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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1364985 |
審判番号 | 不服2019-17026 |
総通号数 | 249 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-12-17 |
確定日 | 2020-07-27 |
意匠に係る物品 | 自動車用バックミラー用ハウジング |
事件の表示 | 意願2019- 2465「自動車用バックミラー用ハウジング」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は,平成30年(2018年)9月27日(パリ条約による優先権主張2018年3月27日,アメリカ合衆国)に出願された意匠登録出願(意願2018-21127)の一部を,平成31年(2019年)2月7日に意匠法第10条の2第1項の規定により分割し,新たな意匠登録出願としたものであって,同年3月19日付けの拒絶理由の通知に対し,令和1年6月24日に意見書が提出されたが,同年9月5日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「自動車用バックミラー用ハウジング」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。 拒絶理由通知において引用された意匠は,中華人民共和国意匠公報2015年12月9日15-49号に記載された,「レコーダー付きバックミラー(公開番号CN303491799S)」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH27008369号)であり,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。 以下,本審決では,引用意匠において本願部分と対比,判断する部分,すなわち,本願部分に相当する部分を,「引用部分」という。 第2 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は,「自動車用バックミラー用ハウジング」であって,自動車用バックミラーのミラーを除く筐体の部分であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「レコーダー付きバックミラー」であるが,本願部分と対比,判断する引用部分は,バックミラーのミラーを除く筐体の部分であることから,いずれの意匠に係る物品も自動車用バックミラーのミラーを除く筐体として用いられ,ディスプレイともなるミラーを保持し,内部機構を保護する機能を有する自動車用バックミラー用ハウジングであると認められるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,用途及び機能が共通するものである。 (2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は,いずれもレンズ取り付け部として用いられる部分であり,ハウジングにレンズを取り付けることができる機能を有する部分であるから,両部分の用途及び機能は一致する。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の対比 両部分は,いずれもバックミラー用ハウジングの正面視左下部分の位置にあって,その横幅がハウジング全幅の約10%前後の大きさ(本願部分:約14%,引用部分:約9%)とするレンズ部分及びその周囲部分を範囲とするものであるから,両部分の物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲は概ね共通する。 (4)両部分の形態の対比 両部分の形態を対比する(なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。)と,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 ア 形態の共通点 (共通点)両部分は,部分全体の正面側の形態が,その中央部分に透明な部材からなる正面視略円形状の部分(以下「レンズ部」という。)と,その周囲に設けられた略円環状の部分(以下「枠状部」という。)からなる点で共通する。 イ 形態の相違点 (相違点1)本願部分のレンズ部正面側部分の形態が,表面部分に部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない縦筋模様が施された略円形板状であるのに対し,引用部分のレンズ部正面側部分の形態は,略ドーム状に形成している点で,両意匠は相違する。 (相違点2)本願部分の枠状部正面側部分の形態が,レンズ部とほぼ面一な略平板リング状であるのに対し,引用部分の枠状部正面側部分の形態は,レンズ部と別体からなる略中空円錐台状の形態である点で,両意匠は相違する。 (相違点3)本願部分の背面側の形態が,背面視略倒鍵穴状の切り欠き部が形成された枠状部に,略鍵穴状のレンズ部を嵌込した構成における,縁部を除く中央部分を円形状に切り欠いた背面視略円形状のレンズ部の一部分であるのに対し,引用部分の背面側の形態は,全く不明である点で,両意匠は相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は,用途及び機能が共通するから,類似する。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は,同一である。 (3)両部分の位置,大きさ及び範囲の評価 両部分の位置,大きさ及び範囲は,物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲が概ね一致するから,同一の範囲内のものであるといえる。 (4)両部分の形態の類否判断 本願意匠に係る物品は,「自動車用バックミラー用ハウジング」といった部品であるから,その需要者は,自動車用バックミラーの購入者ではなくバックミラーの部品を購入する製造者であるといえる。 そうすると,本物品の需要者は,自動車用バックミラー用ハウジングの正面側の形態だけでなく,製造時に注目する背面側の形態も注視するということができる。 したがって,本願意匠と引用意匠の類否判断に際しては,需要者は,正面側の形態のみならず背面側の具体的な形態に強い関心を持って観察するとの前提に基づいて,共通点及び相違点における類否判断に及ぼす影響を評価することとする。 ア 共通点の評価 (共通点)の部分全体の正面視の形態は,両部分の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであり,かつ,該部位の形態はこの種物品においてごく普通に見られるものにすぎず,両部分のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,これらの(共通点)が部分全体の美感に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 (相違点1)及び(相違点2)は,自動車用バックミラー用ハウジングの正面側という特に目に付く部分に配設されているものであって,本願部分は,ハウジング本体に略円形板状のレンズ部が嵌込した平面的なものであるとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,ハウジング本体から略中空頭切円錐台が立ち上がり,さらにその中央部分から略ドーム状のレンズ部が配設された立体的なものであるとの印象を与えるから,両意匠は正面側のレンズ部及び枠状部の美感に大きな差異がある。 (相違点3)は,本物品の需要者であれば注視する背面側の形態であって,本願部分は,略倒鍵穴状の切り欠き部に嵌入可能な特徴的なレンズ部に係る形態であるのに対し,引用部分の背面側の形態は全く不明であって両部分を対比することはできず,両部分は背面側の形態の美感に共通性があるとはいえないものである。 ウ 形態の類否判断 両部分の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両部分は,レンズ部及び枠状部の美感に大きな差異があり,部分全体の正面視の形態が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえるから,両部分の形態は類似しないものである。 (5)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が類似するものであり,両部分の用途及び機能が同一であり,両部分の位置,大きさ及び範囲が同一の範囲内のものと評価できるが,両部分の形態において類似しないものであるから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。 第3 むすび 上記のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-07-10 |
出願番号 | 意願2019-2465(D2019-2465) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤澤 崇彦 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 江塚 尚弘 |
登録日 | 2020-08-18 |
登録番号 | 意匠登録第1667594号(D1667594) |
代理人 | 渡邊 徹 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 松下 満 |
代理人 | 山本 泰史 |
代理人 | 田中 伸一郎 |