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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E2 |
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管理番号 | 1367026 |
審判番号 | 不服2020-7481 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-06-02 |
確定日 | 2020-10-15 |
意匠に係る物品 | ゲーム盤 |
事件の表示 | 意願2019-19021「ゲーム盤」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,意匠法第4条2項の規定の適用を受けようとする,令和1年(2019年)8月8日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和 1年 8月 8日 :新規性の喪失の例外証明書提出書の提出 令和 1年12月16日付け :拒絶理由の通知 令和 2年 1月25日 :意見書の提出 令和 2年 1月27日 :面接 令和 2年 2月25日付け :拒絶査定 令和 2年 6月 2日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「ゲーム盤」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で示した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分と、その他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 特許庁総合情報館が1997年10月 9日に受け入れた ドイツ意匠公報 1997年 6月25日 第4142頁所載 ゲーム盤の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH10070421号) (引用するのは,ゲーム盤中央の,集積した略正六角形のマス目が形成する,大きな略正六角形部分です。) 第4 当審の判断 1 本願意匠 本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「ゲーム盤」である。 (2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,ゲーム盤の上面中央の角丸正六角形部分であって,その大きさは,面積比で全体の約2分の1である。 本願部分の用途と機能は,ゲーム盤のコマ配置部というものである。 (3)本願部分の形状 ア.六角形の左右の辺が垂直方向になるように向けた小さな正六角形を,数多く,僅かな隙間を設けて,蜂の巣状(ハニカム状)に並べたものである。 イ.小さな正六角形を多数蜂の巣状に並べて,全体で大きな六角形を形成している。その六角形は,上下の辺が水平方向になるものである。 ウ.大きな六角形は,各辺につき小さな六角形が5個並んだ正六角形状のものであって,小さな六角形が全部で61個並ぶようにしているところ,大きな六角形の中心に来る小さな六角形を一つ除いており,全部で小さな六角形が60個並んでいる。 2 引用意匠 引用意匠は,上記「第3」の特許庁意匠課公知資料の記載の内容によると,以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「ゲーム盤」である。 (2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,ゲーム盤の上面中央やや左寄りの角丸六角形部分であって,その大きさは,面積比で全体の約2分の1である。 引用部分の用途と機能は,ゲーム盤のマス目というものである。 (3)引用部分の形状 ア.六角形の左右の辺が垂直方向になるように向けた小さな正六角形を,数多く,僅かな隙間を設けて,蜂の巣状に並べたものである。 イ.小さな正六角形を多数蜂の巣状に並べて,全体で大きな六角形を形成している。その六角形は,上下の辺が水平方向になるものである。 ウ.大きな六角形は,左右の四辺については小さな六角形が5個並ぶものであり,上下の二辺については小さな六角形が4個並んだ縦長六角形状のものであって,全部で小さな六角形が52個並ぶものである。 3 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品も,引用意匠に係る物品も,共に「ゲーム盤」である。 (2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比 本願部分は,ゲーム盤の上面中央の角丸正六角形部分であって,その大きさは,面積比で全体の約2分の1であるのに対して,引用部分は,ゲーム盤の上面中央やや左寄りの角丸正六角形部分であって,その大きさは,面積比で全体の約2分の1である。 本願部分の用途と機能は,ゲーム盤のコマ配置部というマス目であるのに対して,引用部分の用途と機能は,ゲーム盤のマス目というものである。 (3)両部分の形状の対比 両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について (ア)六角形の左右の辺が垂直方向になるように向けた小さな正六角形を,数多く,僅かな隙間を設けて,蜂の巣状に並べたものである。 (イ)小さな正六角形を多数蜂の巣状に並べて,全体で大きな六角形を形成している。その六角形は,上下の辺が水平方向になるものである。 イ.相違点について (ア)大きな六角形の形状につき,本願部分は,正六角形であるのに対して,引用部分は,縦長六角形である。 (イ)大きな六角形における小さな六角形の並び方につき,本願部分は,各辺に付き小さな六角形が5個並んだものであって,全部で61個並ぶようにしているところ,中心に来る小さな六角形を一つ除いており,全部で小さな六角形が60個並んでいるのに対して,引用部分は,左右の四辺については小さな六角形が5個並ぶものであり,上下の二辺については小さな六角形が4個並んだ縦長六角形状のものであって,全部で小さな六角形が52個並ぶものである 4 判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「ゲーム盤」であるから,一致している。 (2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価 本願部分は,ゲーム盤の上面中央の角丸正六角形部分であるのに対して,引用部分は,ゲーム盤の上面中央やや左寄りの角丸正六角形部分であって,両意匠の類否判断においては,別異な印象を与えるほどの差とはいえず,両部分の位置及び範囲は,共通しているといえる。 本願部分の大きさも,引用部分の大きさも,面積比で全体の約2分の1であるから,両部分の大きさは一致している。 本願部分の用途及び機能と引用部分の用途及び機能は,共にゲーム盤のマス目というものであるから,両部分の用途及び機能は一致しているといえる。 (3)両部分における形状の評価 ア.共通点について 共通点(ア)及び同(イ)については,部分全体にわたる基本的構成態様であるから,一定程度の共通感を生じさせるが,大まかに捉えた形状であり,具体的には,相違点(ア)及び同(イ)の相違を内包しているから,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。 イ.相違点について 相違点(ア)は,一見すると分からない程度の相違であるが,ゲームを行う際においては,競技者(プレイヤー)が着目する点であり,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(イ)については,ゲーム盤の中心となるマス目の有無に関わる相違であって,マス目の配置は,競技者が最も着目する点であるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。 (4)両意匠における類否判断 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の位置及び範囲が共通し,大きさが一致し,用途及び機能が一致している。 しかし,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響は小さいものであるのに対して,相違点は,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものであり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。 よって,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。 5 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-09-30 |
出願番号 | 意願2019-19021(D2019-19021) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(E2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 濱本 文子 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2020-10-21 |
登録番号 | 意匠登録第1672205号(D1672205) |
代理人 | 永芳 太郎 |