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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 J1 |
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管理番号 | 1370075 |
審判番号 | 不服2020-7361 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-05-31 |
確定日 | 2021-01-13 |
意匠に係る物品 | 指輪用リングゲージ |
事件の表示 | 意願2019- 18491「指輪用リングゲージ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和1年(2019年)8月2日付けの意匠登録出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和1年(2019年)11月12日付け 拒絶理由の通知 令和1年(2019年)12月17日付け 意見書の提出 令和2年(2020年) 2月27日付け 拒絶査定 令和2年(2020年) 5月31日 拒絶査定不服審判の請求 第2 本願意匠 本願は、意匠に係る物品を「指輪用リングゲージ」とし、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願は『指輪用リングゲージ』の意匠であって、略アーチ状枠に吊り輪のある態様となっています。リングゲージの意匠として、各種サイズの円環状指輪に吊り輪をつける態様は、例えば意匠1や意匠2のように本願出願前から見られる態様であり、指輪の形状として略アーチ状枠のものも、例えば意匠3のように本願出願前から見られる態様です。 そうすると、本願意匠は、本願出願前に知られた円環状指輪のリングゲージの円環状指輪部分を略アーチ状枠の指輪に変更した程度であり、当業者の知識を有する者が容易に創作できたものと認められます。 意匠1 特許庁発行の登録実用新案公報記載 実用新案登録第3018399号 図1?図3に表された「リングゲージ」の意匠 意匠2 特許庁意匠課が2004年 4月28日に受け入れた ストア・エキスプレス 総合カタログ 2003?2004 vol.19 第162頁所載 リングゲージの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC16012462号) 意匠3 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2015年11月14日 受入日 特許庁意匠課受入2015年12月11日 掲載者 株式会社ミック 表題 i-SOOK|アイスーファッション通販|ランウェイチャンネルバータイプデザインリングの詳細情報| RUNWAY channel(ランウェイチ 掲載ページのアドレス http://runway-webstore.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=M2515309012&vid=&bid=MK250&cat=IIILLL&swrd= に掲載された「指輪」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ27042696号)」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について、すなわち、本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠(別紙第1参照) (1)本願意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「指輪用リングゲージ」であり、手指を挿入する部分(枠部)において、手指の太さを測定し、その測定結果により、手指の太さに応じた指輪のサイズを判別するために使用されるものである。 (2)本願意匠の形態 本願意匠は、枠部と吊り部とから成り、角丸の略正方形の上方の一辺を僅かに膨出させて略アーチ状とした枠部の正面視下部中央に、下端が略半円形の縦長板状体の吊り部を設けたものである。枠部は、正面視上方である、高さの約4分の1の範囲はやや扁平なアーチ部であり、アーチ部の両下端は略直線状の左右辺につながり、この直線状の左右辺と下辺とはほぼ同じ長さとなっている。また、この枠部は、左右側面図及び平底面図に表れているように、外周側に略半円柱状の丸みを有するものである。また、吊り部は、正面視において枠部の約5分の1の幅であり、また、側面視において枠部の略3分の1の厚みの板状体形状であって、正面視において、吊り部のみの横幅と高さの比率は約1対2であり、下端の略半円形部の丸みに沿うように、下端寄りに小円孔が設けられている形態である。 2 原審の拒絶の理由に記載された意匠の認定 原審の拒絶の理由における、意匠1、意匠2、意匠3を以下のとおり認定する。 (1)意匠1(別紙第2参照) ア 意匠1の意匠に係る物品 意匠1の「意匠に係る物品」は、「リングゲージ」であり、手指を挿入する枠部において、各種サイズの中から手指の太さに応じた指輪のサイズを判別するために使用されるものである。 イ 意匠1の形態 意匠1は、大きさがわずかずつ異なる略円環形状の枠を5点、枠に設けられた吊り部である小円環部に、略円形状の材を通すことにより束ねたものである。このうち【図2】に表されたリングゲージ1点の枠の形態は、肉厚の帯状体を略円環状に形成し、上部に取付部として、枠の約3分の1の直径の小円環部を設け、外周の一部に長方形のサイズ表記部を設けたものである。 (2)意匠2(別紙第3参照) ア 意匠2の意匠に係る物品 意匠2の意匠に係る物品は、「リングゲージ」であり、手指を挿入する枠部において、各種サイズの中から手指の太さに応じた指輪のサイズを判別するために使用されるものである。 イ 意匠2の形態 意匠2は、大きなものから小さなものへ順次、大きさがわずかずつ異なるリングゲージを多数、ワイヤーにより束ねたものである。このうち右端側にあらわされたリングゲージ1点の形態は、外側が丸みを帯び、内側が平滑な材を円環状に形成し、外周の一部に平坦部を設けてサイズ表記部とし、また、この円環状の枠の外側に短い支柱を突出させるように設け、その先に、吊り部として円環状の枠の約4分の1の直径の円環部を設けたものである。 (3)意匠3(別紙第4参照) ア 意匠3の意匠の意匠に係る物品 意匠3の意匠の意匠に係る物品は、「指輪」であり、手指にはめる機能を有しており、手指を装飾する用途に用いられる。 イ 意匠3の形態 意匠3は、正面から奥手に向かって傾斜して現されているため正確な形状や構成比率は不明であるものの、略角柱体で形成された、上方が略半円形状に近いアーチ状の略四角環であり、正面手前側のアーチ下部の左右の直線部と、奥手側のアーチ部分の高さとがほぼ同じ長さに見えているため、正面形状は、指輪全体においてアーチ以外の部分が全長の半分程度であると推認される。 3 本願意匠の創作非容易性の判断 意匠法第3条第2項の規定の適用についての判断は、「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形態が、当該意匠登録出願前に公然知られた形態に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断するものである。 以下に、本願意匠の形態が、意匠1ないし3に基づいて、「指輪用リングゲージ」の物品分野において当業者が容易に創作できたか否かについて判断する。 まず、本願意匠の形態は前記1(2)に示すとおりであって、「指輪用リングゲージ」の分野においては、手指を差し入れる枠部分を略角丸四角形とすることは、本願出願前より見受けられるものの、枠部分の上方のみをアーチ状に形成したものは見受けられない。 また、指輪用リングゲージの当業者が、指輪について知悉(ちしつ)しているとしても、本願意匠の枠部の、正面視上方の、高さの約4分の1の範囲のみをアーチ部とし、アーチ部の両下端から垂下する略直線状の左右辺は下辺とほぼ同じ長さであって、外周側は略半円柱状の丸みを有する形態は、原審の拒絶の理由において意匠3として示された指輪の、略角柱体で形成された、上方が略半円形状に近いアーチ状の略四角環であると推認される形態とは、枠全体の形状が大きく異なっており、指輪用リングゲージの分野において、周知の創作手法等を用いて意匠3の形態をわずかに改変するなどの変更をしても、本願意匠に容易に想到できたということはできない。 また、本願意匠の吊り部の、縦長板状体であって下端が略半円形であり、この略半円形の丸みに沿うように小円孔が設けられている形態も、意匠1ないし意匠3には表されておらず、また、この種物品分野において周知の創作手法を用いて、構成比率をわずかに改変するなどの変更をしても、意匠1と意匠2のそれぞれの吊り部の形状に基づいて、本願意匠の吊り部の形態を導き出すことは困難である。 さらに、本願出願前から指輪の形状をもとに指輪用リングゲージの形状を創作することがありふれた手法であったとする証拠もない。 したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-12-21 |
出願番号 | 意願2019-18491(D2019-18491) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(J1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石坂 陽子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
濱本 文子 渡邉 久美 |
登録日 | 2021-01-27 |
登録番号 | 意匠登録第1679313号(D1679313) |
代理人 | 高木 康志 |