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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C3 |
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管理番号 | 1361547 |
審判番号 | 不服2019-14689 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-11-05 |
確定日 | 2020-04-21 |
意匠に係る物品 | ごみ袋 |
事件の表示 | 意願2018- 25776「ごみ袋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成30年(2018年)11月27日の意匠登録出願であって,平成31年3月14日付けの拒絶理由の通知に対し,令和1年(2019年)5月7日に意見書が提出されたが,同年8月2日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年11月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「ごみ袋」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁発行の公開特許公報に記載された特開2015-151221における【図15】の「ガゼット付きゴミ袋」の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であり,その形状は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 第4 当審の判断 1 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「ごみ袋」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「ガゼット付きゴミ袋」である。 (2)形状 (2-1)共通点 上部が開口し,下部の端部寄りの幅方向に熱溶着線が表れ,左右両辺に一定幅のマチ部を有する略縦長長方形のごく薄い素材から成る袋で,正面及び背面の両面で一対の,上部中央には,略半円形状の突片(以下「上部半円状突片」という。),上部左右端には,先端寄りに熱溶着線が表れている帯状の突片(以下「上部帯状突片」という。),下部中央には,横長長方形の下辺を半円形状に大きく切り欠いた二股状の突片(以下「下部突片」という。)を,それぞれ延設したような形状である。 (2-2)相違点 相違点1:本願意匠は,上部半円状突片及び上部帯状突片(以下,両突片を併せて「上部突片」という。)の先端寄りと,下部突片の末端寄りの左右の計5か所に,矢印形状の孔を設けたものであるのに対して,引用意匠は,上部半円状突片の先端寄りの1か所だけに,小円形状の孔を設けたものである。 相違点2:本願意匠は,下部突片を,上部突片の半分程度の長さとしたものであるのに対して,引用意匠は,下部突片を,上部突片とほぼ同じ長さとしたものである。 相違点3:本願意匠は,上部半円状突片と上部帯状突片との間に形成された谷部の底辺及び下部突片の左右下辺を,下向きの緩やかな弧状としたものであるのに対して,引用意匠は,当該底辺及び下辺を,直線状としたものである。 相違点4:本願意匠は,下部突片の末端寄りの左右に,熱溶着線が表れているものであるのに対して,引用意匠は,下部突片に熱溶着線が表れていないものである。 2 両意匠の類否 (1)意匠に係る物品について 意匠に係る物品については,本願意匠が「ごみ袋」であり,引用意匠が「ガゼット付きゴミ袋」であるが,どちらも「ごみ袋」であることには違いがないから,同一である。 (2)形状について (2-1)共通点について 上記共通点は,意匠全体を概括したものに過ぎないし,ごみ袋の形状においては,ごく普通に見られるものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (2-2)相違点について 相違点1については,本願意匠の矢印形状の孔を設けた態様が,ごみ袋の形状において新規なものであり,各孔の大きさは大きいものではないとしても,矢印形状とし,5か所に配した態様は,目に付きやすく,また,引用意匠の孔が開口部を容易に開けるためのものであるのに対して,本願意匠の孔は指やフックを掛けるためのものであり,機能的な面からも需要者の注意を強く引く部分といえるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点2については,下部突片を,上部突片と同程度の長さとした形状も約半分の長さとした形状も本願の出願前から見受けられるものであるし,長さが極端に相違するものではないから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 相違点3については,谷部の底辺及び下部突片の左右下辺を見た場合には,引用意匠の直線的な印象に対して本願意匠はやや丸みのある印象という,異なる印象をもたらすとしても,部分的な相違であり,当該底辺や下辺が需要者の注目する部分とはいえないから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 相違点4については,下部突片において,引用意匠には設けていない熱溶着線が本願意匠に表れているとしても,極めて部分的なものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (2-3)形状の類否 上記のとおり,共通点の両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいのに対して,相違点は,矢印形状の孔を5か所に設けたか否かの相違(相違点1)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,両意匠の類否判断を決するものといえるから,両意匠の形状は,類似するものではない。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,形状が類似するものではないから,本願意匠は,引用意匠に類似する意匠ではない。 3 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-04-07 |
出願番号 | 意願2018-25776(D2018-25776) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 日比野 杏香、桐野 あい |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2020-04-27 |
登録番号 | 意匠登録第1659886号(D1659886) |
代理人 | 森田 海幹 |