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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4
管理番号 1372775 
審判番号 不服2020-11873
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-25 
確定日 2021-03-09 
意匠に係る物品 歯ブラシ 
事件の表示 意願2019- 12602「歯ブラシ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和1年(2019年)6月7日に出願された意匠登録出願であって、令和2年2月13日付の拒絶理由の通知に対し、同年3月24日に意見書が提出されたが、同年5月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするもので、その意匠は、意匠に係る物品を「歯ブラシ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表された部分が、部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
そして、その引用意匠は、日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日平成27年(2015年)2月16日)に掲載された、意匠登録第1517671号(意匠に係る物品、歯ブラシ)に表された意匠であり、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分を、本願部分に対応する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第1項第3号の該当性、すなわち、本願意匠が引用意匠に類似する意匠であるか否かについて検討し、判断する。
1 対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、共に「歯ブラシ」であり、共通する。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも「歯ブラシ」のヘッド部における植毛部(ブラシ部)に係る用途及び機能を構成するものであり、共通する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれも「歯ブラシ」のヘッド部におけるブラシ部をその位置、大きさ及び範囲とするものであり、共通する。

(4)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、その形態には、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
ア 共通点
(a)正面及び背面視における態様
正面及び背面視において、ヘッド基台部に10列の毛束を、上端を水平状に配して構成する点。
(b) 平面視における態様
(b-1)平面視において、ヘッド部基台に複数の毛束を略扁平八角形状に配した構成とする点。
(b-2)毛束群は、長手方向に10列、短手方向は半束ずらした行を含めると11行(一つの列の最多は6行)とし、具体的には、ヘッド部先端から4列目ないし8列目までの中央5列は、短手方向に毛束を6行配し、3列目と9列目は、左記中央5列の行配列に対して半束分ずらして毛束5行を配し、1列目及び2列目は、3列目に対して更に半束分ずらした配置の毛束2行及び4行からなり、さらに、毛束3行からなる10列目は9列目の中央3行と整列して配する態様とする点。

イ 相違点
(a)正面及び背面視における態様
本願部分は、ヘッド部の先端側から3列目ないし9列目の毛束の全高約1/5の毛先部を暗調子とし、ブラシ部全体を明暗の異なる構成とするのに対し、引用部分は、各毛束に明暗の調子の相違は無く、すべて同じ調子の態様とする点。
(b) 平面視における態様
本願部分は、毛束群の毛先部を暗調子とするものと暗調子部を有さない(明調子)毛束とによって、モザイク状の模様が表れる態様とするもので、具体的には、ヘッド部先端から3列目の上下両端を構成する毛束群、4列目及び5列目の上下両端から各2行の毛束群、6列目の上下両端を構成する毛束群、7列目及び8列目の上下両端から各2行の毛束群、9列目の上下両端を構成する毛束群を暗調子のものとし、それ以外の毛束群を明調子とすることで、全体として、ブラシ部長手方向に沿って、上下に暗調子の略扁平六角形状をベースとした模様を配し、残りの水平中央部に明調子の模様が浮かび上がる態様とするのに対し、引用部分は、各毛束に明暗の調子の相違は無く、すべて同じ調子の態様で、モザイク状の模様は有しない点。

2 類否判断
(1)両意匠の意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は同一である。

(4)両部分の形態の類否判断
ア 共通点及び相違点の評価
両意匠は、いずれも「歯ブラシ」のヘッド部におけるブラシ部に係るものであり、需要者は、歯や歯茎をブラッシングする当該ブラシ部における形状、模様等の形態について注視するものということができる。
(ア)共通点の評価
正面及び背面視において、ヘッド基台部に10列の毛束を、上端を水平状に配して構成する共通点(a)は、当該物品分野において、従来からよく採用されてきた態様にすぎず、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。
また、平面視における共通点(b-1)も、当該物品分野において、よく見られる態様であり、類否判断に及ぼす影響は小さい。
一方、平面視における共通点(b-2)は、一部の列の行配列を半束分ずらして配する等、限られた面積の中における配列の工夫という点で、両部分の形態の類否判断に一定の影響を及ぼすものと認められる。

(イ)相違点の評価
相違点(a)における、本願部分のように、毛束の毛先部を暗調子とする点は、本願意匠出願前より、公然知られているところではあり(参考意匠1:特許庁意匠課公知資料番号第HH28507061号に表された「歯ブラシ」の意匠(別紙第3参照))、ブラシ部全体を明暗の異なる構成とする点も、本願意匠出願前より公然知られているところではあるが(参考意匠2:特許庁意匠課公知資料番号第HH28507070号に表された「歯ブラシ」の意匠(別紙第4参照))、ヘッド部の先端側から3列目ないし9列目のみとした点は、両部分の形態の類否判断に一定の影響を及ぼす。
相違点(b)における、毛先部を暗調子とする毛束と暗調子部を有さない毛束とによって、モザイク状の模様が表れるか否かといった点は、そのモザイク状の模様の具体的な態様も含め、使用時に一見して需要者がわかる顕著な相違であり、両部分の形態の類否判断に大きな影響を及ぼす。

イ 総合評価に基づく両部分の形態の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分の形態全体を総合的に観察し、判断する。
上記ア(イ)に示したとおり、相違点はいずれも両部分の形態の類否判断に 一定以上の影響を及ぼすものであり、特に相違点(b)は、相違点(a)と相まって、一部の毛束の毛先部を暗調子とすることによってブラシ部全体に需要者に顕著な模様部を構成するものである。
一方、上記ア(ア)に示したとおり、共通点(a)及び共通点(b-1)は、いずれも両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さく、共通点(b-2)は、一定の影響を及ぼすものと認められるものの、両部分の相違点におけるブラシ部に模様部を有するか否かといった顕著な相違に比べると、多数の毛束群といった印象の中に埋もれる程度のものにすぎない。
したがって、両部分の形態全体を総合的に観察した場合、両部分の形態は、共通点よりも相違点の及ぼす影響の方が大きく、両部分の形態は類似しない。

ウ 小括
両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能、さらには位置、大きさ及び範囲も同一であるが、両部分の形態は類似しない。
したがって、両意匠は類似しない。

第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2021-02-17 
出願番号 意願2019-12602(D2019-12602) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 日比野 杏香 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
北代 真一
登録日 2021-04-12 
登録番号 意匠登録第1684470号(D1684470) 
代理人 杉村 憲司 
代理人 村松 由布子 

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