえる。 2 本願の出願前に公然知られた形状 (1)原査定の拒絶の理由に引用した参考意匠(別紙第2参照)により,ガスこんろの物品分野において,五徳における爪部からリング状部にかけての上面を面一の水平面とした形状。 (2)拒絶査定において引用した公知意匠(別紙第3参照)により,ガスこんろの物品分野において,五徳のリング状部とバーナーリング部を面一状とした形状。 3 本願意匠の創作容易性 ガスこんろの物品分野において,五徳における爪部からリング状部にかけての上面を面一の水平面とした形状と,五徳のリング状部とバーナーリング部を面一状とした形状は,本願の出願前に公然知られたものである。 しかしながら,本願部分の,五徳部分とバーナーリング部分から成り,五徳の爪部からリング状部,そして五徳の内側に設置されるバーナーリング部の少し入った所までの上面を面一の水平面とし,加えて,バーナーリング部分の内方が上方へ凹弧状で延びる傾斜面である点については,この物品分野において公然知られた形状に基づいて容易に導き出せるものと認めるに足りる証拠はない。 したがって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとはいえない。 4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-02-10 |
出願番号 | 意願2018-3135(D2018-3135) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 柵山 英生、北代 真一 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2020-03-04 |
登録番号 | 意匠登録第1655546号(D1655546) |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |